舛廣純子が聞く「しなキャリ図鑑」 【第38話】 絵日記学講師のチカラ / 塩崎沙和さんの場合

masuhirojunko_long_banner障害がわかり、絵日記学が自分の使命と心底思えたことで、迷いがなくなりました。「自分のやりたかったこと」が「この世界で求められていること」とつながった瞬間でした。社会と初めてちゃんとつながった、自分の命が初めて役立てる、私、生きていていいんだと
連載「しなキャリ図鑑」とは  【毎月1回更新 / 第4月曜】
「しなやかに生きる人のためのキャリア図鑑」の略称。キャリアカウンセラー舛廣純子が、イキイキと働く仕事人にインタビューし、その仕事に大切なチカラを中心にキャリア・仕事そのものも掘り下げます。10年後の未来に自分がどんな風に仕事をしているのかも見えづらくなった今の時代。インタビューを読むことで、自分の持っている力にも気づいたり、したことのない仕事に興味を持ったり、これから伸ばしたい自分の力を見つけられたなら、あなたの仕事人生も変化に対してさらに強くてしなやかなものになっていくかもしれません。

 

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第38   絵日記学講師のチカラ 
感力と思考力を用いた絵日記を通じ、その人の夢の実現へと導く

TEXT : 舛廣 純子

塩崎さん①
教えてくれた人 

塩崎 沙和(しおざき さわ) 絵日記学講師 

絵日記学の講師。1981年生まれ。モーンガータ代表。
子供の頃から記憶障害に悩み、絵日記を書き始める。20年以上書いてきた絵日記を元に、デザイナー、エステティシャン、営業、美容カウンセラーの経験を経て、独立。心理学や自己啓発など色々学んで、セミナーを転々とする大人を対象に、絵日記を使って自分と向き合う講座『絵日記学®︎』を立ち上げる。

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<絵日記学講師にとって大切な能力はなんですか?>  
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1. 自分を律する力   セルフアウェアネス

生徒さんと向き合う時に、自分の心がぶれていないのか常に自分自身を見つめ、振り返ることを大切にしています。自分の心が曇っている状態では、生徒さんにこの講座を自信を持って提供することはできないんですよね。この講座で得られるものがこれですよ、と自分自身が体現できていなければいけないと考えています。自分自身を常にチェックするために、手帳には「自分の心が曇っていないか」「素直でいられているか」「感謝を忘れていないか」「自分を幸せにする選択はできているか」の4つをチェック項目としてあげ、常に振り返るようにしています。

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2. 感力   感受性 

自分の気持ちにも生徒さんの気持ちにも敏感である事。感じ、気付く力ですね。自分の気持ちをわかるために絵日記を書き続けることも大事です。事実だけでなく、気持ちを描くことで、自分の中の感情を見逃さなくなります。違和感や直感とかも感じるチカラがなくなると鈍くなってしまいますよね。大人になると感情をないがしろにしがちですが、それを続けていると、本当に自分のしたいことも見えなくなります。感力とはセンサーみたいなもの。絵日記を書く以外にも、普段から意識して五感を使うようにしていますし、絵日記学の授業の中にも五感を研ぎ澄ますようなワークを入れています。

 

3. 思考力  

絵日記学を趣味ではなく、仕事にしていくには思考力が必要でした。右脳の感覚が発想力やイメージするものであれば、そのイメージを地に足をつけ、夢を実現させていくのが思考力ですね。そのためには絵だけでなく言葉にすることはとても大事です。いつも「それほんと?」と自分に問いかけることも大事にしています。そうすることで、冷静に事実を見ることができる。自分の空想や憶測、拡大解釈でないかを確認するために、いつも自分で自問自答しています。そうやって考え出すと問題解決の糸口も見えてきて、選択肢を広げたりすることができるので、感情の波にのまれることなく、行き詰まりを突破することができますよね。相手の「言葉になりきらなかった気持ち」を理解し、言葉にするにも思考力はとても大事です。

絵と言葉、両方が絵日記には大事

絵と言葉、両方が絵日記には大事

 

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<なぜ絵日記学講師になったのですか?>  
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生まれつき、記憶障害があり、小学校に入ったころから何か自分は変だと思っていました。そのことに気づきながらも、うちは母一人子一人であったため、親に言うこともできず、ずっと隠し通していました。他の人が普通にできることが何でこんなに自分にはできないんだろう、って。忘れ物だけでなく、ちょっと前の記憶や楽しかった思い出もどんどん忘れていってしまうんです。「このままじゃ自分はまともな大人になれない」という思いを必死で隠すために、記録をしていました。これを見れば大丈夫、と。自分の記憶をとどめるために始めたのが日記でした。

また、記憶が苦手だと学校の授業もやっぱりわからなくなってしまって。そうすると授業も飽きちゃうんですよね。だからずっとノートの端に絵を描いていました。なので、日記にもつい絵を描いちゃったんです。これがなぜだかすごく愛しくて、ここから絵日記を書き続けるようになりました。

小さいころ、よく「なぜ?なぜ?」って親に聞いていたんですけど、ある時親にそれを禁止されて。でも自分の中ではそれが止められなくって、自分の中だけで「なぜ?」と考えてはその結論を探すようなことをしている子でした。絵日記学はある意味で哲学。あらゆるものに疑問を持って、自分で解を見出す、そんな哲学のためのトレーニングを絵日記を通してずっとしていました。

絵日記をスタートした中学生時代の絵日記

絵日記をスタートした中学生時代の絵日記

 

そうやってあらゆるものに疑問を持つことは、ある意味頭ごなしに抑えられることに反発するチカラにもなっていきました。中学の時はひたすらマンガを書くオタクでしたが、高校に入り、自分の親というよりも社会とか大人に対して急に反発するようになりました。ヘアスタイルもホワイトブリーチのベリーショートにして。高校の正門で先生に止められた時も、他の子たちは染めていても茶色だから何も言われないのに、ホワイトブリーチの自分だけが注意されるのに納得が行かなくって反発しました。でもそのうち、停学、退学という話になり、しかたなく学校にいる時だけはかつらをかぶることにしました。

反発だけでなく、「オタクってみられたくない。一般の人、普通に見られたい」という思いもあり、ギャルの格好も一生懸命していました。でも、手に入れた「みんなと一緒」は、自分にはちっとも楽しくなくって。みんなと一緒だから、普通だから楽しいわけではないんだな、そんなことを悟った高校時代でした。

卒業後すぐには専門学校には行かず、一年間フリーターをしてグラフィックの専門学校に行きました。高校を卒業したから次の進路を選ぶ、みたいな感じで自動的に進路を選ぶのがどうしても嫌で、自分の気持ちを確かめたくて一年間フリーターをしました。結果、アルバイトをする中で働く大変さ、学ぶことのありがたさを感じ、やはり進学することを選びました。貯めた100万円も親に決意表明として渡して、学費の足しにしてもらい、頭を下げて進学させてもらったので、専門学校の時は本当に勉強し、クラスでもトップレベルに上り詰めることができました。

卒業後、最初に就職したのはデザイン事務所でした。2年弱勤めましたが、自分が体を壊して鬱になり退職しました。「おはようございます」の次は「お先に失礼します」を言うような環境で、パソコンしか見ず、化粧もしていませんでした。うまくできないと残業、泊りの負のループで、心身ともにずたぼろになり、最後お医者さんにも勧められて退職しました。

辞めてしばらくは感情も何もわかず、食べ物を食べても何の味もしなくて、家に閉じこもり、何もできない日々が続きました。そんな時、家に転がっていたチラシのエステの体験を何気なく見つけ、「そういえば女も捨てているし、お金の使い道もないしな。」と思ってエステの体験に行ってみました。それまで、美には全然興味がなかったのですが、エステの帰り道、表参道を歩いた自分はなんだか堂々と歩けていて。その時「女性にとってきれいになるって心にこんな効果があるんだって。表面の問題ではなくて、内面にまで影響を与えるんだな」と実感しました。

すると美容に一気に興味が出てきて、美容学校を探して、すぐに学校を見つけ申し込みました。そこでも全力で3か月間学び、最後優秀賞をもらい、そのまままた学校の推薦でエステに就職しました。いじめがひどい環境ではありましたが、お客様と話しているうちに、自分の中に「きれいってなんなんだろう」「美しさとはなんなのだろう」という問いができ、その答えを見出すために働いていました。3年ぐらい働く中で自分なりの答えも出て、中堅として実績も出せていたのですが、会社の営業方針とずれていってしまって。そうしたらなんだか熱が一気に冷めてしまい、モチベーションも急速になくなり、辞めることを選びました。

体の中から美しくなることにも興味があったので、退職後、サプリメントの営業につきました。超体育会系、バリバリのロジカルで、成功重視の会社でした。時間の無駄になる絵日記を辞めるよう言われ、成功手帳をつけることを求められました。「わかりました!」と絵日記を辞めたものの、なぜかだんだん苦しくなっていきました。成功するために絵日記を辞めたはずなのに、どんどん苦しくなって、体調も悪くなり、サプリメントも勧められて飲んだのですが、「栄養だけでは人は健康にはなれないのかも」と感じるようになりました。ここで「人にとっての正解は自分にとっても正解ではないのかもしれないな」と再び感じるようになりました。あらためてそこで自分にとって大事なものを考える中で、振り返ると自分はずっと感性の人だったことに気づきました。その、自分の素質である感性が絵日記を選んだのに、自分にとって大切な感性を失ってまでお金や時間を手に入れることが本当に成功なんだろうかとしばらく悩みました。最後、自分にとっての絵日記の大事さに気づき、その会社を辞めました。

その後は派遣で簡単な仕事をしていましたが、これでは楽すぎてだめになると思って、30になる前に学生時代からの夢を叶えようとフランスに行きました。でも、本当は仕事を転々とし何もない自分から逃げるためのフランスで、そんな甘い考えの人間に一発逆転なんて起きず、ただ挫折して帰ってきました。本当は何もないスカスカの自分を思い知らされた経験ですが、ここで挫折し、本気で自分に向き合ったおかげで、作られた自分ではなく、本当の自分の人生を生きていこうと思うことができるようになりました。

帰国後、高校時代かつらをかぶっていたこともあり、ウィッグの会社に興味を持ち、働き始めました。そしてその仕事をしながら、絵日記を使った起業に向けて準備をしたり、トライアルレッスンをしてみたりしていました。心理学やカウンセリング、コーチング、脳科学、物理学、歴史などいろいろ学べば学ぶほど、絵日記の裏付けとなる知識を得ることができました。最終的に「やりたいことが見つかった。きっとできるだろう」と明確な事業計画など立てずに勢いで会社を辞めてしまいました。

勢いだけの起業、当然当初は散々でした。「絵日記学にはどんなメリットがあるの?」と聞かれても明確に答えられず、集客もできず、貯金を切り崩してやっていたら、残高ゼロにまでなり、「家賃が払えない、どうしよう」というところまで追い詰められました。(笑)

それでも「残高ゼロになりました!でも頑張ります」とFacebookで自己開示したところ、賛否両論いろいろありましたが、いろいろな人が「気になっていたから、次やるとき行くよ」「米だけ送るね」と応援して下さいました。親友からは朝、急にお茶に誘われ、行ってみたら、「この5万円で、私を絵日記学で変えてください」と封筒を渡されたことも。ありがたいことにそうやって徐々に受講生が増え、少しずつお客さんがくるようになりました。 そこから講座をどんどんブラッシュアップしていきました。

「講座やります!」と立ち上げて、絵日記の素晴らしさを広めたいという想いはあったものの、実は最初は具体的なコンテンツは何もなく、第一回目の講座はどうにか開催したんです。そして、そうやって話していく中で受講している人のすごく響いているところとピンときてないところを見ながらどんどん改良を重ねました。

生徒さんの反応がプログラム改良へのヒント

生徒さんの反応がプログラム改良へのヒント

そんな常に自分で背水の陣を敷いている感じでしたが、アイデアが浮かんだ時点できっと自分の中には完成形のビジョンはあるんですよね。ただ、感覚の人って、それを具体化まで降ろすところが苦手で。私も自分の中になんとなくモヤモヤとだけあって形のハッキリ見えないものを、一つ一つ汲み上げて言葉や講座という形に翻訳していくのにはめちゃくちゃ苦労しました。

回を重ねる中で、こういう人に特に結果が出て満足してもらえるとか、こういうところに価値を感じてもらえるんだと、生徒さんたちの声の中から改良の材料をもらって今の形になっていきました。

オトナになると、自分の気持ちを抑えるのも上手になります。「〇〇したほうがいい」とか「〇〇すべき」という考えに覆われて、自分の本当の気持ちが自分でも見えなくなっていきます。でも自分の心に蓋をしても、その蓋の下で想いはずっとくすぶっているんですよね。蓋の下の「本当はやりたいこと」を見いだせた時、人は自分の生き方に確信を持ち、強くなることができます。だから大人にこそ、自分の本当の気持ちを見つける必要があるのだと思います。

自分の本当の気持ちや特性を知るという自己の理解をしたうえで、自分を取り巻く社会と自分をつないで夢を形にし、実現していく―そんな大人になるが絵日記学であり、これからも一生をかけて広めていきたいと心から思っています。

絵が苦手な人でも大丈夫なようにと開発したオリジナル教材

絵が苦手な人でも大丈夫なようにと開発したオリジナル教材

 

 

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<絵日記学講師とはどんな仕事?>

 

月に一回の講座、コンテンツ作成、講座運営、生徒さんのフォローアップ、小学校でのセミナー・講演、ホームページ管理などが仕事です。講座だけでなく、マンツーマンでフォローもしているので、受講者の方とのコミュニケーションは多いですね。

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<一日の仕事スケジュールは?>

9:00   講座テキスト読み込み、加筆修正
11:00  生徒さんの宿題絵日記読み込み
13:30〜16:00  絵日記講座
17:00  今日の講座や感想から得た講座改善や新たな仮説洗い出し
19:00  絵日記書き
21:00  夫と今日のできごと報告会


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<仕事のやりがいや面白みはどんなことですか?> 

絵日記学は、絵と言葉で自分と向き合って、本当の自分を見つけ、本当の大人になろうというものですが、最終回を終え、感想を聞いたら、「今まで心理学や自己啓発などいろいろなセミナーに参加したけれど、こういうセミナーってたいてい一部の優れた人だけは変わって、その他大勢の人は変われず、他の人はまた違うセミナーに行くんですよね。この講座は沙和さんみたいになれるのかなと最初思って受けたけれど、むしろ自分になっていくんですね。同期みんながみんな変わったから、この講座ってすごいですね」と言ってもらえたんですよね。そんな声を聞けたときは嬉しいですし、皆さん、最初はモヤモヤで曇っていた眼がだんだん澄んでいくんですよね。

自分の心に嘘のない状態になっていくことで、子どもの頃のような輝いた目や自分の芯を手に入れられて行きます。更に自分自身のことを知ることで、自分の判断基準も明確になり、どんどん自分の生き方を選択し前に進んでいきますね。そんな皆さんのかっこいい大人の顔への変化を垣間見れた時にはやりがいを感じますね。

塩崎さん⑥

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<一番嬉しかった経験はどんなことですか?>

自分は、「何か人とは違う」と思いながらも、障害と確定されるのが怖くて、診断は受けずに生きてきました。でも、障害が絵日記を書くきっかけだったので、起業後、障害と向き合おうと思い、病院で初めて検査をしたらやはり記憶障害でした。診断が出て腑に落ちた一方で、最初の一週間はショックで考え込んでしまいました。自分のこれからはどうなるんだろう?仕事は?結婚は?って。明るい未来がないということが一気に決定づけられてしまったような気がしました。

そんな私が一番感動したのは、絵日記学の講座の最終回を作っている時に、私の人生の意味がポロリと見つかり過去の全てが繋がった瞬間です。

「あぁ、そうか。絵日記学って、人に『答え』を教えるものじゃなくて、問題を解く『公式』の部分を与えて一人一人が自分だけの答えを出すためのものだったのか。だから色々な自己啓発セミナーに行っても自分が本当にやりたいことが見つからなかった生徒さんたちがみんな『絵日記学で初めて見つかった』って言ってたんだ。そのためには、曖昧なままでも勢いだけのスタートであっても、絵日記学を立ち上げたのは正しかったんだな。そして私がもし絵日記を書いていなければ、絵日記学なんて絶対作らなかったよな。あれ?そもそも絵日記を書き始めたきっかけって、記憶障害だったからだ。つまり、私がこの使命にたどり着くために、記憶障害である必要があったんだ! だって障害がなければ絵日記なんて書いてないからな! ということは、障害であることにすらも意味があったんだ! すごい伏線だ! 人生って面白い! Life is ドラマ! 」と一人で盛り上がりました。(笑)

自分の障害がわかり、絵日記学が自分の使命と心底思えたことで、迷いがなくなりぶれなくなりました。「自分のやりたかったこと」が「この世界で求められていること」とつながった瞬間でした。社会と初めてちゃんとつながった、自分の命が初めて役立てる、私、生きていていいんだと初めて思えたんです。ずっと普通ではない自分に悩んできましたが、今は自分のこの記憶障害に誇りを持つことができています。

 

<逆に今まででもっとも大変だった経験は?>

 

感覚に従って勢いで行動できるのは私の強みですが、ビジネスの中ではロジカルの要素がどうしても必要で、それがないと人に説明も上手にできないんですよね。生み出すエネルギーはあってパワーもあるのだけれど、そのあとうまくビジネスを回せない。起業した後、「どうしたら、この絵日記学の良さが人に伝えられるのだろう」と悩み、自分のやっていることに自信や確信を持てるまではつらかったです。感覚でわかる人はついてきてくれても、ロジカルな思考の人には私の説明はわかりづらい。最初は「どうしてわからないんだ!」ぐらいに思っていたのですが、やっぱり頭打ちが来て、これではいけないなと思うようになりました。

ロジカルの必要性もようやく認め、欲しくないと思っていたロジカルですが、ロジカルを教えるようになると、生徒さんもものすごく言語化力がつくようになりましたね。何か壁にぶつかった時も、ロジカルの力が乗り越えるのを支えてくれます。感性と思考、絵と言葉両方そろって、初めて物事って本当のことが見えるんだなってことを実感しています。ロジカルを手に入れるプロセスは大変でしたが、人は大人になってもいくらでも変れるなと思った時でもありました。

小学校のキャリア教育の授業での様子

小学校のキャリア教育の授業での様子

 

 

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<絵日記学講師の未来はどうなっていくと思いますか?>

これから人生100年時代の中で働く時間も延びると言われていますが、その働く時間が楽しいと思えないものだったら、苦痛が延長されてしまうということですよね。だからこそ、自分が何を求め、どんな生き方をしたいのかを見つめ、考える人は増えていくのではないかと。

絵日記学も、もっと多くの人の助けや力になれるのではないかなと思っています。そのためには絵日記学を多くの人に知ってもらう必要があり、生徒さんの中から「自分も絵日記学を伝えたい」と手をあげてくれた『同志』たちと、一緒に広めていきたいなと思っています。

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<他に向いていそうな仕事はありますか?>

常になぜなぜ考えるところはあるので、無学な哲学者か、迷惑な発明家とかはありえそうですね(笑)。思いついたらやり遂げるところまでやってしまうところがあるので、何かを生み出すのは得意かもしれませんね。

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キャリアカウンセラー舛廣純子の  シゴトのチカラ考察  .

 

「記憶障害があったからこそ、絵日記学講師の仕事に巡り合えた、というよりも絵日記学講師としての使命があったからこそ自分の初期設定が記憶障害だった」とおっしゃっていた塩崎さん。

物事はポジティブな側面に光を当てられるか否かで全くその事柄の意味合いを変えていくのだと思います。障害や自分の特性を自分の誇り、自分の宝と捉えるか、それとも自分のマイナス要素と捉えるかで、「だから私はこの特徴を持って生まれた」と思えるか、「どうして自分はこの特徴を持って生まれてしまったのだろうか」になるか変わってくるのでしょう。

塩崎さんにももちろんポジティブに考えられるようになるまで、山あり谷ありいろいろあったはずですが、インタビューさせて頂いた時の塩崎さんは心から自分の記憶障害という特徴に誇りを持ち、使命を感じていらっしゃいました。その言葉はとても強く、自分の中の確信、ぶれない気持ち、澄んだ瞳、まさに塩崎さんがおっしゃる「絵日記学で手に入れられるもの」を体現されているようでした。

そういった塩崎さんの自分の言葉に対する自信、確信は単に塩崎さんが楽観的とかそういうことではなく、塩崎さん自身が「自分を律すること」を講師として大事にしているからだと伺い、すごく誠実に講師として生徒さんに向き合っていると感じました。こういう塩崎さんの誠実さ・実直さがきっと塩崎さんの周囲にたくさんのサポーターを生み出し、塩崎さんに惹かれる生徒さんを増やしていっているのではないのでしょうか。

絵日記学講師にとって感力と思考力ともに大事。講師として生徒さんの心を感じ、理解し、プログラムを作り、伝え、維持運営していくために両方が必要ですが、絵日記学自体も感力と思考力両方を育ててくれるものです。絵と言葉が合わさって初めて自分を見つめなおすことができる絵日記学。誰かに見せるわけでもない絵日記を感力と思考力を存分につかい、表現する中で、本当にその表現が今の自分に合っているのかを自分に問いかけるプロセス、書いたものを振り返るプロセスはまさにセルフカウンセリングそのもの。学びジプシーの人が様々な学びを経ても満たされず、さまようことを繰り返した結果、絵日記学に救われるのは、答えは結局自分の中にしかなく、そこにじっくり向き合うことでしか自分の解は見つけられないということなのかもしれませんね。

 

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(次回もお楽しみに。不定期ですが頑張って更新します) =ーー

ご意見ご感想をお待ちしています 編集部まで

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 過去の舛廣純子さんの働きかたエッセイ 

TOOLS 13   自分を好きになるリフレーミング
TOOLS 19   後悔しない道の選び方(前編)
TOOLS 20  後悔しない道の選び方(後編)
 

舛廣さんってどんな人?

PEOPLE 04 舛廣純子(キャリアカウンセラー)
就職は子育ての最終章。就活生の親に読んで欲しい本を出版

 


舛廣純子

舛廣純子

ますひろ じゅんこ フリーランスキャリアカウンセラー。1972年、東京都出身。日本女子大学人間社会学部文化学科卒業後、化粧品商社に営業職として入社。会社の民事再生、自身の出産・育児を機に2 回の転職を経験。自らの転職経験からキャリア支援に関心を持つようになり、社会保険労務士、キャリアカウンセラーの資格を取得。2007 年、キャリアカウンセラー・講師として独立。大学生の就職支援・キャリア教育、社会人の転職支援・キャリア形成支援を中心に活動。支援学生の高い就職率とわかりやすいセミナーには定評がある。特技は長所探し。2013年12月に学研教育出版から『就活生に親が言ってはいけない言葉 言ってあげたい言葉』を出版。ブログ:http://ameblo.jp/shuukatsumamanoblog/