もういちど帆船の森へ 【第11話】 コミュ障のためのコミュニケーション修行 / 田中稔彦
「コミュニケーションが苦手なので、コミュニケーションについて人よりたくさん考えて、だから仕事にしようと思ったのです」この言葉に衝撃を受けました。そういう向き合い方をしてもいいと知ったのは初めてだったからです。船に乗ってい…
「コミュニケーションが苦手なので、コミュニケーションについて人よりたくさん考えて、だから仕事にしようと思ったのです」この言葉に衝撃を受けました。そういう向き合い方をしてもいいと知ったのは初めてだったからです。船に乗ってい…
心から愛したものがなくなろうとする時に、自分がなんのアクションもしなかった。そのことが心にずっと小さな傷として残っていました。セイルトレーニングへの想いはその程度だったのか。チクチクと胸を刺し続けていました。ぼくにとって…
「そういえば、1年くらい海に出てないなあ」帆船での航海経験はそれなりにあるのですが、実はヨットにはほとんど乗ったことがないのです。知り合いにヨット乗りはいるものの、週末にヨットに乗せてもらったりすることもありません。そも…
帆船で長い航海をしていると、楽しい反面疲れもたまってきますし、慣れない作業や共同生活でストレスを感じることもよくあります。当然、乗船してきたゲスト同士でいざこざが起こることも。そんな時、スタッフとしてどう対応するかという…
公演が終わり、舞台の備品を全てトラックに積み込み、役者とスタッフはバスで体育館を離れます。そのバスをお客さんだった人たちが手を振りながら見送ってくれる。「夢見るのではなく、夢見られる存在」ぼくたちは間違いなく夢見られる存…
ひとりで何ももっていないこの場所から、どうすればゴールにたどり着けるのか。そう考えてたどり着いた答えは「メディア」でした。帆船のそして自分自身のメディア化、それがその頃の自分にできるひとつの手段ではないかそう考えたのです…
帆船を使った体験航海、セイルトレーニング。これを事業として成立させるにはどうすればいいのか。それは「持続性のある事業プランであること」でした。乗る船をなくした経験からそう思うようになったのです。最初に考えたのは船のスペッ…
船がなくなるかも、という話は数年前から囁かれており「とうとう来たか」という感想でそれほど驚きはありませんでした。とはいえ、長く関わってきた船がなくなることはとても残念でした。その少し前まで起業について少しだけ勉強していま…
「ひきこもり」という言葉ができる前から引きこもってました。だから今でも電話が少し苦手です。仕事だったり、友達と会うことになっていたり、なのに時間が来てもどうしても家を出ることができない。 連載「もういちど帆船(はんせん)…
けれど時間が経つにつれて、少しずつ自分の中で帆船について考える時間が増えてきました。ここで学んでいる知識や人脈を持って2003年に戻れれば、もう何年かあの船は生き延びられたんじゃないか。そんなことを夢想したりもしました。…
ぼくの人生最高の時は2000年8月24日。朝の8時。オランダの北海に面したアイマウデンという小さな港街。天気のいい朝でした。ヨーロッパの夏は乾燥していて風は肌に心地よくて、空気は透き通っていて鮮やかな青空が広がっていまし…
そんな日々を繰り返すうちに、ドラマを消費するよりもドラマを作ることが楽しくなったのです。今年の夏に帆船「みらいへ」を借りてイベントをやりました。伝えたいことは体験する楽しさ。ひとりひとりが、自分自身が主人公の物語を生きる…
帆船に乗り始めたのは、仕事が忙しくなりすぎてしまったから。好きだった仕事をキライになってしまいそうだったからです。帆船という「非日常」の世界が自分の中で生まれたことで、「日常」をもより楽しく、楽に生きることができるように…
海に出ることは自分の立っている場所を確認する、ぼくにとってはそんな意味もあったのです。日常の時間の中でも「知っている」と思い込んでいることを、本当はどのくらいの深さで知っているのか、そんなことも考えるようになりました。世…
食事はおいしい方がいいし、シャワーだって毎日浴びられた方がいいに決まっています。でも自分たちが航海を通じて乗船してきた人たちに何を伝えたいのか、何を感じて欲しいのか、そこを外してしまって上辺だけの快適さを追求するのは本末…
波を被り、風に煽られ、大変な状況で船を動かしている時に、キチンとした温かい食事がとれるというのは、気持ちをリセットさせて落ち着かせるのにとても効果がある。船に長く乗っているうちにぼくはそう感じるようになったのです。しかし…
海以外にも、見えないコミュニティーはたくさんあるのではないかとぼくは思います。その誰かが取り仕切るわけではなく、キチンとした組織があるわけでもない。愛情や情熱を持った人たちが造り上げて、維持し続ける、そんなゆるやかなコミ…
夜の暗さを体で感じる機会は、街で暮らしている人にはそう多くない。街灯のない田舎で暮らしていたとしても、闇の中にあえて身を置いて時間を過ごすということはあまりないのではないでしょうか。自然のサイクルの中から見えてくるものが…
陸から国境を越える時には、不思議といつも緊張してしまいます。それと比べて、海から他の国に入ることはいつも、どこか明るくて開放感を感じます。それは道路の検問所がなにかを防ぎせき止めるための場所なのと比べて、港は様々なものが…
海に出るつもりなんてなかったけれど、内なる衝動に身をゆだねた TOOLS 11 帆船のはじめ方 田中稔彦(海図を背負った旅人) ーーーー 自由に生きるために 内なる衝動と向き合おう ーー ーーー 先日、世界一周に旅立つ友…