小林圭子の「旅って面白いの?」 【第42話】 『全員悪人』の街に潜むむき出しの欲望と支え合い精神<インド>
過酷な外側の世界があるおかげで、内側での団結力が強まるのもあったように思う。自然に誰かを頼ったり、お互いに助け合ったりを、みんながみんな当たり前のようにやっていた。夜中に稀に見る大雨で街中が停電したときも、部屋の外に集ま…
過酷な外側の世界があるおかげで、内側での団結力が強まるのもあったように思う。自然に誰かを頼ったり、お互いに助け合ったりを、みんながみんな当たり前のようにやっていた。夜中に稀に見る大雨で街中が停電したときも、部屋の外に集ま…
部屋に戻ってからも私は罪悪感からヨシコさんの方を向くことができなかった。2人の間に沈黙が続き、重々しい空気が流れる。(あー、もう! このままじゃダメだ… )意を決して口を開く。「今日さ、私、ヨシコさんから逃げた」自分でも…
お店のメニューをパラパラとめくってみる。だけど、はじめから注文するものは決まっていて、それはボリュームたっぷりの『カツ丼』!もともと大好物であることに加え、ここまで大絶賛されているならはずれることはないはず。待つこと10…
「旅をしながらお金を稼ぐことができたなら」「働きながら旅ができたなら」旅好きな人なら一度は考えたことがあるんじゃないかと思う。正直、私も旅が始まる前から旅中もずーっとそのことを考えていた。お金があればそれだけ旅の選択肢が…
タクさんは饒舌な人だった。「そういえば、ケイコさんは日本で何の仕事をしてるの?」と質問してきた。「以前は会計士として働いてたんです。でも仕事辞めて、今は長期で旅してるんですけどねー」それを聞いた彼はひとこと「あ、そっち系…
実は旅に出る前にいろんな人から「2年も海外を旅するなんて、どれだけ成長するのか想像できないね」なんて言われることが結構ありました。言われる側としてはこの『成長』という言葉がものすごくプレッシャーになっていることに気がつい…
30年以上も生きていれば、生きるための術を身につけている。傷つかないように、自分を守るために、心の中に壁を積み上げたりブロックをかけたりしてしまって。でもそれが自分の成長を妨げているということに、旅の中で気づかされること…
「はい、じゃあ足を大きく上げて、その場で行進して」1ヶ月近く、ちゃんと歩いていない。いきなりその場で歩けと言われても。「そんな変な歩き方してると、本当に歩けなくなるよ。はい、行進!」目をつぶって、先生のかけ声に合わせて足…
何を言ってるのかよくわからなくて、頬を伝う涙を拭って聞き返した。ネネちゃんの『本当の目的はもっと他のところにある』という言葉の真意を。「それが何なのかまだわかってないでしょう? だから苦しいんだよね。やらなきゃいけないこ…
このままだとますます負のループにはまりそうだったから、旅を始めて3、4ヶ月経ったところで、いったんもう割り切ってこの『目的』をまるっと横に置いておくことにしたんです。まずは自分が旅を楽しむところから始めようと思って。 連…
「毎回毎回、迷惑かけて申し訳ないな」その想いは日が経つにつれてどんどん大きくなっていく。いつもの悪い癖。「私、ここにいる意味あるのかな… 」誰かに心配や迷惑をかけたり、何らかの負担をかけたりするのは堪え難かった。もはやそ…
何か硬いものが歯に当たった。「何だろう、ケーキの中に何か入ってたかな?」そろっとその異物を口から出して見てみると、そこにあったのは銀歯。なんと、ケーキを噛んだときに銀歯が取れてしまったのだ。「キャラメルじゃなく、ケーキで…
「ただ物価が高いだけじゃないんだぞ。見たか、これが日本だ! 」思わず叫び出したくなるらい、日本という国を心から誇らしく感じた。このパビリオンを完成させるのに、どれくらい多くの人が関わっていて、どれくらいの時間とお金と労力…
何百と次々に打ち上げられるコムローイをただひたすら眺めていた。ふと自分がそこにいられることが、なんだかものすごいことのような気がして、急に不思議な気持ちでいっぱいになった。「このメンバーで来られて良かった」心の底から感謝…
「よくそんなに長く旅できるね。僕、飽き性だから、3ヶ月もすると旅に飽きちゃうんだよね」と言われることがある。実は私もこの意見には非常に同感。「旅は毎日刺激でいっぱい」と思われがちだけど、案外そういうわけでもないので、やっ…
この2人からいろんなことを教えてもらった。何を始めるにしても遅すぎるなんてことはないこと。何歳になっても新しい挑戦ができること。日本だけでなく海外にだって居場所はあること。結婚しても良いし、しなくても良い。子どもも産んで…
「よし、行くよ!」レンの手を掴んで目の前に止まったバス目がけてダッシュした。勢い良く、なんとかバスに乗れたものの、車内はもちろんぎゅうぎゅう詰め。私はレンの顏がどこにあるかも見えなくなってしまったけれど、はぐれないように…
外を出るともう真っ暗。「こんな遅い時間に宿見つかるかな…」さすがに少し心配になってきた。そんな私の心情を察したのだろうか。レンが「私たち、ツインルームを取ってるんだけど、その部屋に一緒に泊まる?そーっと入ってきたらフロン…
てっきり私も「そっか、海外に行けば、そんなにたくさんの素晴らしい出会いが待っているんだ」なんて単純に思ってしまっていた。中国四川省・成都で出会った旅人のある言葉を聞くまでは…。「旅先で、おもしろい人やすごい人、もしくは変…
なんで中国に行くつもりがなかったのかと言うと、たぶんその憧れを壊されたくない、というのがあったのかなと思う。というのも、正直、今の中国に対して持っているイメージがあまりにも良くなかったから(もし中国の方がこれを見ていたら…
実は長く旅をしていると、髪形は結構悩みの種になる。私は洗いやすく乾きやすい、という理由と、もともとショートカットが好きなので、旅中もずっと短くしているんだけど、短いと短いなりに、頻繁に美容院に行かないといけないので、結構…
「人生は時としてうまくいかないことがある。そういう時でも、常に君は自分で選択をしていかないといけないんだよ」特に真新しいことを言っているわけではない。だけどニコの言葉は本質をついている。私はひとことも聞き逃すまいと必死に…
私は移動が苦手だし、仕方なくタクシーで行くことを選択した。こういうときにこそ、人は何を最も大切にしているのかがわかる。お金か時間か。たぶん私はそのどちらでもなく、「いかに苦労することなく、ラクできるか」ということなのだと…
なんなんだ、これはー! どのひとつが欠けても、きっと山上の景色にはたどり着かなかっただろう。「もしかして、強く願っていれば、本当にその願いは叶うんじゃないだろうか」なんて、本当に思ってしまうほど鮮やかな、ミラクルラッキー…
旅をしていると、「あぁ、最近、運動不足だー」と思うことが少なくない。もちろん、よく歩く。だけど、日本にいたときはジムに通って、意識的に腹筋や背筋を鍛えたり、肩甲骨まわりが硬いからマシーンを使ってそこを重点的にほぐしたり、…
自分にとって「書く」こと、「発信する」ことは特別な意味を持っていて、ずっとやりたいと思いながらもできなくて、20代早々で一度は諦めた夢だった。だからこの旅が自分にとっての再出発。しかし実際に旅を始めてみると、うまく進めら…
飲料水は貯めてある雨水。雨水をそのまま飲む国があるって聞いたことはあったけれど、まさかそれを自分たちが体験するとは。またそれと同じくらいビックリしたのはお風呂。ただでっかい樽みたいなものにホースを使って水を貯め、桶で汲ん…
「そろそろちょっと働きたいなぁ… 」全員が大学生の中、自分ひとりだけが30代、というのは初めての状況。自分がどういう振る舞いをするのか、どういう役割を担うのか、正直想像できなかった。そういう意味では、客観的に新しい自分が…
「旅=日常」だったら、海外でも日本と同じ時間の過ごし方で良いんだ! 自分の中で何かが弾けた瞬間だった。そして、バックパッカーという言葉が持つ一般的なイメージに無理に合わせる必要はなく、自分の年齢に合った、自分が居心地良い…
日本の社会というものは、10代、20代の若者に対しては「一生懸命頑張れ!」「人生悔いのないように」などと、青春の名のもとに、うっとうしいくらい応援するくせに、頑張ろうとしている大人に対しては急に厳しくなる。「もっと現実を…
『旅の正しいやり方』なんてものがあるのだろうか。「やっぱり私がおかしいのかな。なんか旅のやり方間違ってる? 」と思い始め、インターネットで『バックパッカーの正しいやり方』なんて検索する始末。ダメなときはダメと割り切るしか…
「なんで断食をするんだと思う? それは貧しくて食べられない、飲めない人のフィーリングをみんなで共有するためだよ。実際に経験しないと本当のところはわからないだろう?」ラマダンの時期に行くなんてタイミング悪すぎた。空腹に弱い…
「おまえ、料理くらいできなあかんぞ。料理ができないヤツっていうのはな、他人を喜ばせる気持ちが無いってことやねん。常に他人が幸せになることを考えなあかんねん。いつでも自分が幸せになろうとするヤツは幸せになんかなられへんわ」…
お母さん、オーストラリアは物価が高すぎて、私、何も食べられないよ。マクドも高いし。ヒモジイ。と送ると、2分後すぐに返事がきた。そうかもしれんけど、何も食べんかったら、おなか空くやろ。我慢せんと、ちゃんと食べた方が良いで。…
オーストラリアに降り立った私を最初に襲ってきたのが、何とも言えぬ虚無感。前にいた場所が楽しければ楽しいほど、移動した後の場所で落ち込むことがある。引きずった感情や思考をどう処理して良いのかわからず、なかなか失恋から立ち直…
「私のカラダはばい菌だらけ。私のカラダはキタナイ」と言いながら笑い転げる私を、医師も看護師も苦笑いで見つめていた。旅が続けられるうちは旅を続けて、自分の中に何かを得るまでは日本には帰りたくない、帰らないと、強く心に決めた…
これまでの人生の中で、あまり勉強が楽しかった記憶って無いけれど、ここでの英語の勉強は本当に楽しくて 連載「旅って面白いの?」とは 【隔週水曜更新】 世界一周中の小林圭子さんの旅を通じて生き方を考える、現在進行形の体験エ…
2年も旅をしてまわる以上、最低限の語学力は身につけておきたかった 連載「旅って面白いの?」とは 【隔週水曜更新】 世界一周中の小林圭子さんの旅を通じて生き方を考える、現在進行形の体験エッセイ。大企業「楽天」を辞め、憧れ…
ぜひ協力させてください。すぐに上司を説得しますので! 連載「旅って面白いの?」とは 【隔週水曜更新】 世界一周中の小林圭子さんの旅を通じて生き方を考える、現在進行形の体験エッセイ。大企業「楽天」を辞め、憧れの世界一周に…
心臓をバクバク言わせ、送信をクリックした直後は、あー! 本当に送ってしまった! 連載「旅って面白いの?」とは 【隔週水曜更新】 世界一周中の小林圭子さんの旅を通じて生き方を考える、現在進行形の体験エッセイ。大企業「楽天…
走りながらいろんなものを整えられるほど、旅は甘くはなかった。 連載「旅って面白いの?」とは 【隔週水曜更新】 世界一周中の小林圭子さんの旅を通じて生き方を考える、現在進行形の体験エッセイ。大企業を辞め、憧れの世界一周に…
この調子でいくのかと思うと、想像するだけでぞっとしてしまう 連載「旅って面白いの?」とは 【隔週水曜更新】 世界一周中の小林圭子さんの旅を通じて生き方を考える、現在進行形の体験エッセイ。大企業を辞め、憧れの世界一周に…