TOOLS 121 臆病な僕たちが海外旅行で気をつけたい6つの教訓 / 武原真彦(臆病な冒険家)

武原真彦 スカイダイビング歩いて行くと前方から現地人らしいお兄ちゃんがニコニコしながら近づいてきました。話を聞くと「観光のサポーターだ」と。僕は入り口のセキュリティがしっかりしていたこともあり、てっきりここのスタッフだと思いこんでしまい、べつに頼んでもいないのに撮影スポットで写真を
臆病な僕たちが海外旅行で気をつけたい6つの教訓
武原真彦 ( 臆病な冒険家 )


自由に生きるために 
失敗に慣れていこう

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いったい何の数字か、ご存じでしょうか?

23.7%  

正解は、国内在住日本人のパスポート保有率。おおよそ、日本では4人に1人がパスポートを持っていることになります。この数字、他国と比べて「非常に低い」と言われています。僕のまわりでも、海外旅行に行ったことがない人がたくさんいます。

テレビの旅番組や紀行本を読んで海外旅行に憧れは持っているものの、「彼らプロは違う、自分には到底真似できない…」そう思ってしまうことが、なかなか海外への一歩を踏み出せないでいる要因かもしれません。

僕自身も初海外は、20代後半の頃に友人2人と一緒に参加した大手J社の台湾ツアー。人のことが言えないくらいビビりまくっていたわけです。でも、何回か海外を旅したことで徐々に海外に慣れ、帰国後の日常生活も、より前向きに過ごせるようになりました。

そこで今回は、僕の失敗談を反面教師にしていただきたく。同じように臆病な人向けに、初めての海外旅行で気を付けておきたいポイントをお伝えします。

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【失敗談】オーストラリアで予約していたニュージーランド行きビジネスクラスのチケットを自ら捨てた話。

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2016年のゴールデンウィーク。世界一周航空券を利用して香港、東南アジア、オーストラリアを経由して最終的にニュージーランドまで行く旅行を計画しました。ただ、世界一周航空券には細かいルールがあって、マイル数の関係で「オーストラリアまでしか行けない」ことが発覚。オーストラリア- ニュージーランド間のチケットは別途手配しなければならなくなったわけです。

時期的にギリギリだったのもあって、10数万円のビジネスクラスの高額チケットしか見つかりませんでした。それに加えて、帰りにオーストラリアから日本へ帰国する便への乗り継ぎが1時間ちょっとしかないタイトなスケジュール。しかし、「どうしてもニュージーランドに行きたい!」まだ日本にいて緊張感が足りなかったためか、予約をしてしまいました。

それから旅行開始までの数週間、そして旅行中もずっと帰りの乗り継ぎ時間が気になっていました。とうとう明日はニュージーランドへ発つという日、シドニーのユースホステルで僕の不安はMAXに!

「乗り継ぎに失敗して帰れなくなったらどうしよう……。VISAの有効期限も切れちゃうから最悪、拘束されちゃうのでは!? 法律なんて解釈のやり方でどうとでもなるから、そのまま数年間刑務所生活になるかも!」

結局、ニュージーランド行きを断念。海外の会社を通じて手配したチケットだったので、キャンセルの方法もわからず10数万円をドブに捨てることに……。

余談ですが、今思えば旅費の節約のために香港からずっと他の旅行者との相部屋に宿泊していたのです。1人で心おきなく休める時間を取れなかったことが精神を追い詰めてしまっていたみたい。これが結果として、必要以上に不安を高めた要因ではないかと思います。

シドニーで学んだ教訓
教訓⒈   乗り継ぎ時間は余裕をもって。(世界一周航空券を発券してくれた旅行会社は「ギリギリだけど、なんとかなるでしょう」と言ってくれてましたが、不安は不安。)
教訓2.   チケットのキャンセルポリシーは確認しておきましょう。
教訓3.  しっかり休める環境を確保しましょう。ユースホステルで他の旅人と賑やかに過ごすのも良いですが、数日に1回は1人部屋でゆっくり充電する日を確保することをおすすめします。

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【失敗談】スリランカのシーギリヤ・ロックで偽ガイドにお金を巻き上げられた話。

 

2019年のゴールデンウィークにスリランカへ行きました。スリランカは公共交通機関があまり発達していないので、全行程にドライバー兼ガイドが一緒でした。

その日は超有名観光地であるシーギリヤ・ロックを訪れる日。朝から僕もわくわくしていました。入口では入場チケットの確認やセキュリティチェックが厳密に行われ、テロ直後のためか、安全面に非常に気を使っている様子。ガイドさんは先に、出口の近くにある駐車場に車を回しておくため、ここで一旦お別れ。僕1人で観光することに。

シーギリヤ・ロック。これから悲劇が起こる

シーギリヤ・ロック。これから悲劇が起こる

しばらく歩いて行くと、前方から現地人らしいお兄ちゃんがニコニコしながら近づいてきました。話を聞くと「観光のサポーターだ」と。僕は入り口のセキュリティがしっかりしていたこともあり、てっきりここのスタッフだと思いこんでしまい、べつに頼んでもいないのに撮影スポットで写真を撮ってくれたりする彼に、特に警戒心は抱きませんでした。

シーギリヤ・ロックは階段が非常に多いのですが、階段を上ろうとするとサポーターのお兄ちゃんが背中を押して助けてくれます。妙なサービスだなぁと思っていると背中を押してくれるお兄ちゃんの数が2人になり、3人に増え……。

さすがにおかしいと気付いた僕が「もうサポートはいらない!」と訴えると、今までニコニコしていたお兄ちゃんたちが急に真顔になって「じゃあ、サポート代を払え!」とすごんできます。最初は抵抗を試みたものの、3対1では多勢に無勢。結局、日本円にして3000円ほど巻き上げられてしまいました……。

あとで分かったことですが、シーギリヤ・ロックは入り口のセキュリティチェックは厳しいものの、出口の方は無いに等しく簡単に入って来られちゃうのです。この話を駐車場で待っていたガイドさんに話したら、激怒して「犯人を捕まえる!」と出口側から普通に入っていきました。いや、あなたも入っていくんかい!ガイドさんの気持ちは嬉しかったですが、時すでに遅し。犯人たちは立ち去った後でした。

スリランカで学んだ教訓
教訓4.  頼んでもいないのに世話を焼いてくる人には気をつけましょう。
教訓5.  有名観光地では、事前にガイドブックなどで犯罪情報を確認しておくと安心です。
教訓6.  ひとりで不安な時はガイドと離れないようにしましょう。(シーギリヤ・ロックでは別途、現地で専門のガイドを雇うこともできます。)

こうやって振り返ってみると、我ながら情けない失敗ですね。旅行の失敗談は挙げればきりがないですが、最終的には無事帰国できていますし、今となっては笑い話。失敗があったからこそ、旅の思い出をより深く記憶できているのだとも思います。

最初は恐かった。それでも臆病風を振り払って一歩を踏み出したことが、人生をよりよく生きる原動力となっています。どんなに頑張っても、旅のリスクはゼロにはなりません。それは人生においても同じだと気付くことができました。「恐い…」と身がすくむことも多いですが、これからもたくさんの未経験に挑戦していきたいです。

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武原真彦

武原真彦

(たけはらまさひこ)臆病な冒険家 / 会社員。1984年大阪府池田市生まれ。チキンラーメン発祥の地に生まれたのにチキンラーメンが苦手。数学も苦手なのに、環境問題の解決に貢献したいと理系を志し、案の定浪人するも、翌年無事に大阪大学工学部に入学。博士前期課程修了までの6年間お世話になる。その後、大学推薦で大手企業への就職を狙うが、リーマンショックの影響を受け、あえなく失敗。地元のガスセンサーメーカーになんとか就職するも、鬱屈とした日々を過ごす。しかし、さすがにこのままでは行けないと一念発起、2015年に転職を果たし、神奈川県に引っ越す。現在は自動車の排気ガスセンサー用の材料開発に携わる。好奇心の赴くままに様々な知識を吸収するのが好き。趣味は、海外旅行とオンライン英会話。note始めました。https://note.com/takeharamasahiko