舛廣純子が聞く「しなキャリ図鑑」 【第28話】 シニア不動産コンサルタントのチカラ / 若杉アキラさんの場合

masuhirojunko_long_banner家探しに苦労されている高齢者の方は多く、住むところが見つかって喜んでいただけるのは自分にとって大きな喜びです。高齢者だから障害者だからと言って、その人の人となりや人物をみないで、家を貸さないという世の中の理不尽さには正直怒り
連載「しなキャリ図鑑」とは  【毎月1回更新 / 第4月曜】
「しなやかに生きる人のためのキャリア図鑑」の略称。キャリアカウンセラー舛廣純子が、イキイキと働く仕事人にインタビューし、その仕事に大切なチカラを中心にキャリア・仕事そのものも掘り下げます。10年後の未来に自分がどんな風に仕事をしているのかも見えづらくなった今の時代。インタビューを読むことで、自分の持っている力にも気づいたり、したことのない仕事に興味を持ったり、これから伸ばしたい自分の力を見つけられたなら、あなたの仕事人生も変化に対してさらに強くてしなやかなものになっていくかもしれません。

 

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第28話   シニア不動産コンサルタントのチカラ 
難易度の高い高齢者への住宅支援、思い込みを持たず、探し出し、提供する

TEXT : 舛廣 純子

若杉アキラ

教えてくれた人 
若杉アキラ シニア不動産コンサルタント 

大学卒業後、飲食店に就職。もともと独立志向が強く、オーナーシェフになることを目指しながら、中華、カフェ、イタリアンなどの飲食店勤めを経験する中で、不動産業に興味を持つ。25才の時に不動産業界に転職。2年後に独立し、不動産業で自分のスタイルを模索する中で、シニア向け不動産市場の抱える課題に直面し、シニア向けの不動産コンサルタントとしてビジネスの軸足を置くようになる。現在は、「週3起業家」として不動産業を主軸にしながらも、iPhone写真家として定期的に個展も開催。パラレルキャリアを実践している。宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー、福祉住環境コーディネーター資格を保有。ブログ:「好きなことをして生きていくために


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<シニア不動産コンサルタントにとって大切な能力はなんですか?>  
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1. 思い込みを持たず事実に基づく情報を集めるチカラ      情報収集力 情報分析力 交渉力

お客様の思い込みで「借りられない」と思っていても、事実としては借りられる道があったり、引っ越さなくてもいい方法があったりするんですよ。だから事実と現実的な考え方、思い込みを分けて考えることが大事だなと思っています。不動産屋に行ったら「この金額なら物件はいっぱいありますよ」といわれることがあっても、実際はお客様の年齢的に入居審査すら受け付けられない保証会社を利用していることもあります。不動産の世界は表面的な情報だけでは、判断しきれないことがけっこう多いので、まず物件情報がチラシ通りなのかちゃんと確認する必要があります。それに交渉によって条件が変わったり、タイミングによって変わったり、交渉相手によっても変わったりします。ある不動産屋が「高齢者歓迎」と謳っていても、そこに物件を預けているオーナーさんが高齢者の入居に積極的でない場合もあります。ともかく事実の情報を拾いに行く、確認することが大事です。僕自身、そうやって、思い込みを持たずに物件を探し、交渉することで、難易度の高い高齢者の方の物件を見つけ出しています。

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2. 変化に対応する力   計画立案力 柔軟性 リスク管理能力

不動産は常に市場の変化や法改正もあり、それらに対応する力が必要です。だから何事も変化すると思って取り組むことが大事だなと思っています。

たとえば、これは物件オーナーとしての話になりますが、賃貸市場はこれから先細りしていく傾向にあります。まあ立地が良ければ話は別ですが、なんの工夫もない物件は市場から淘汰されていきます。そういったことも踏まえ先を見越して、賃料が下がる前提で投資をしないと、損をしてしまうことになります。ほかにも地震が起きた時や部屋で事件事故が起こった時など、不測の事態で不動産を売却せざるを得なくなった時にどれくらいで売れるかなど、先を見越して様々なシミュレーションをして意思決定をしていくことで、変化に対応することができます。

お客様のニーズも急にころっと変わることもあります。臨機応変に対応するという意味でも、変化に対応する力というのは大事だなと思っています。

 

3. 心を穏やかに保つチカラ 感情制御力

もう契約寸前なのに、お客様が決まりかけていた物件を急に「やっぱり嫌だ」と言い出すこともあります。高齢者の住宅探しはある意味、妥協点を見つける作業でもあり、だからこそ表面的なニーズしかつかめていないと、最後の最後で契約に至らないということもあります。そういった時に一喜一憂しないことも大事です。不動産の仕事は常にアップダウンがあります。その時々の状況で気持ちまでも浮き沈みがないように構えられるかは仲介営業の立場でも物件オーナーの立場でも大事かなと思います。

若杉アキラ

 

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<なぜシニア不動産コンサルタントになったのですか?>  
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大学卒業時には、まさか自分が今のようなキャリアを歩んでいるとは思っていませんでした。

子供のころから設計士として家で仕事をしていた父親の背を見て育ち、自由に自分で時間を組んで働くワークスタイルに興味や憧れを持っていました。大学時代は一人暮らしをしていましたが、生活費を稼ぐため、まかないもある飲食店でキッチンスタッフとしてアルバイトを始めました。最初は本当に失敗ばかりで怒られてばかりだったのですが、「こんな人になりたい」と思える料理長との出会いがあり、だんだんと料理の面白さに目覚め、就職活動の頃には、料理の道でいつか起業することを決めていました。

在学中はいつかの起業につなげようと、フレンチやイタリアンなど様々なスタイルの飲食店で短期間のアルバイトをして、卒業後は先輩シェフが新店舗をオープンさせるということで、その店で社員として働きだしました。

当初はそこで何年か修行させてもらいながら、腕を磨かせてもらう予定でしたが、そのお店はとても忙しく、まかないの時間以外は朝から晩までノンストップで働き続けていました。ただそのおかげで効率的な仕事の取り組み方が体に染みつきました。ある時、そこで働いている仲間たちの笑顔の少なさに、自分が世の中に提供したいものは何なのかを真剣に考えるようになりました。その結果、自分が提供したいのは、料理以上に「人を笑顔にできる空間」なのではないか、と気づきました。そう思ったときに一緒に働く仲間たちが笑顔になれない空間に疑問は募り、料理も含め空間や食器などトータルで人を喜ばせることがしたいと考え、転職を決意しました。自分で都内の店をいろいろと食べ歩き、好きな空間や料理を提供している店をいくつも回りました。その中で最もピンッときた二子玉川のカフェにシェフとして転職しました。

その店は、メニューの構成や店舗レイアウト、従業員のシフト管理など、いろいろやらせてもらえた思い入れのある店なのですが、入社当初から集客に苦戦していて、僕も大好きな店をつぶしたくないという思いから、シェフでありながら、街に出て積極的に呼び込みを始めました。この店で見ず知らずのお客様を呼び込む仕事をしたことは、人見知りだった自分にとって、こののち営業の仕事をする際に心理的なハードルを下げてくれた経験だったと思います。

結局その店は経営不振でたたむことになり、僕は独立を考え始めました。24,5歳の頃です。でもリアルに計画を立て始めたとき、今まで働いてきた飲食店のオーナーシェフを思い起こすと、たとえ店が繁盛しても料理人としての独立は自分が倒れたら店が回らなくなるのが目に見えていました。そんな時、料理人だけれど、ビルのオーナーをしている人の存在を知りました。その人を見ていると、いつも余裕があって、同じ飲食店のオーナーなのに、全く違うなと思い、そこから不動産に興味を持ち、独立のために料理の仕事もしつつ、不動産の勉強もしてみようと、休憩時間はずっと不動産の本を読んでいました。すると、料理のメニューを考えるより、不動産の勉強をする方が楽しくなっちゃったんですよね(笑)。そこからは方向転換。お金のことを学べるファイナンシャルアカデミーにも通い、いつか不動産オーナーになるためにも賃貸ニーズをつかもうと、苦戦しながらも地場の不動産会社に転職しました。

不動産を買うには安定した給与収入があったほうがいいため、「まずは3年間その会社で不動産を学びながら社員として働き、物件を買おう、買ってからその先も考えよう」と思っていました。ところが、宅建を取得した頃から、残業地獄が始まり、自分の仕事は終わってもみんながいるので帰れない、遅くまで不毛な残業をする日が増えました。今後について悩み、ネットでいろいろ調べていた時に、いまの自分にも不動産屋を始めることができるということを知り、行政書士に相談し、そこから一気に独立に向けて動き出しました。

その頃、子供が生まれることもわかり、子供が生まれたら新たなことに挑戦しづらくなりそうだなと思ったことも、独立に向け背中を押してくれました。物件を買うために貯めていた500万円を創業資金に、半年間は無収入でも、家族が食べていけるくらいはなんとかなると考え、半年をデッドラインに起業しました。でも刻々とそのデッドラインは近づき、あと2か月くらいしか資金が持たないところまで来た時には、本当に窮地に立たされた気持ちで必死でした。

独立当初は、法人向けビジネスのみ。個人相手の仲介はしていませんでした。ただ、それだけでは生活は成り立たず、たまたま預かっていた物件を家探しに苦労されていた高齢者の方にご紹介したことがあったんです。そしてその高齢者の方を取り巻く行政やソーシャルワーカーの方とも話をするようになり、そのうちに病院や行政から直接高齢者向け住宅についての相談が来るようになったんです。そこから一般のお客さん、高齢者の方とも直接関わるようになりました。それでだんだんと口コミが広がり、今では医療機関や行政などのソーシャルワーカー400人以上の方とのネットワークが築けました。今でも紹介と口コミだけでうちの会社は成り立っています

会社員時代から、高齢者の方の物件が不足していて、高齢者の方が家探しに苦労されているのを目の当たりにしてきました。高齢者の方の物件は賃料も安めの物件だったりするので、不動産業者もマージンが低いので扱いたがらないんですよね。

でも一方で高齢者の家探しというのは、お客様も物件が少ないのを承知されているので、ご紹介から決定までのスピードが速かったりもします。賃料が低いので仲介単価も低いですが、決定する率は高いので、確実な接客につながるという意味では、そこに商売としての可能性はあると思っていました。

今は、「高齢者の方の仲介業」が安定したことで、その資金を元手に物件を買い、金融機関から融資を受け、さらに物件を買い、高齢者の方に貸すという「賃貸物件の供給」もしています。

今年で起業8年目。独立してしばらくの間は週7日、朝から晩まで仕事をしていましたが、仕事の自動化や省略化、賃貸物件でも収益が上がるようになってきたことを踏まえ、5年目に差し掛かる頃から働き方を見直すようになりました。今は週3日不動産業をしながら、残りはiPhone写真家として、より好きな表現活動にもエネルギーを注いでいます。ようやく自分のありたいライフスタイルに近づいてきた感じです。

 

若杉アキラ

 

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<シニア不動産コンサルタントとはどんな仕事?>

病院・行政・社会福祉法人などから紹介を受け、高齢者の方のニーズをヒアリングするところから始まります。物件探し、資料送付、内見の立ち合い、審査手続き、入居手続き、契約、引き渡し等、一連の不動産仲介のフローです。自分の所有物件については管理業務もしています。一人で仕事をしているので、電話対応や一時的な作業などは外注し、限られた時間を効率的に使うように意識しています。

賃貸物件にお住まいの高齢者は古いアパートが取り壊されるときに、立ち退きを求められても新しい家を探すのが難しいという問題があります。あとは長期入院後の住まい探し、グループホームも大体3年くらいで出なくてはいけないことが多く、そういった際に病院やソーシャルワーカーさん、行政、地域包括支援センター、不動産会社から連絡が来ることが多いです。

起業して数年は、朝から晩までこの仕事をしていて自由な時間もなく、何のために独立したのかも見失いそうになったこともありましたが、最近は自分で外注化や効率化など仕事量をコントロールすることでメリハリをつけられるようになりました。そうすることで、iPhone写真家としての時間や家族との時間もバランスをとれるようになり、逆にこの仕事にやりがいを強く感じるようにもなりました。週7日働いている時は、仕事は好きなのだけれど、満たされなくて、でもそれは、仕事をやりすぎていただけなんだと気がつきました。

 

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<一日の仕事スケジュールは?>

週3日間を不動産の仕事、そのほかの日はiPhone写真家としての活動や家族との時間にあてています。

5:00   起床
5:00~7:00   ブログを執筆
7:00~8:00   朝食・身支度
8:00~8:30   新着物件チェック
8:30~12:00   新しい物件を買うための資料作りやブログ執筆などのクリエイティブ業務
12:00~13:00   昼食・新着物件のチェック
13:00~17:00   外出 地域包括支援センターやお客様の家を訪問(外出するときは集中してアポイントメントを入れて、時間を効率的に使うようにしていますね) 
18:00 帰宅
      家族と夕食 
22:00    就寝

 
 

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<仕事のやりがいや面白みはどんなことですか?> 

高齢者の物件はなかなか条件に合うものがなく、そういった物件を「見つけた」瞬間は、まさに宝探しで宝物を見つけたような感覚で嬉しくなります。

実際、家探しに苦労されている高齢者の方は多く、住むところが見つかって喜んでいただけるのは自分にとって大きな喜びです。僕の中では、やはり困っている人を助けたいという気持ちが強いんです。高齢者だから、障害者だからと言って、その人の人となりや人物をみないで、家を貸さないという世の中の理不尽さには正直怒りを感じているところもあります。もちろん僕がオーナーとして物件を貸すときも審査はしますが、年齢や障害を理由に断ることはしません。他に迷惑をかけたり乱暴な言動がなく、自立した生活ができれば何歳でも入居可能です。入居が決まり喜んでいただけたときは、やはり嬉しいですよね。それは仲介でも同様です。

何十件も不動産屋を回ってきて、家を見つけられなかった方の物件を見つけられたときは喜びも大きいです。家が見つけられたことで退院できることもありますし、高齢者の場合はその人を取り巻く支援者もたくさんいて、そういった方々も一緒に喜んでくれるので、喜びは何倍になります。

 

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<もっとも嬉しかった経験はどんなことですか?>

最も印象的だった経験は、70代半ばのおじいさんがいくつ不動産屋を回っても、保証会社のところで審査が下りず、家探しに困られていたケースです。聞くと、身内はいるけれど、もうずっと連絡をとっていなくて、知り合いを連絡先にしているということでした。僕はもしかするとそれで審査が通らないのかもしれないと考えました。「身内の人に連絡を取れないですか?」と聞いたところ、もう30年くらい妹さんと連絡をとっていないということでした。別に仲が悪いわけではないそうなのですが、ご両親が亡くなり、帰る家もなくなり、妹さんと連絡を取り合うこともなくなってしまったという状況でした。

しぶるおじいさんに「電話をかけてみませんか?」と説得したところ、どうにか電話をかけてくれてつながったんです。つながってみると「あ、オレオレ」って自然と会話が始まって。「今回部屋借りることになったから、何かあったら連絡がいくかもしれない」と連絡先になってもらったんです。なんだかおじいさんもうれしそうでしたよね。もしかするともうこの先ずっと話すこともなく、一生を終えていくかもしれなかったわけですから、30年ぶりに二人の連絡が取れた瞬間に立ち会えたのは僕もなんだか嬉しくて、心にじわーっとくるものがありました。

 

<逆に今まででもっとも大変だった経験は?>

基本的に、他の不動産屋が対応できない案件がうちに回ってくるので、全部大変です(笑)。

ただその中でも失語症の案件は大変でしたね。立ち退きで引っ越しをしなくてはならなかったのですが、失語症で電話に出ることができない、身内もいないということで、離れてコミュニケーションをとるのが大変でした。なんとか失語症の方でも受け入れてくれるオーナーさんを見つけ、ご紹介しました。電話に出られないと保証会社の審査は通らないので、家賃を自動引き落としにして、オーナーさんに許可をとりました。管理会社に行く際も、一緒に同行し、筆談をして、その人の人柄をみてもらい、ようやく、という感じでした。普段なら電話で済む話も対面でないと何事も進まないというのも大変でしたね。

 

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<シニア不動産コンサルタントの仕事の未来はどうなっていくと思いますか?>

高齢化社会ですし、ニーズは高い仕事だと思います。人口推計で見ると僕が60歳になるころ、つまり約25年後、一番高齢者が増えるようなので、まだまだニーズのある領域だと思っています。なので、iPhone写真家と今後も両輪でやっていこうと思っています。いくつになっても、普通に家に住めるって、大事なことだと思うんですよね。社会的にも意義の大きい仕事だと思っています。

今後AIなどが進化して不動産でマッチングを担うようになったとしても、高齢者の案件は、100%希望条件に合う物件に出会えることが少ないもの。だからこそ、それを受け入れられるタイミングでのご紹介や心に寄り添うコミュニケーションを通して、その高齢者の方が置かれている現状を受け止められるように関わっていくことが大事だと思っています。

条件を伺えば、たくさん条件も出てきます。しかし、何が本当に譲れない条件なのか会話の中から探っていくのは、やはりAIでは難しいのではないかと思います。

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<今の仕事と同じように向いていそうな仕事はありますか?>

調整役の仕事は向いていると思います。間に入り、双方の意見を聞いて、調整をしていくような。

あとは今やっているiPhone写真家でしょうか。撮りたい景色を見つけたとき、不動産でいえば、お宝物件を見つけた時のような感覚、「宝探し感」が似ていて面白みを感じます。

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キャリアカウンセラー舛廣純子の  シゴトのチカラ考察  .

 

飲食店でのシェフから、シニア不動産コンサルタント兼iPhone写真家という異色の経歴の若杉さん。
飲食店で磨いた効率性は起業して一人でやっているシニア不動産コンサルタントに、表現力や創造力はiPhone写真家にそれぞれ活きているとのこと。そして、シニア不動産コンサルタントとiPhone写真家は宝探し的な点でその面白みが似ているそうです。

仕事が変わっても、得意で活かされるチカラは共通で、一見全く異なる仕事にも共通したやりがいや面白みがある。パラレルキャリアというだけでなく、自分の得意を活かして、興味が湧くものに没頭し、世の中にない仕事を創り出していくという意味で、若杉さんのキャリアはとても創造的でユニークでこれからの時代のキャリアの在り方なのだろうと感じました。

それを可能にしているのは、一つは若杉さんがあげた変化対応力があるからこそ。若杉さんとお話していると、穏やかにお話ししながら、実は先の先までずいぶんと考え、行動している方なのが伝わってきます。ある意味計画を立てているということなのでしょうが、単に計画を立てているだけでなく、リスクや状況変化もいろいろ想定しながら、未来を考える習慣が自然とついている方で、だからこそ、シニア不動産コンサルタントとして賃貸オーナーもできているのでしょうし、若杉さんのキャリアもまた柔軟に形成されてきているように感じました。

また一方で集中して物事を学び取り組む力のある方なのでしょう。料理も不動産もiPhoneでの写真も、そこに集中し、集中するための時間も効率的に使われています。

これからの高齢化社会の中で、高齢者の住宅問題は大きな社会問題の一つです。だからこそ法改正などもあり、若杉さんのシニア不動産コンサルタントという仕事もその都度変化を求められることもあるかもしれません。でも若杉さんの変化対応力思い込みを持たず事実に基づく情報を集められる力心を穏やかに保つ力があれば、シニア不動産コンサルタントの仕事も若杉さんのキャリアも柔軟にその変化の波を乗り越えていかれるのでは、と感じたインタビューでした。

 

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(次回もお楽しみに。毎月1回、第4月曜に更新します) =ーー

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TOOLS 13   自分を好きになるリフレーミング
TOOLS 19   後悔しない道の選び方(前編)
TOOLS 20  後悔しない道の選び方(後編)
 

舛廣さんってどんな人?

PEOPLE 04 舛廣純子(キャリアカウンセラー)
就職は子育ての最終章。就活生の親に読んで欲しい本を出版

 


舛廣純子

舛廣純子

ますひろ じゅんこ フリーランスキャリアカウンセラー。1972年、東京都出身。日本女子大学人間社会学部文化学科卒業後、化粧品商社に営業職として入社。会社の民事再生、自身の出産・育児を機に2 回の転職を経験。自らの転職経験からキャリア支援に関心を持つようになり、社会保険労務士、キャリアカウンセラーの資格を取得。2007 年、キャリアカウンセラー・講師として独立。大学生の就職支援・キャリア教育、社会人の転職支援・キャリア形成支援を中心に活動。支援学生の高い就職率とわかりやすいセミナーには定評がある。特技は長所探し。2013年12月に学研教育出版から『就活生に親が言ってはいけない言葉 言ってあげたい言葉』を出版。ブログ:http://ameblo.jp/shuukatsumamanoblog/