見方を変えると短所も長所に早変わりです
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自分を好きになるリフレーミング
舛廣純子(フリーランス キャリアカウンセラー)
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自由に生きるために
ものごとを反対側から見てみよう
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「自分のいいところを10個言ってみよう!」 自分が大好きなアメリカ人に聞くと、すらすら楽しそうに自分のいいところを教えてくれますが、控えめで謙虚な民族なのか、日本人はなぜか「いいところなんて・・」と言葉を濁すことが少なくありません。
さて、皆さんはいかがですか?自分のいいところを人にすらすら言えますか?10個とまで行かなくても、5個、いや3個でも言えますか? 自分のいいところを知っていること、それを実感していることは実はとても大事なこと。なぜなら、それは勇気の種になるからです。
本当はもっと自分のことを好きになりたいのに
もう何年か前になりますが、私が担当した相談者の方は、お会いして早々に私に目に涙を浮かべながら、訴えました。
「私、慎重で、理屈っぽくって、ネガティブで、強情で、もうどうしようもないんです。こんな私が就職できるとは到底思えないのです。だから一歩も前に踏み出せないのです。」
自分に自信がなく、一歩前に踏み出すのが怖く、でもそんな自分が嫌でたまらない、本当は自分のことをもっと好きになり、自信を持って、一歩前に踏み出したいのに・・・私にはその方がそんな風に見えました。この方は、何も特別な人ではありません。心を病んでいるわけでもありません。ただ、カウンセリングをしていると、実に多くの「自分に自信を持てずに苦しんでいる方」にお会いします。
私がしているのはカウンセリングと言っても、就職やキャリアの領域に特化したキャリアカウンセリング。その人が次のステップに向け、一歩踏み出す局面をお手伝いすることが多いのですが、自信のなさは、新しい物事に一歩踏み出すのに、大きな障壁となることが多いのです。「私なんて」「どうせ私がやっても・・・・」そんな心のつぶやきが、新しいことへのチャレンジを阻んでしまうのです。
就職活動などでは、「自己PR」や「長所」を面接で言わなくてはいけないから、なおさらですよね。逆に、いいところがたくさん見つかれば、見つかるほど、その人の可能性も広がるわけで、キャリアカウンセラーである私にとって「いいとこ探し」は、相談者の方の背中を押すためにも、その方の可能性を広げるためにも実は大事なお仕事になります。
リフレーミング、見方を変えると短所も長所に早変わり
いわば私は「必殺いいとこ探し人」。必ずその人のいいところを見つけます。そんな私がお勧めする、もっとも簡単ないいとこ探しの方法は、「リフレーミング」という手法です。リフレーミングとは、「リ+フレーム」、つまり物事の枠組みを一度取り外し、別の枠組みでとらえ直すことを言います。簡単に言うと、物事を別の角度から、見てみるということですね。
同じ状況や物事でも人によって感じ方、捉え方は異なるものです。例えば、コップに半分の水が注がれていた時、「半分しかコップに水が入っていない」ととらえるか、「半分も水が入っている」ととらえるかで、とらえ方はだいぶ変わってきますよね。コップに水が半分入っている、という事実は全く同じですが、炎天下の中でのどがカラカラの人が見れば「半分しか入っていない」ととらえるのかもしれませんし、薬の錠剤を一錠飲む人であれば、「半分も入っている」なのかもしれません。
事実は一つでも、人や状況によって捉え方はさまざま・・・。実はこのことは人の特徴に置いても同じことが言えます。例えば、私の最も大きな特徴は、「ポジティブ」ですが、これも見方や、私の発揮の仕方によって、いろいろな側面が見えてきます。私の口癖は「まぁ、いっか」「なんとかなるだろう」「まずはやってみよう」で、心配するより行動を重視し、たとえ失敗してもあまりくよくよしないという側面においては、「前向き」「立ち直りが早い」「楽観的」な長所となります。ところが、ミスの許されない仕事をしているとき、もしくは仕事において計画性や正確性を重んじる人と仕事をするとき、私のこの長所は時として、「無計画」「思慮深さがない」「いい加減」といった具合に短所にもなるのです。
人の特徴は、ほどよく発揮できたり自分と似た特徴を持つ人に囲まれている中では長所として捉えられ、強く表出しすぎたり、自分と正反対の人に囲まれると批判されたり衝突することも多く、短所として捉えがちになるのです。ですから、冒頭に紹介した相談者の方の短所のオンパレードも、違う側面から見ると全く異なるものに見えてきます。
私は相談者の方の口にした短所一つ一つをどんなシーンでそのように感じたのか、他にはどんなシーンでその力を発揮しているのか一つずつ聞いていきました。そして一通り聞き終えたあと、「○○さんは、思慮深く、論理的で、現実的に物事を見る力があり、自分がこうと決めたものは貫くお力があるのですね」と言いました。相談者の方は、きょとんとした表情を最初されましたが、「そんな風に考えたことは今まで一度もなかった」とその後、嬉しいような恥ずかしいような表情で、また目に涙を浮かべていました。
短所として自分の特徴を捉えると、その特徴をよく発揮できた時も無自覚に発揮していることが多く、無自覚に発揮している長所はなかなか自分の長所として受け入れることができません。リフレーミングで自分の特徴を長所として捉えなおすることができたなら、そこからがまたスタート。自分のいいところを自覚し、日々を過ごしてみる、行動をしてみる、ほどよく発揮できた時にはそれを書き留めておく、そんな経験を繰り返すと、いつか短所も大好きな自分の長所になっているはずです。
「短所」がひっくり返って長所になる早見表
短所 | 長所 |
意地っ張り・頑固 | 貫徹力がある・意志が強い |
しきりたがり | リーダーシップがある |
猪突猛進 |
集中力、突破力がある |
自己主張が強い | 自分の意見を持っている |
後先考えない | 行動的・アクションが早い |
闘争的 | 競争心が強い、負けず嫌い |
のめりこみやすい | 情熱的・集中力 |
優柔不断 | 優しい(人の意見を聞く) |
お節介 | 面倒見が良い |
なんでも受け入れる | 受容的、素直 |
お人よし | 思いやりがある |
八方美人、調子がいい | 協調性がある |
他人の目を気にする | 気が利く(気づく力) |
理屈っぽい | 論理的に考えられる |
心配性、 | リスクを考え、慎重 |
神経質 | 細かなところに気づく |
手抜きができない | 丁寧 |
せっかち | 行動が早い |
おおざっぱ | おおらか |
のんき | 楽天的 |
自分を好きになるリフレーミングの方法
1. まずは自分の特徴をいいところも悪いところも全部書き出してみる。自分で感じているものや、人から言われたこと、成績表に書かれたことなどいろいろ
2. その中で短所と思われるものを取り出し、客観的に反対の側面から見て、長所に変換する
3. 変換したNEW長所については意識して行動したり、よく発揮できた時のことを記録して、長所として定着化させていく
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Photo: Greg Riegler , Sarah Bartell