もともと「手に職を付けたい」と思っていて、理学療法士は社会人になってたまたま読んだ資格の本で知りました。事務作業だけでなく、人に何かを伝えたり、ずっと勉強しながら一緒に変化できて、一生働ける仕事って興味あるなぁと思いましたね。寝返りも打てない、一人でまっすぐ立つ事もできなかった患者さんが、数か月後には杖をついて一人で歩けるように
連載「しなキャリ図鑑」とは 【毎月1回更新 / 第4月曜】
「しなやかに生きる人のためのキャリア図鑑」の略称。キャリアカウンセラー舛廣純子が、イキイキと働く仕事人にインタビューし、その仕事に大切なチカラを中心にキャリア・仕事そのものも掘り下げます。10年後の未来に自分がどんな風に仕事をしているのかも見えづらくなった今の時代。インタビューを読むことで、自分の持っている力にも気づいたり、したことのない仕事に興味を持ったり、これから伸ばしたい自分の力を見つけられたなら、あなたの仕事人生も変化に対してさらに強くてしなやかなものになっていくかもしれません。
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第25話 理学療法士のチカラ
患者さんの思いや状態に気づき、ポジティブに関わることで、心身の機能回復に導くチカラ
TEXT : 舛廣 純子
教えてくれた人
斉藤 桃(さいとう もも) 理学療法士
短期大学卒業後、営業事務として一般企業に就職。その後理学療法士の資格取得のため、派遣社員に働き方を変更し、昼間は会社員、夜間は理学療法士の専門学校に4年間通い国家資格取得。リハビリテーション専門病院で勤務した後、現在は訪問看護ステーションに勤務し在宅での治療を行っている。
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<理学療法士にとって大切な能力はなんですか?>
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1. 患者さんやご家族の身体機能の状態や思いに気づくチカラ 観察力 理解力
理学療法士は、病気や怪我、内科疾患などの身体機能回復に向けたリハビリを行う仕事です。ご本人の訴えはもちろん、自覚がない心身の状態に対しても動作や会話などから注意深く観察し、治療を行っています。また身体機能だけではなく、同時にメンタル面のサポートを行うことも重要な仕事になります。回復を望んでいてもなかなか元通りに体が動かないもどかしさや、長期間におよぶ訓練のストレス、現在、今後についても不安を感じたり、患者さんの気持ちは日々揺れ動きます。病院から自宅に戻ってリハビリを継続する場合も、以前のようにできたことができない苛立ちや、家族への遠慮や期待、過介助など、ご本人も家族も言いたいことがあるのに言えない方もいます。そのため言葉はもちろん表情や仕草などから察して「〇〇はどうですか?」「△△してみましょうか?」と伺うこともあります。
特に「高次脳機能障害」という脳に障害が残る場合、失語症と言われる言語障害も出る方もいて、言葉での会話ができない方もいます。視線のその先を感じたり、我慢していないか、訴えはなにかなど、細かな配慮をし、患者さんの本当の思いに気が付くことが大切だと思います。
また在宅で行う訪問リハビリでは病院に比べて、より医療スタッフと家族との関係が近くなるケースも多いですね。本当はもっと動いてほしい、外に出て欲しい、など家族からの訴えを聞いたり、リハビリ以外の時間の過ごし方などの情報収集をしたりと協力しながら進めています。
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2. さまざまな人と連携するチカラ 協働力
一人の患者さんを受け持つと、医師、看護士、作業療法士、福祉用具の会社、ケアマネージャーなど多職種と連携を取りながら進めていくことになります。また同じリハビリでもデイサービスにも同時に通っている方もいらっしゃり、方向性を合わせるため現状行っている訓練やゴール設定についても明確にしながら進めています。
3. 自分自身を良い状態に保つチカラ 自己管理能力
患者さんによっては、前向きな話ばかりではなく自分自身や家族、置かれている環境や将来の不安など負の気持ちを受け止める場面も多いです。ネガティブな感情に触れることもあり、体だけでなく精神的にもエネルギーを使うこともあります。でも負の感情や疲れをそのまま次の患者さんのところまで持ち越すことはできませんし、溜め込むことも良くないですよね。日々気持ちの切り替えと、休日には友達と会う、趣味を楽しむ、ランニングをしたりと、休息も積極的にとっています。まずは自分自身が良い心身の状態を保ったうえで関わりたいと思います。
また、私自身は患者さんに対してできるだけポジティブな言葉がけや承認を大事にしています。「●●をしないと、動けなくなっちゃいますよ」ではなく、「●●をすると▲▲ができるようになりますね」とか「前回よりもよくなった!」など少しでも喜びを見つけては、言葉や態度で返しています。そのためにも、自分の心の状態も健康に保つことが大切だなと日々感じています。
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<なぜ理学療法士になったのですか?>
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学生卒業後は当たり前のように会社員になると思っていましたが、これと言って希望する仕事も浮かびませんでした。仕事はずっと続けたいと漠然と思っていましたが、目標が定まらず、結局何となく面接に受かった会社に入り営業事務の職につきました。その後は仕事も慣れリーダー的な役割も任されるようになりました。
世代が近い人たちが多い職場だったからか、職員で飲み会をしたり、プライベートでも旅行に行ったりと、楽しくて、どこか学校の延長のような雰囲気さえありました。しかし、ずっとこのままでいいのか? という不完全燃焼さは常に感じていましたね。その時は楽しくても流されている毎日に不安もありましたし。もともと「手に職を付けたい」と思っていて、理学療法士という資格は社会人になってたまたま読んだ資格の本で知りました。事務作業だけでなく、人に何かを伝えたり、ずっと勉強しながら一緒に変化できて、一生働ける仕事って興味あるなぁと思いましたね。国家資格というのも魅力でした。
その後20代後半で、昼間は会社員をしながら、同時に夜間の専門学校に通い始めました。
いざ学生生活が始まると予想以上にハードでした。毎日朝の8時半~17時まで会社員、その後学校に移動して、18時から21時過ぎまで二コマの授業をこなす。そこからカフェでレポートやグループワークをする一日が月曜から金曜日まで毎日です。帰宅はいつも22時半~0時近くで4年間は平日に遊びに行くことはほとんどなかったですね。それまで時間もお金も自由に使い、丸の内や銀座などお洒落な場所で時間を過ごしていた生活が一変しました。4年間の学費は高額で、流行りのお洒落なお店で楽しむ日々から、缶ビールを買って皆で公園で飲むようになったり。それはそれで楽しかったですが。
時間の拘束だけでなく、それ以上に授業の厳しさが大変でした。けっこうな大人の年齢になっていましたが、授業では真正面から怒られるという。クラスの半分以上は昼間は病院の助手の仕事をしていましたが、私はそのまま普通の会社員だったこともあり、当時は患者さんのイメージが湧きにくかったですね。先生によっては朝から緊張していましたよ(笑)。 年2回行われる試験では大学と同じで赤点を取ると再試、または留年の危機があるので常に切迫した気持ちで試験に臨んでいましたし、病院の実習では実技と、ここでもレポートに追われ睡眠時間が1~2時間で数か月過ごしていました。
正直「入学してしまえば何とかなるだろう」というどこか甘い考えがありましたが、それも速攻砕けましたね。幸いクラスメイトには恵まれて、今でも嬉しいことに付き合いが続いていますが、お金を貰ってもあの生活には戻れないですね(笑)。まぁ、一生に一回くらいあれくらいハードな生活を送っても良いのかなと、今となっては思いますが、やっぱりもう無理ですね(笑)。
国家試験に合格し、理学療法士の資格を取得して始めに勤務したのはリハビリ専門病院でした。リハビリは大きく分けて「急性期」「回復期」「維持期」の3つの期間で分けて考えられます。病気や怪我を発症してすぐに運ばれるのが「急性期」、その後急性期を脱してまだ医学的・社会的・心理的なサポートが必要な患者さんに対して、多くの専門職種がチームを組んで集中的なリハビリテーションを実施し、心身ともに回復した状態で自宅や社会へ戻っていただくことを目的とした「回復期」、回復期のあとに緩やかに維持・回復するのが「維持期」と言われていますが、もちろん維持期でも大きく改善することはありますし。私はその中で「回復期」と言われるところで勤務していました。
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<理学療法士とはどんな仕事?>
病気や怪我、生活に支障をきたしている方に対して、元の生活に近づけるようリハビリ指導を行います。わかりやすい例でいうと、脳卒中などの中枢障害、大腿骨頸部骨折、アキレス腱断裂や膝関節の変形などの整形疾患、その他ガンや内科疾患などの多岐に渡る身体機能にアプローチしていきます。筋力訓練やバランス訓練に加え、歩行訓練もただ歩くだけでなく歩容を修正しながら進めます。麻痺が残る方には痛みや感覚を確認しながら進めています。その他入浴やトイレ動作の方法を伝えたり、家族にも介助指導を行うことも多いですね。
活躍の場所はいくつかあり、病院やクリニック、デイサービス、訪問リハビリ等あります。病院の中でも先ほどお話しした急性期、回復期、維持期とあったりしますが、リハビリを行うという面では同様です。退院後の生活や社会復帰に向けてゴール設定を考え、患者さんと一緒に進めていきます。施設によって役割が少し変わり、病院では日々の変化に注意しながら退院後の生活を視野に入れます。クリニックやデイサービス、訪問リハビリではすでに在宅にいるので家庭でのリハビリ指導することが中心になりますね。整形疾患のクリニックだと怪我の方が多いですし。
リハビリが始まると、まず現状困っていること、今後の課題や目標、希望していることなど、ご本人や家族から話を聞きながら治療計画を立てます。リハビリと言うと、筋力訓練やストレッチのイメージがもしかしたら強いかもしれませんが、ベッドからの起き上がりや立ち上がり、立位保持など日常生活動作にも重点をおいています。
歩行訓練はとても大切です。独歩なのか杖なのか、麻痺が残っている場合まっすぐ歩けているのか、バランスや耐久性、どこの筋肉が緊張し過ぎているか、反対に弱くなっているか屋内屋外ではどう変わるか、歩容の状態や姿勢を細かく観察し、痛みなど聞きながら、リハビリを進めています。
また自宅の生活を確認し、福祉用具の設置も検討します。ご本人の身体能力に合わせた動線を考えて、特にトイレやお風呂、ベッドの位置、階段、玄関の高さや段差などなど多岐に渡るチェックをし、実際の生活が困らないように準備、改善指導もしています。
病院勤務から訪問リハビリに移ったことで、変わったことはいくつかあります。病院では毎日リハビリが行えたり、リハビリ以外にも常に医療者の目が入ります。夜間の状態や食事、トイレ動作や入浴などその他医療者から伝達されています。在宅では介護保険の関係もあり、週の訪問時間に制限がかかるためグッとリハビリ時間が減ります。そのため、限られた時間で行うこと、また在宅での様子も家族に確認したり、自主訓練の必要性も高くなりますね。病院でも在宅でも家族との話し合いや多職種との連携も必要ですね。
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<一日の仕事スケジュールは?>
今は訪問看護事業所に勤めているので、月曜日~金曜日で以下のようなスケジュールで行動している日が多いです。
8:30 出勤 看護士やリハビリスタッフとのミーティング
9:00 自転車で10~15分掛けて移動し、患者さん宅を訪問。 1件につき約40~60分かけて、患者さんのバイタルチェック、機能訓練を行う。 午前中は2~3件訪問
12:00 事業所に戻り、ケアマネジャーや家族との電話対応、看護士からの情報共有した後昼食。
13:00 午後の患者さんの訪問開始
14:00 担当者会議に参加。患者さんの状態や今後について他の担当者と話し合う。
15:30 2件訪問し治療
17:00 事業所に戻り、カルテや報告書を作成。電話対応や他スタッフとの情報共有を行う。
18:00 退社
上記以外にも看護士さんに状態観察を頼まれて同行訪問したり、打ち合わせも入ってきます。
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<仕事のやりがいや面白みはどんなことですか?>
たくさんありますが、特に患者さんの身体機能の変化を一緒に向かい合い、喜びも苦しみも分かち合えることですね。
たとえば寝返りも打てない、一人でまっすぐ立つ事もできなかった患者さんが、数か月後には杖をついて一人で歩けるようになった姿を見ると、その方の頑張りや過程を振り返り胸が熱くなることがあります。リハビリは長期戦になることも多く、病気の受容ができるまで時間がかかる方もいますし、途中で気持ちが落ち込んだり、始めに飛ばし過ぎてモチベーションが続かなかったり、回復度がわかりにくいこともあります。
また周りの人と比べて落ち込んだり。当たり前のように使えていた手や足が思うように動かない。一生懸命やっているのになかなか元通りにならない。時には泣いてしまう。それでも家族や友人から励ましを受けたり、体の変化を感じながら徐々に回復していく過程をみていると、こちらも生きることについて考えさせられます。
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<もっとも嬉しかった経験はどんなことですか?>
病院勤務時代、脳卒中で倒れて入院されていた主婦の方を担当させて頂きましたが、その時のことは今でも記憶に残っていますね。
脳卒中発症から2週間程度で急性期病院から転院されてきた患者さんは、まだ病気の受容ができておらず、感情をコントロールできない状態でした。リハビリ中にもしょっちゅう泣いて、リハビリが中断してしまう。夫も今まで家のこと全て任せていた妻が病魔に侵され、どうして良いか分からず不安定な状態でした。怒りや悲しみのぶつけどころが分からず混乱されていましたし。しかし、徐々に患者さんの気持ちが前向きになり、身体の機能回復だけでなく、スタッフである私とも冗談を言い合える状態まで持ち直してきました。
夫や息子も徐々に現状を受け入れ始め、リハビリにも次第に協力的になりました。退院時、ご主人が「これからは気持ちを入れ替えて家事もしていかなきゃね」と笑顔でお話しされたこと、二人三脚で帰っていく姿を見たときにとても嬉しくて涙が出たことを覚えています。退院後も外来で元気な姿をみると心から応援しようと思いましたね。
<逆に今まででもっとも大変だった経験は?>
大変というより記憶に残っているケースですが、まだまだ働き盛りの患者さんを担当していたときのことは今でも思い出します。年齢も30代と若く、杖と下肢装具を使えば社会復帰も可能なほど身体機能は回復しました。しかし、家族はリハビリで体を良くすることは望んでも、社会復帰することには消極的、むしろ復帰させたくない思いもあり、リハビリのゴール設定が迷走しました。
医療者側やケアマネージャーは連携を密に取り、就職支援までの計画を立てましたが、最終的には本人、家族と話し合い、社会復帰まで至りませんでした。背景には病気になったことがきっかけではあるものの、今までずっと離れて暮らしていた親子がやっと一緒に生活ができるようになったこと、母親も世話を焼きたい、本人としては苦労して今の生活を抜け出す勇気が出ないようでした。
二人が望んだ結論ですが、本人、家族側の思いと医療者側での方向性やゴール設定の相違がときどき起きることがあり、結論はご本人の意見を尊重しますが、今でも思い出すことがあるケースです。
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<理学療法士の仕事の未来はどうなっていくと思いますか?>
医療技術だけでなく人の心にも大きく関わる仕事なので、今後AI等が進んでも人間にしかできない仕事だと思います。
また私が理学療法士になった10数年以上前に比べ、病院以外の訪問看護事業所での求人もかなり増えてきました。病院とは違い、訪問リハビリでは一人訪問がほとんどで、分からないことがあってもすぐ近くにいるスタッフに聞けません。病院のようにリハビリ用具が揃っていないのでその場その場で対応し、自分で考えて応用・設定することになります。患者さんの体調の変化が無いか、血圧コントロールはできているかなどバイタルチェックは必須です。
また、各家庭によってカラーがかなり異なり、本人だけでなくそのご家庭の生活状況に合わせたリハビリを提供しないといけません。今は病院で経験を積んでから訪問リハビリを行うスタッフが大半ですが、今後は入院期間が短くなり、在宅訪問の増加に伴い状況も変わってくるかもしれませんね。また在宅から通うデイサービスも今凄く増えており、レクリエーション主体のところや、病院のようにリハビリをメインで進めるところも増えており、同じデイサービスでもさらに選択肢が広がっています。
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<今の仕事と同じように向いていそうな仕事はありますか?>
正直、他に思い浮かばないのですが、同じくリハビリの作業療法士や言語療法士も同じリハビリ職なので近いかもしれません。
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キャリアカウンセラー舛廣純子の シゴトのチカラ考察 .
今回、斉藤さんにインタビューをしながら、リハビリを受けることになった人の状況、気持ちを改めて、想像しました。もし、昨日は考えもしなかった事故や疾患により、昨日までは当たり前だった、歩行や寝返り、食事やほんのちょっとした動作が急にできなくなるとしたら…。一体どれほどの不安や絶望感に襲われるのか。私はその状況を受容するのにどれぐらい時間がかかるのだろう…。ちょっと想像しただけでも気持ちが沈みます。
理学療法士はもちろん病気や怪我、心身機能について深い知識と技術を体得した上でないとなれない仕事です。でもそれらと同じくらい大事なのが、「患者さんやご家族の身体機能の状態や思いに気づくチカラ」なのでしょう。
痛みを伴ったり、思うように体が動かず、苛立つ中で「当たり前を取り戻すための訓練」を患者さんが地道に続けられるには、隣に自分の体の状態を自分以上によく理解し、その痛みや不安、気持ちの揺れを「わかってくれようとする」伴走者が必要です。信頼すれば信頼するほど、苛立つ自分の感情を理学療法士の方にですらぶつけてしまうこともあるかもしれません。患者さんの一喜をともに喜びながら、一憂で自分も落ち込まない― 理学療法士がプロとして心を疲弊させずに長く仕事をし、担当する患者さん一人一人をゴールに導くには、「自分自身を良い状態に保つチカラ」は必須なのかもしれません。
自分自身が良い状態でなければ、相手が自分の希望通りに動かないときに、苛立ちから「●●しないと□□になっちゃうよ」というホラーストーリーで人を動機づけしがちです。「前回より~~ができるようになったね」「▲▲できたら、〇〇もやれるようになるね」というポジティブな働きがけと、ホラーストーリーとどちらが、患者さんを主体的かつ持続的にリハビリできる状態に導けるかは容易に想像ができます。
訪問看護事業所でのニーズも高くなってきている理学療法士のお仕事。一人で訪問するということはそれだけすぐれた観察力や冷静で適切な判断力、用具器具が揃わない中での工夫したリハビリであるならば、創造力や臨機応変なチカラも求められることでしょう。それらはやはりAIでは代わることは難しく、今後の高齢化社会を考えても、ニーズが高まる仕事なのだと実感しました。
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(次回もお楽しみに。毎月1回、第4月曜に更新します) =ーー
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TOOLS 19 後悔しない道の選び方(前編)
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PEOPLE 04 舛廣純子(キャリアカウンセラー)
「就職は子育ての最終章。就活生の親に読んで欲しい本を出版」