ぜひ協力させてください。すぐに上司を説得しますので!
連載「旅って面白いの?」とは 【隔週水曜更新】 世界一周中の小林圭子さんの旅を通じて生き方を考える、現在進行形の体験エッセイ。大企業「楽天」を辞め、憧れの世界一周に飛び出した。しかし、待っていたのは「あれ? 意外に楽しくない…」期待はずれな現実。アラサー新米バックパッカーの2年間ひとり世界一周。がんばれ、小林けいちゃん! はたして彼女は世界の人々との出会いを通して、旅や人生の楽しみ方に気づいていくことができるのか。 |
第4話 出発まで5日。ついに協賛決定!
TEXT & PHOTO 小林圭子
どうやら業界によって
協賛への対応には
温度差があるようだ
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このように、協賛獲得の方法としては、いかにも効率の悪そうな「数打ちゃ当たる」方式だったので、まぁ想像通りというか、結果はなかなか厳しかった。ちゃんとお断りのメールをくれる会社はまだ良心的で、そういう会社は35社中たった11社。残りの24社については返信すら無かったので、つまりはずっと待ちぼうけをくらったことになる。(毎日、気になりすぎて常にメールをチェックしているような状態だったので、返信が来るのかどうかもわからずただひたすら待っているのはかなりつらかった。好きな人からの連絡を待つオトメの気持ちと一緒かな……笑 )特に、メガネメーカーやコンタクトレンズメーカーは、お断りメールをくれたのはたった1社だけだったので、業界によって問い合わせの対応に温度差があるのだなと感じた。
ダメならダメで即答してくれると助かるものだ。白黒つけば次に進めるので。でも、出発が刻々とせまる中、返信がなく待ちぼうけという状況が、一番もどかしい。正直に告白すれば「せめて返信くらいくれてもいいじゃん! へへーんだ! 」なんて思った瞬間もあったけれど(失礼しました!)、向こうにしてみれば「よくわからないヤツから、よくわからない問い合わせが来たな。放っとけ、放っとけ」てな感じだったんだろうな……。日本のビジネスマンはみんな忙しいし、仕事中お手数おかけして本当に申し訳なかった、と今となっては思えるけど。逆にカメラメーカーやアウトドアメーカーは半分くらいの会社がちゃんと返信してくれたので、今までほとんど関わりなく生きてきた業界だけど、なんだか急激に印象が良くなった。貴重なお時間割いていただいて、本当にありがとうございました、と今更だけど改めて。
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ついに協賛決定!
35社のうちの3社
応援してくれる会社はあるものだ
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そしてそして、そんな状況の中、なんとカメラメーカー1社、アウトドアメーカー2社、の計3社が私の企画に対して興味を持ってくれた。35社のうちの3社って、確率としてはどうなんだろう……? 正直そのあたりはよくわからないけど、当時、自分としては悪くない数字だなと思った。ダメもとでたくさんの企業に片っ端からコンタクトを取っていき、そのほとんどが門前払い的な対応だったけれど、たった3社でも自分の企画が受け入れられたこと、興味を持ってくれたことが本当に嬉しかったし、年甲斐もなく、飛び上がって喜んだ。
対応については3社でまちまちだった。一番反応が良かったのは、アウトドアブランド『karrimor』(カリマー)さん。メール送信後、担当者の方がすぐに連絡をくださり、「詳しい話を聞きたいです」とのこと。興奮した気持ちを抑えつつ、すぐにアポイントを取って、昼休みに会社を抜け出して直接会いに行った。私は自分の企画について、とにかく熱意を伝えようという気持ち満々で、結構緊張しながら行ったのだけど、メールであらかじめ資料を送ってあったこともあり、とても和気藹々とした雰囲気の中、担当者の方とお話することができた。しかもその担当者さんは「ぜひ協力させてください。すぐに上司を説得しますので!」と力強く約束してくださった。まだ確定ではなかったとは言え、この会社についてはほぼほぼ大丈夫だろう、という感触があり、実際数日後には『協賛決定』の連絡を手にすることができたのだった。
しかも、後日商品を受け取りに行ったところ、私は希望していたバックパックだけいただけるのかと思っていたら、なんと洋服もたくさん用意してくださっていて、贅沢なことに商品サンプルの中から選びたい放題だった。その気前の良さに少し圧倒されつつ、そして気持ち遠慮しつつ、結局、60Lの軽くて機能性抜群のバックパックと、サブバックとしてもうひとつ、小さめのリュックサック、さらにウインドブレーカーやらフリースやら部屋着やら、と、必要なものをひと通りいただいた。なんともありがたいことに、とても持って帰れる量ではなかったので、大阪の自宅に配送までしてもらったのだった。
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もう1社のアウトドアブランド『Coleman』さんは、メールで「バックパック、寝袋、テントを提供させていただきます。」と連絡をくださった。担当者の方と直接会ってもおらず、メールだけのやり取りに少々拍子抜けだったが、ありがたくそのお申し出を受けさせていただいた。ただ、バックパックは既に『karrimor』さんにいただくことが決まっていたので、代わりにショルダーバッグをお願いすることにした。また、さすがに世界一周するとは言え、女性一人でのテント泊は想定していなかったので、テントの提供については丁重にお断りさせていただいた。兎にも角にもこれで2社めの『協賛決定』。
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そういえば
競合会社だけどいいのかな?
「問題ありませんよ」
ここでハッと『karrimor』さんと『coleman』さんは競合会社になるので、そんな2社から協賛をもらっても良いのだろうかと心配になり、念のため、両社の担当者さんにそれぞれ、アウトドアブランド2社から協賛をいただけることになったと恐る恐る伝えてみたところ、どちらも「問題ありませんよー」と快い回答をくださったので、ホッと一安心した。
最後に3社目の、カメラブランド『PENTAX』を扱う『リコーイメージング』さんに至っては、やり取りが少々難航した。「会って話が聞きたい」とおっしゃってくださったのだけれど、実はもう東京のシェアハウスを引き払い、大阪に戻ってしまった後だったので、「大阪でどなたか別のご担当の方をご紹介いただけませんか」とお願いしてみたところ、大阪には広報担当は置いていないとのことだった。それでもメールで引き続きご対応いただけたことは本当にありがたかった。企画の内容について、というよりは旅そのものについての質問(たとえば、旅の期間やルート)などが次々に飛んで来て、中にはイマイチ質問の趣旨が掴めずどう答えて良いか悩ましいものもあったが、「せっかくのこのチャンス、逃すまじ!」と一生懸命考えて回答した。
数日間、東京と大阪で何度もメールのやり取りが続いた。正直、私はだんだん焦ってきていた。出発まで2週間を切っており、先方の感触が読めなかった。連絡をくださり、やり取りを続けてくださっていることから考えると、悪い感触ではなさそうだと思いつつも、『karrimor』さんや『coleman』さんのように即決という感じでもなかった。ただ、ここまで来るとどうしてもカメラは協賛してもらいたかったので、最大限の熱意をこめて頭を下げたところ、最終的になんとかこちらが押し切る形で、出発の5日前にようやく『協賛決定』の連絡をいただけたのだった。(「押して、引いて」の駆け引きではなく、どちらかと言うと、こちらが「押して、押して、押して、もひとつ押して」という感じだった……笑)
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気になる企画書の内容は
「世界で働く同世代にインタビューして発信したい」
ちなみに、このとき提出した企画の内容というのは、簡単に言えば、世界で働く日本人、外国人にそれぞれインタビューして、それを記事にまとめて発信する、というもの。その活動を通して、自分と同世代、また、もっと若い世代の働き方や生き方に、少しでも有益な情報を提供できれば、と考えたものだった。
運も相当味方してくれたとはいえ、このときは、本当に不思議なくらい気分がノッていて、自分で言うのも何だけど、この旅を通して、自分がやろうとすることは何でもできてしまうんじゃないかと思えてしまうほどだった。そして、そんな旅の行く末が楽しみで楽しみで、想像するだけでワクワクした。よく「旅は準備が一番楽しい」なんて言われることも多いけど、実際にそうだったなぁと振り返ってみてしみじみ思う。
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Special Thanks : この旅をサポートしていただき、ありがとうございます! 有効に活用します
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(次回もお楽しみに。隔週水曜 更新予定です)
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連載バックナンバー
第1話 世界一周、ふたを開けたらため息ばかり(2014.10.8)
第2話 旅は準備が一番楽しい。出発までの10ヶ月なにをしたか(2014.10.22)
第3話 ダメでもともと、初めての協賛(2014.11.5)
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小林圭子さんが世界一周に出るまでの話
『一身上の都合』 小林圭子さんの場合「次なるステージへ挑戦するため」(2014.5.19)