ひとつの星座 – 3児のママが小説を出すまで【最終話】 怖いもの見たさで覗いた世界の先で見つけたもの 2017年~2018年 / 諸星久美
けれど不思議と焦りは微塵もなかった。また書ける時が来ると信じて、1歳だった次男を背負い、3歳の長男を遊ばせながら読書をしていた頃のように、疲れた体をソファに沈めたまま、映画を観て、本を読んで過ごした。そしてまた小説を書く…
けれど不思議と焦りは微塵もなかった。また書ける時が来ると信じて、1歳だった次男を背負い、3歳の長男を遊ばせながら読書をしていた頃のように、疲れた体をソファに沈めたまま、映画を観て、本を読んで過ごした。そしてまた小説を書く…
「君、幸せでしょう? 幸せな人が書くものって、つまんないんだよね」と言われたことで刺さった棘は、刺さったままでいいと思っている。刺さったまま、幸せに見えたまま、そして私自身が幸せに満ちたまま、感謝を持って吉満さんから貰っ…
完全なる、ダブルブッキング。本来なら、先に予定のあった送別会を選ぶのが筋。けれど、勘違いに気づいた時の私は、頭で考える当たり前よりも、体が選びとった選択に身を任せた。体はまっすぐに、また吉満さんに会いたい。今、会いたい。…
返事が待ち遠しい。いや、うそ、本当は怖い。そんな思いで待つ私のもとに届いた横里さんの返事を、私は何度も、何度も読み返した。読み返すたびに、緊張で凝り固まっていた心が、喜びで肥大してほどけていくのを感じた。そして、その大き…
作家の先生方が共通して言われていた「とにかく書く。書き続ける」という泥臭いチャレンジならできると思ったからだ。なんて諦めが悪いのだろうと思いながらも、打たれても消えない熱こそが答えのような気もした。簡単に手にできないもの…
子どもが、悩み、自問し、周りにいる魅力的な大人に影響を受けながら成長していく物語を幾つか書いてきた私にとって、『りんどう珈琲』はドンピシャで好みの物語だった。ああ、やっぱり小説が書きたい。心底そう思った。ボッと音を立てて…
締め切りに合わせて原稿を書き、言葉を紡ぐことを生業にしている人たちと並走させてもらった経験は、コツコツと一人で書いてきた中では味わえない充実のひとときだった。もっと書きたい。書く時間の中だけに身を投じたい。その思いは、心…
主婦の自費出版本など、いきなり飛び込みで持って来られても、というのが現実なのだろう。けれど、そんな飛び込み営業の日々の中でも、ちゃんと話を聞いてくれる人とくれない人がいることを知ったのは、面白い経験だった。「はぁ、何言っ…
もう一日も無駄にして生きることはできない。最期の瞬間に「それなりに良い人生だった」じゃなくて「良い人生だった」と、ちゃんと自分を褒めてあげられるような生きかたをしたい。そして、それを、子どもたちにも伝えていきたい。日本中…
泣き止まなくても、食べなくても、おむつが取れなくても、熱が出ても、寝てくれなくても、「この程度なら大丈夫」だと思える心の余裕は、1日のエネルギー残量にも比例し、私はまたパソコンに向かうようになった。長い間、脳内で育ててき…
出産を機にアンバランスになった理由。それは、「このまま放っておいたら、誰かに属するだけの自分になってしまう」という危機感からくるものだったのかもしれない。きっと私は、私という存在を確立するために必死でもがいていたのだろう…
ただ書くことが好きというのなら、自身のお気に入りノートにあれこれと書き連ねればいい。誰に読んでもらわなくとも、そのノートを黙々と増やしていくだけでいい。きっとそれだって十分に意味のあることだろう。でも私はそれだけでは嫌だ…
ヒーローの数に比例して、各ヒーローの持ち技などを読んでいくと、かなり長い時間になるのですが、よく集中して聞いているので、私の方が集中切れして、「今日はダイナまでね」と読み聞かせを終了させてもらうことも多くありました。それ…
はなうたが出る時の心の状態は、安定して満たされている状態だと思っています。家の中で誰かがはなうたを歌っているときに部屋を満たす空気は幸せなものですし、家の中がピリピリ、ギスギスしている時には、はなうたなど出てくることも許…
ずぼらな私が、自分が楽をしたいという発想から実践してきた子どもたちへの関わりと、その結果育まれつつあるであろう自立心についてのお話です。もしかしたらそのようなスタイルを、自分勝手、母親の自覚がないと思う方もいるかもしれま…
吹雪いて視界が悪くなっていく、雪山の天気の急変を体感する中で、「ここにいたらやばいぞ」という自然への怖さを学ぶこともあるでしょう。海では、足のつかない場所でヒヤリとした経験や、波に体をひっぱられる経験から怖さを学び、危…
普段あるものがなくなった時。それらがどれほど有難いものであるかを知ります。我が家は毎年3月11日に、家族でキャンドルを灯して夜を過ごします。もしも、家族の誰かが欠けてしまったら… と想像することは、家族が元気でそろってい…
あなたは、「ゴールデンエイジ」という言葉を知っていますか? 「10歳までの幼少期に神経系の成長が決まってしまう。だから小さなお子さんにはさまざまな運動に触れさせたほうがいい」、というお話です。うちの主人は、幼稚園で体育指…
子育てを始めた頃。私は、何をするにも初めてで、新しい試みに対して、心配や不安が勝ってしまう、ネガティブ&フットワークの悪い新米ママでした。旅行に行くにも、道中の車内で長男が泣きじゃくったらどうしよう… とか、旅先で熱を出…
「もう学校へはいかないっ、みんな大っ嫌いだっ」下校した長男が玄関で泣いて暴れたのは、彼が4年生の冬の日でした。初めてのことに、私は驚きと戸惑いを制して、彼の心が収まるのを待ちました。その間にも、彼はランドセルを玄関に投げ…
大恋愛の渦中にいる時、人は喜びの量に眩暈すら感じるものなのだと知ったのは、彼(主人)に出逢ってからでした。25歳だった私は、12年つき合っていた人と別れて、つき合いはじめて2週間の彼と結婚することを選びました。「まっすぐ…