継続のリテラシー【第3話】 「目標の階段」をつくる / 若杉アキラ

waka_f小さな目標をクリアする達成感や喜びが後押しになり、出版という大きな目標に向けて進み続けることができたのです。目標をクリアすると達成感を得られ、行動を続ける原動力にもなりますよね。この目標に向けて行動するプロセスを「目標の階段」
連載「継続のリテラシー」とは  【毎月25日更新】
「続けること」に特別な能力(リテラシー)は必要なのでしょうか。若杉アキラさんは「自分の本をつくる方法」を受講するまで、日常的に文章を書く習慣はなく、書くことに苦手意識もあったと言います。しかし、2017年1月の講義終了後すぐにブログを立ち上げ、書くことを継続させます。そして受講から2年半後の2019年6月、はじめての出版を実現させました。週1ペースでブログをコツコツと更新するなど、出版に向けてやるべきことを着々と進めていった若杉さんに、「続けること」をテーマに出版までの道のりを振り返ってもらいます。

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 第3話  「目標の階段」をつくる

                   TEXT :  若杉アキラ                      


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 大きな目標・小さな目標・もっと小さな目標 

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2018年1月、週1ブログを続けて1年。

最初の目標は、ビジネス書1冊分の文字数と言われる「10万字の執筆」でした。そのために毎週2000字のブログを書き続けて1年で52本、計10万字以上書くことができました。

「えっ?本は自分で書かなくてもいい?」

たしかに、いざ出版となれば、ライターさんに書いてもらう方法もあります。
そのほうが早く効率的に出版できるかもしれません。

でも私は自分の手で本を書きたかった。

本を書いて人の役に立ちたい気持ちと同じくらい、書くことで自分と向き合える時間が好きなのです。だから書く力をつけるため、実際に本の執筆をする前に、ブログで「10万字の執筆」を小さな目標としました。

…とはいえ10万字書くのも大変です。
400字詰の原稿用紙250枚分ですから気が遠くなります。

そこで「10万字の執筆」という目標の前に、もっと小さな目標をつくりました。それが毎週の2000字ブログです。原稿用紙250枚(10万字)は気が遠くなりますが、週5枚ずつ(2000字)なら自分にも書けそうな気がしました。

しかし、実際には2000字書くことにも大苦戦…。そこで、もっともっと小さな目標をつくり、2000字ブログの1項(500字くらい)書くことを毎日の目標にしました。こうして小さな目標をクリアする達成感や喜びが後押しになり、出版という大きな目標に向けて進み続けることができたのです。

目標をクリアすると達成感を得られ、行動を続ける原動力にもなりますよね。

目標に向け行動を続けたいとき、大きな目標の前に、ステップとなる小さな目標をつくると、行動を続けやすくなります。それでも目標の難易度が高いと感じるときは、その目標の前に、もっと小さな目標つくればいいのです。大きな目標の前に、小さな目標をつくり、目標に向けて行動するプロセスを「目標の階段」と言います。

 

目標の階段

 

 

 「ムリなく続けられる時間」をつくる 

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やることがいっぱいで疲れた…
物理的に時間がない…

そんな状態でムリに続けようとしても長続きしません。

長続きのコツは、「ムリなく続けられる時間」をつくることです。

時間をつくるには、自分にとってムダな時間を捨てることがオススメです。

「では、どんな時間を捨てればいいのか?」

たとえば、気乗りしない飲み会を断れば、飲み会の時間とお金、行くまでの時間と交通費、飲み会が終わるまで続く憂鬱な気分を捨てることができます。

ほかにも、「ムダな衝動買いをやめる」「生活レベルを他人と比べない」「予定の詰め込みをやめる」など、無料ですぐに実践できて、心がラクになることから始めるのはどうでしょうか。

こうしたムダ時間を捨てる具体的な方法は、拙著「捨てる時間術」でたくさん紹介していますので、よかったらそちらもご覧ください。

ムダ時間を捨てれば、「ムリなく続けられる時間」が手に入ります。

私の場合、ムダ時間を捨てたことで、執筆のために週20時間確保できました(まだ本を書きはじめる前の話です)。

「2000字のブログに週20時間も必要か?」という声もあるでしょう。たしかに、1本書くのに20時間も使いません。だいたい5時間〜10時間くらいです。それ以外は、Webマガジンの記事を書いたり、アイデア出しに使うなど、執筆時間にゆとりを持つようにしました。

なぜなら、実際に本の執筆がはじまったら、ふだんの仕事と並行して書くことになります。そのときになって、「書く時間がない」「ふだんの仕事がまわらない」と慌てたくなかったのです。

なので、まだ出版が決まってもいない頃から、いざ原稿を書きはじめたときに「ムリなく続けられる時間」を持てるように、仕事や生活リズムを見直し、ムダ時間を捨て、書く時間をつくるようにしてきました。

ムダを捨てれば、時間にゆとりが生まれる

ムダを捨てれば、時間にゆとりが生まれる

 

 時間を捨て「〆切」を守る

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2018年6月、週1ブログを続けて1年半。

仕事が忙しくて書けない、書くネタが思いつかない、気持ちがのってこないなど、「もう今週は書けない」と諦めかけた(いや、諦めた)日は何度もありました。

でも更新を欠かさなかったのは“毎週水曜よる9時更新”の〆切があったからです(周りに書くと宣言もしているし…)。仕事や学校でも提出物に〆切があると「なんとか間に合わそう」としますよね。

しかし何度も〆切に遅れてしまうと、「また遅れて提出すればいいや」と〆切にルーズになったり、「もう提出しなくていいや」と行動自体をやめてしまったり、〆切に対して緊張感を持てなくなります。

「でも、無理して〆切に間に合わすと仕事のクオリティが下がるのでは?」という意見もあるでしょう。たしかに、〆切を伸ばして時間をかけたほうが良い場合もあります。

しかし、それはそもそも〆切の設定が自分の能力に見合っていない場合です。もし自分で〆切を設定したなら、「目標の階段」を思い出して、クリアできそうな〆切に設定し直してみてはどうでしょうか。

パーキンソンの法則を知っていますか?

英国の歴史・政治学者C.N.パーキンソンが提唱した法則で、かんたんに説明すると、「人は時間やお金を、与えられた分つかいきってしまう」という法則です。

たとえば、本来1時間で終わらすことのできる仕事に、3時間与えると、終わらすのに3時間かかってしまうということです。作業時間がたっぷりあると、ついだらだらしたり、集中力を欠いてしまったり、という経験を持つビジネスパーソンも少なくはないでしょう。

しかし、〆切を本来終わらすことのできる1時間後とすれば、時間のプレッシャーによって仕事に集中せざるを得なくなり、集中度の高い仕事によりクオリティも上がります。

〆切を伸ばし時間をかけても、仕事のクオリティが上がるわけではありません。大切なのは“どれだけ集中度の高い仕事をしたか”です。集中度の高い仕事を続けるには、時間を捨て「〆切」を守ることが大切なのです。

第3話はここまで。

次回は、いよいよ出版企画書をつくり、出版社に持ち込む話です。出版社から初めて連絡をもらったときは、頭が真っ白になりました。後にも先にも、出版への道のりで1番嬉しかった瞬間です。

本日も、お読みいただきありがとうございました。

 

 

(次回もお楽しみに。毎月25日更新予定です) =ー

 

若杉アキラさんへの感想をお待ちしています 編集部まで

 

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連載バックナンバー

第1話 「好き」と「嫌い」と上手に付き合う
第2話 「お金」「仲間」「プライド」

 過去の若杉アキラさんの執筆エッセイ 

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TOOLS 97 廃業寸前、見栄もプライドも捨て去って見えた景色
TOOLS 100 今だから言える、寂しさの正体
TOOLS 102 好きなことの本質に気づく方法
TOOLS 105 初めて個展をひらきたくなった日に読む話



若杉アキラ

若杉アキラ

時間ミニマリスト/週3起業家/シニア不動産コンサルタント。1983年生まれ、妻と娘ふたりの4人家族。会社員時代、終電帰り、サービス残業、週90時間労働の疲労と心労がたたり体調を崩す。27歳で不動産会社を起こすも週7日労働で時間に追われる。「忙しさに振り回される人生から抜け出そう」と奮起し、時間のミニマル化を実践。現在、週3日だけ働き、「歳をとっても安心して借りられる住まいの提供」をモットーに、シニア不動産事業を展開し、県や地域からの信頼も厚い。また、iPhone写真家として、日常をテーマに作品提供や個展開催を定期的に行っている。 Instagramは @akira_wk