継続のリテラシー【第1話】「好き」と「嫌い」と上手に付き合う / 若杉アキラ

waka_f書店まわりを続けようと思ったとき、2つの作戦を立てました。1つ目は、前述した『「続けたいこと」を義務化しない』ということ。これは「続けたいこと」を嫌いにならないためのアプローチです。嫌いなことは、やりたくないですよね。「続けたいこと」があるのなら、無理して続けるのでなく、積極的に休み、自分にとっ
連載「継続のリテラシー」とは  【毎月25日更新】
「続けること」に特別な能力(リテラシー)は必要なのでしょうか。若杉アキラさんは「自分の本をつくる方法」を受講するまで、日常的に文章を書く習慣はなく、書くことに苦手意識もあったと言います。しかし、2017年1月の講義終了後すぐにブログを立ち上げ、書くことを継続させます。そして受講から2年半後の2019年6月、はじめての出版を実現させました。週1ペースでブログをコツコツと更新するなど、出版に向けてやるべきことを着々と進めていった若杉さんに、「続けること」をテーマに出版までの道のりを振り返ってもらいます。

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 第1話  「好き」と「嫌い」と上手に付き合う 

                   TEXT :  若杉アキラ                      


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 現在150件「全国書店まわりの旅」を継続中

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「あの〜、私この本の著者なんですけども…」

そう言って書店員さんに話しかけ、手書きポップを渡し、お礼をする。

書店まわりは、地元の神奈川から始まり、東京、千葉、埼玉などの関東圏。
名古屋を経由して京都、大阪、兵庫、岡山、広島、福岡などの西日本。
福島、宮城、岩手、秋田などの東北地方にまで広がり、現在150店舗を超えた。

周りからは、「もう十分なんじゃない」という声も聞こえますが……

書店まわり、まだまだ続けていきます。というのもホリエモンこと堀江貴文さんも40万部以上のベストセラーとなった「ゼロ」を出版したときには、全国の書店を200店舗まわったといいます。

そう考えると、無名の著者の私が150件では少なすぎるのです。

本は1日に約200冊も出版されます。書店には毎日のように新刊が届き、本の入れ替えが行われ、新刊や売れ筋の本が棚に並びます。

6月に発売した私の本は、もう新刊ではありません。
書店という限られたスペースに、自分の本が置かれることは本当にありがたいのです。

兵庫県のジュンク堂姫路店にて。手書きサインPOPをお渡し。

兵庫県のジュンク堂姫路店にて。手書きサインPOPをお渡し。

 

 

 大変だけど義務じゃない

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書店まわりをしていると「暑いのに大変ですね」と言われることがあります。

たしかに猛暑の中の書店まわりは大変です。

たとえば書店と書店の距離が歩いて10分くらいだと、タクシーに乗るのももったいなくて、歩いて次の書店に向かいます。

するともう汗だくで、書店に入る前にタオルで汗をぬぐったり、場合によっては着替えたり、暑さ対策で荷物が増えてカバンが重くなり、大変です。

「大変」と言われるのは「暑さ」だけではありません。

先日、「全国の書店をまわっている」という話を友人にしたところ、「それ、大変だね」と言われました。

彼曰く、「時間もお金もかかって大変じゃない?」とのこと。

たしかに「大変」と言われれば、そうなのかもしれません。

全国の書店にいくためには、交通費や宿泊費もかかります。
そのための時間も必要です。書店まわりをしている間、できない仕事もあります。

「時間とお金を作らなくては…」と考えたらやっぱり大変です。

でも書店まわりをすることは、自分の意思で、いつでもやめることができます。

大変だけど義務じゃない。

だから気持ち的には大変ではないのです。

 

 

 「続けたいこと」を義務化しない

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「早起きが続かない」「習い事が続かない」「ブログが続かない」など、続けられなくて困っている、という相談をよく受けます。

でも実は、私も続けることは苦手です。

7月初旬から始めた書店まわりは現在約150件。
1日約3件ペースでまわっていることになります。

でも毎日続けるのは大変です。

気が乗らない日や雨で外出したくない日もあります。そんな日に「続けなければ」と無理をして続けてしまうと、書店まわり自体がイヤになってきます。

「続けたい」という願望が、「続けなければ」という義務感に変わると苦しくなります。無理をして一時的には続けられても、長い目で見ると、イヤなことは続きません。

だから私は、気が乗らない日や雨で外出したくない日は書店まわりをしません。

続けることに苦痛を感じたときは、一度やめてみたらどうでしょうか。

たとえば、「早起きが続かない」と困っているなら、毎日早起きすることはやめて、1日おきにしてみたらどうでしょうか。それがダメなら週2回にしてみたらどうでしょうか。

「週2日では少なすぎる」と言うなら、週3日ならどうでしょう。

自分にとって最適なペースを見つけることが、続けるためのコツです。

関西方面、京都へ。大垣書店イオンモールKYOTO店にて。大きく展開してくださって感謝!

関西方面、京都へ。大垣書店イオンモールKYOTO店にて。大きく展開してくださって感謝!

 

 「好き」と「続けたい」のコラボ 

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書店まわりを続けようと思ったとき、私は2つの作戦を立てました。

1つ目は、前述した『「続けたいこと」を義務化しない』ということ。

これは「続けたいこと」を嫌いにならないためのアプローチです。
嫌いなことは、やりたくないですよね。

「続けたいこと」があるのなら、無理して続けるのでなく、積極的に休み、自分にとって最適なペースを見つけることです。

2つ目は、『「好き」と「続けたい」のコラボ』です。

多くの人が「好きなこと」は続けられます。

でも「続けたいこと」が「好きなこと」だとは限りません。

そこで「続けたいこと」を「好きなこと」に絡めていくわけです。
私の場合、書店まわりという「続けたいこと」に、自分の好きな「旅」を絡めました。

たとえば、「京都の書店に行く、ついでに清水寺にも行ってみよう」という具合に、書店まわりとコラボしてふつうに旅を楽しむわけです。

これは「書店まわり」と「旅」に限った話ではありません。

「早起き」と「コンビニスイーツ」でも実践済みです。

まだ早起きに慣れない頃、「早起きした日はコンビニスイーツを買って良い」というご褒美を自分に与えたところ、早起きの継続につながりました。

「好き=ご褒美」と考えても良いのです。

「好き」と「続けたい」をコラボさせていくと、「続けたいこと」が続きやすくなります。多くの人が「好きなことはもっとしたい」という欲求を持っているからです。

「好き」と「嫌い」と上手に付き合っていくことで、無理なく物事を続けていくことができるのです。

第1話はここまで。

次回は、すこし時間を巻き戻して、私が初めて「本を書きたい」と思ってから実際に行動するまでを振り返っていきます(これ10年くらいかかってます)。

本日は、お読みいただきありがとうございました。

 

(次回もお楽しみに。毎月25日更新予定です) =ー

 

若杉アキラさんへの感想をお待ちしています 編集部まで

 

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若杉アキラ

若杉アキラ

時間ミニマリスト/週3起業家/シニア不動産コンサルタント。1983年生まれ、妻と娘ふたりの4人家族。会社員時代、終電帰り、サービス残業、週90時間労働の疲労と心労がたたり体調を崩す。27歳で不動産会社を起こすも週7日労働で時間に追われる。「忙しさに振り回される人生から抜け出そう」と奮起し、時間のミニマル化を実践。現在、週3日だけ働き、「歳をとっても安心して借りられる住まいの提供」をモットーに、シニア不動産事業を展開し、県や地域からの信頼も厚い。また、iPhone写真家として、日常をテーマに作品提供や個展開催を定期的に行っている。 Instagramは @akira_wk