ちいさなお店をはじめたこと。~等身大で、自由な働きかた~【第23話】ちいさなお店がイベントに出ることQ&A ≪前編≫

ノマディッククラフトヨメのちいさなお店をはじめたこと。自分たちなりに振り返り、これがよかったのかな?と思う点は、出店内容に「何を扱っているか」記入するだけでなく、文字数の許すかぎり「どこに愛着を持って」「どういう思いで」「どんなふうになれば、と考えて活動している」という点sasamoto_s

第23話 ちいさなお店がイベントに出ることQ&A ≪前編≫.

こんにちは、ノマディックラフト ヨメです。「来年はもっと自分たちの世界を広げて勉強するため、いろんなイベントに参加してみよう」と、店主と話したのがたしか昨年末のこと。年内のイベントは、残すところあと3つとなりました。ひととおり終わったら、この連載でも報告レポートを書こうと思っています。

でもその前に、気づいたことが。実は、今年1年出店に一生懸命になったことで、多くの作家さんやちいさなお店の方々に「イベントに出ること」について質問を受けるようになったんです。前回、ブース設営の手順をご紹介したのも、そんな質問がきっかけでしたが、質問されるトピックってだいたい共通しているんです。つまり、作家さんやちいさなお店、気になることは共通なのではないかな、と。

そこで今回より2回にわたり、よく聞かれる質問に対し、私たちなりに知っていること、体験したことのシェアをさせていただこうと思います。前編では出店前のこと、後編では出店当日~後のことをご紹介。何かの参考になりますように!

Q. 出店するイベントは、どうやって見つけていますか?
A. 口コミ、SNS、ネットでの情報収集、そして友人&知人からの紹介です

最初は、自分たちが来場者として足を運び、「出たいなあ」と思っていたイベントについて「出店者募集」をしていないかホームページをチェックすることから始まりました。募集があれば、要項を見て条件に合うか確認し、応募に進みます。「募集」がなければ、事務局にメールをして「出店希望なのですが、募集はしていますか」という問い合わせをします。「現在、新規の出店者は受け付けていません」とお断わりされるところもありましたが、表だって募集をしていなくても、問い合わせすることで案内をしてもらえることもありました。

他には、SNSで友人がシェアしているステキなイベントをチェックしたり、ネットでイベントを検索したりして情報を収集。可能なかぎり実際に足を運んで雰囲気を見、応募を検討するようにしていました。とはいえ、年に1回のみ開催のイベントだと「足を運んでから」というペースだと、出店するのは来年、ということに。その場合は、友人や知人でそのイベントに行ったことのある人を探し、雰囲気を聞いて判断するようにしていました。

出店を続けているうち、作家&ちいさいお店仲間も増えてきます。「あのイベントがよかったよ」「ノマディックラフトさんと雰囲気が合いそう」などの情報を教えてもらえたり、「今度イベントに出るんだけど、よかったら紹介するので出てみませんか?」とお声がけをいただけたりするようなことも増えてきました。積極的にイベントに出ることで、より出やすい環境になるんだな、というのが実感です。

 

今年初出店した、新潟は佐渡の『アースセレブレーション』。海のそばで開催された気持ちのよいイベントでした。こちらは「相性が合いそうなイベントがあるけど、興味ある?」と知人に教えていただいたことが出店のきっかけでした。

今年初出店した、新潟は佐渡の『アースセレブレーション』。海のそばで開催された気持ちのよいイベントでした。こちらは「相性が合いそうなイベントがあるけど、興味ある?」と知人に教えていただいたことが出店のきっかけでした。


Q. 応募の前に、これだけは確認しておいたことがいいことって?

A. ブースの大きさ、出店料、テントやテーブルなどの設備関係です

イベントに遊びに行く立場だったころは「おしゃれな雰囲気か」とか「どんな人たちが出ているか」などに気を取られていましたが、実際に出るとなると話は別。売上げをキチンと立てつつ、出店料を払わなければいけませんから、コスト面での採算をイメージすることも必要になります。

まずは出店ブースのサイズと料金を確認し、自分たちが取り扱うアイテムの量・広さ・出店料のバランスが合っているかどうかを考えます。扱う量に対してブースが広いなら、仲のいい作家さんとブースをシェアして出店するのも方法です。

最近は、「犬を連れていっても大丈夫か」という項目が、選びの基準に加わりました…。無理な場合は、看板犬レラにはお留守番してもらっていますが、一緒に行けると本当に嬉しそうにしています。

最近は、「犬を連れていっても大丈夫か」という項目が、選びの基準に加わりました…。無理な場合は、看板犬レラにはお留守番してもらっていますが、一緒に行けると本当に嬉しそうにしています。

出店料については、無理をしないことが基本です。単価が1000円のものを30点しか持って行かないのに、出店料が3万円だったら赤字はほぼ確実、ということになります。が、出店することで「このイベントに出店しました」と言えるよい実績になるなら、広告宣伝費だと思って出てみる、というのも選択肢だと思います。

最後は屋内や野外かにもよりますが、テントやテーブルなどの設備が必要かどうかを確認しましょう。屋内&小さなブース出店であれば、トランクに出品アイテムとディスプレイ用品を詰めて、電車で参加することが可能です。しかし屋外でテントやテーブルは各自用意、という条件だと、車の手配を考えなくてはいけませんし、そもそもテントやテーブルも購入しなければいけないかもしれません。

設備はレンタル可能、というイベントが多いですが料金がかかりますので、応募前にかかるであろうコストをすべて出してみて、今の自分たちとバランスが合っているか考えるのも、活動を長く続けるうえで大切なのではないでしょうか。

初めて出店させていただいた、川崎チネチッタの『ボンマルシェ』。このときはテントとテーブルをお借りできたので、移動のときに持っていく荷物が少なくて助かりました。

初めて出店させていただいた、川崎チネチッタの『ボンマルシェ』。このときはテントとテーブルをお借りできたので、移動のときに持っていく荷物が少なくて助かりました。

 

Q. 出店審査で落ちてしまいます。募集に通る秘訣は?
A. コンセプトと活動内容を分かりやすくまとめておくこと。イメージと扱うアイテムが分かる写真を用意すること。ウェブサイトを用意することです

ありがたいことに、出店が決まってから「あのイベントの審査に通ったなんてすごいね。受かるのが難しいらしいよ」と教えていただくこともたびたびありました。出店審査の判断基準がどこなのかは、イベントによっても違うでしょうし、正直分かりません。ただ「住所や名前が気に入らない!」ということはないでしょうから、ほとんどの場合「出店内容=取り扱い内容」が決め手になるのだろう、と推察されます。

自分たちなりに振り返り、これがよかったのかな?と思う点は、出店内容に「何を扱っているか」記入するだけでなく、文字数の許すかぎり「どこに愛着を持って」「どういう思いで」「どんなふうになれば、と考えて活動している」という点を書いていることなのではないか、と思います。たとえばこんな感じです。

×  少数民族の手仕事雑貨。刺繍、織、染め物のポーチやストールなどを扱っています。
◎ タイ、ベトナム、ラオスから届いた山岳少数民族のフェア・トレード雑貨を中心に、母から子へ、脈々と受け継がれてきた素朴で美しい手仕事を紹介しながら、作り手である女性たちに仕事の機会を提供し、貧困の輪を断ち切るための支援を行っています。

上記は一例ですが、後者のほうがより雰囲気やイメージが湧きやすく、活動の目的も伝わるのかな?と感じています。写真の提出が必須な場合は、取り扱いアイテムのなかでも、自信を持って「かわいい!」と思ってもらえそうなものを厳選します。もし、それでダメだった場合「私たちが好きな物と、テイストが違ったのかも…」と自分を納得させられるから、という理由でもあります。

『椚山工房』さんに作っていただいたスツール。たくさんの人に見てもらえたら、と願う大好きなアイテムです。

『椚山工房』さんに作っていただいたスツール。たくさんの人に見てもらえたら、と願う大好きなアイテムです。

ウェブサイトがあった方がいい、と思ったのは、出店した当日に運営側の方たちとお話する機会があったとき、「ウェブサイトも見ましたよ、キレイにまとめていらっしゃいますね」と言っていただけることが多かったからです。WordPressというソフトを使って、店主が四苦八苦しながら作ったサイトですが、あればちゃんと見ていただけ、少なからず活動への信頼になってくれているのではないか、と感じます。ウェブサイトが難しい場合は、日々の制作や活動の様子が分かるブログがあれば十分だと思います!

Q. 出店が決まりました!当日までの準備で忘れがちなことってありますか?
A. お釣りなどのお金まわりの準備と、お客様に渡すショップカードか名刺を忘れずに!

お釣りの用意は多めに!というのも、出店する私たちは「ちいさなお店です」という意識なのですが、来場するお客様にとってはふつうの「お店」。イベントが始まって朝一番に買ってくださったお客様から「さっきお金をおろしてきたばかりなの」と、ピカピカの一万円を渡されることは珍しいことではありません。小銭とお札は多めに持っていくのをおすすめします。

あと、思いのほか重要なのがショップカード。イベントに出始めたころは、のんきなものでカードを持って行くことを忘れていたのですが、お客様から「ショップカードはありますか?」と聞かれることが多く、「ノマディックラフトに興味を持ってくださる人たちと、買う・買わないに関わらずつながりを作る手段なのに!」とハッとしました。

以来、ご自由にお持ちいただける場所にショップカードを置いておくのを忘れないようにしています。これをするようになってから、ネットショップのアクセスが少しずつ増えてきたような気も。運悪くカードを切らしてしまったときは、店主の名刺をお渡ししています。

テーブルの上に『ノマディックラフト』と『juju』さんのカードを出しています。持って帰ってくださり、後からメールで問い合わせをいただくことも。

テーブルの上に『ノマディックラフト』と『juju』さんのカードを出しています。持って帰ってくださり、後からメールで問い合わせをいただくことも。

 

Q. これがあると意外に便利だよ、というものは?
A. 領収書、クレジットカード端末、ラッピング材でしょうか…?

お買い物の後に「領収書がほしい」と言われることが時々あります。前にあったのは「運営している事務所でこのクッションカバーを使いたい」というご要望。たしかに経費にするには領収書がないと困りますよね。しょっちゅう求められるものではないので、複写式ではない領収書にショップ名のスタンプだけ押し、金額は白紙の状態で数枚金庫に入れておけば、もしもの時に断らなくてすみます。

3000円以上のアイテムを取り扱う方なら、カードを使えるようにしておくのもよいと思います。ノマディックラフトでは「スクエア」というスマホでカード決済ができる端末を利用しています。少し前までは、カードを使えるようになるにはいろいろ審査が必要でしたが、今はネットで申し込むだけですぐに利用が可能。出店ブースに、クレジットカードのロゴマークを出しておくと、手持ちのお金がなくて迷っていたお客様がカードで購入してくれることがあるので、じんわり助かっています。

さりげなく、カードの案内を吊り下げておくだけですが、利用したい方はちゃんと見つけてくれるよう。

さりげなく、カードの案内を吊り下げておくだけですが、利用したい方はちゃんと見つけてくれるよう。

あと、時々ですが「ギフトにしたいので、ラッピングできますか?」と聞かれることが。用意をしておらず「すみません」とお断わりしてしまうことが数度あったのですが、イベント中は難しい包装はできません。そこで今はチロリアンテープを持っていっています。「簡易ラッピングならご対応できます」と、通常使っている紙袋の持ち手にリボンを付けてお渡しするだけですが、それでも喜んでいただけています。かわいいリボンや紐、袋などを少量用意をしておくのもよいですね。

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正直、まだいろいろ手探りなところもありますが、出店に励んでみて気づいたことをシェアさせていただきます。作家さんや小さいお店同士で「もっといい方法があったよ」とか「試してみたら実際こうだった」とか、どんどん情報交換ができればよいな、と思いますので、質問や情報のご提供は大歓迎!ノマディックラフトまでメッセージなどお気軽にお送りください!

次回もちいさなお店からお話をお届けしますね!どうぞお楽しみに!

 

ノマディックラフトのイベント出店情報

赤坂蚤の市
10月23日(日) 11:00~17:00 @赤坂・アークヒルズ
ライフスタイルを彩るアンティークの家具や雑貨、古着屋ジュエリーが揃うステキな蚤の市です。大好きなアクセサリーブランド『juju』さんと共同&初出店です!
集祭 vol.5 ~HELLO!IN!!~
10月29日(土) 11:00~20:00、30日(日) 10:00~18:00 @代官山・SodaCCo
世界のいろんなモノ・人が集まるお祭イベント「集祭(あつまつり)」。北欧、メキシコ、モロッコ、亜細亜など世界の雑貨やカラフルな小物たちから、おいしい焼き菓子&コーヒー、足つぼや占いまで、見逃せないお店が大集合します!
ベジ&フォークマーケット
11月5日(土)・6日(日) 10:00~16:00 @川崎・麻生環境センター
「動物性食品、乳製品、白砂糖、食品添加物を使わない」をコンセプトにした野外マルシェです。飲食店や農産物の販売のほか、手作りの雑貨やクラフトワーク、数々のワークショップ、キッズが遊べるエリアやリラクゼーションブース、アーティストによるミニライブと見どころが盛りだくさんの人気イベントです。

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 連載バックナンバー

第1話 家=店。人が思うよりもずっとちいさな投資でお店をはじめてみた(2015.6.13)
第2話 店から出て人に会う、出会いをつくる。〈イベント出展篇〉(2015.6.26)
第3話 1人2役 × 2。兼業夫婦は不安定? 時間も予定も「自由」のメリット・デメリット(2015.7.11)
第4話 なんで「少数民族の手仕事」? それはやっぱり「好き」だからです(2015.7.25)
第5話 暑さに負けず蚊に負けず。探して洗って、よみがえる古布たち 〈 仕入れ旅篇 〉(2015.8.8)
第6話 どうしてそんなに自由なの!? 現地の人たちと商品を作る(2015.8.22)
第7話 モン族の女性に聞いた、美しい刺繍の裏側にある物語(2015.9.5)
第8話
 小商いでも管理は大切。入るお金、出ていくお金何がある?(2015.9.19)
第9話 ショップカードにネームタグ… 地味だけど重要度は大! お店まわりのこまごま小物(2015.10.3)
第10話 大切さは名前と同じ。自分たちのロゴマークはどう作るか<デザイナー編>(2015.10.17).
第11話 大切さは名前と同じ。自分たちのロゴマークはどう作るか<実践編>(2015.10.31)
第12話 どこまでを手作りと呼ぶ? 手仕事を求める楽しさ、難しさ <買い付け編>(2015.11.14)
第13話 お客様との新たなつながり。看板犬レラが教えてくれたこと。(2015.11.28)
第14話 美しいものよ、輝け!お母さんとの約束。(2015.12.12)
第15話 生産者さんを訪ねて <鳥の笛ネックレス編(2016.1.14)
第16話 生産者さんを訪ねて <アカ族の村編(2016.1.30)
第17話 始まった… 年に一度の確定申告(2016.2.13)
第18話 手仕事は同じじゃないから美しい~『ORDINARY』とコラボグッズを作ったこと(2016.3.11)
第19話 生産者さんを訪ねて<カレン族の村編>(2016.5.21)
第20話 生産者さんを訪ねて<ラフ族の村編>(2016.6.18)
第21話 夫婦で働きながら、煮詰まったときにしていること。(2016.7.20)
第22話 おしゃれに見せるって難しい! イベントのディスプレイで四苦八苦。(2016.8.26)
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オーディナリー編集部がノマディックラフト参加の展示会を観に行った話

【レポート】遠い国の伝統的な手仕事がいっぱい!

 

【関連サイト】
ノマディックラフト ウェブサイト http://nomadicraft.com/
ノマディックラフト 店主ブログ http://blog.shop.nomadicraft.com/
ノマディックラフト Facebook https://www.facebook.com/nomadicraft
木内アキ(ライターとしての仕事) ウェブサイト http://take-root.jp/

(隔週土曜更新です)


ノマディックラフト ヨメ

ノマディックラフト ヨメ

自然・旅・民族をテーマに、タイ、ベトナム、ラオスの山岳地帯に住む少数民族の手仕事を扱う、西小山のアトリエショップ『nomadicraft』を店主であるダンナとともに運営。母から子へ、脈々と受け継がれてきた素朴で美しい手仕事を紹介しながら、作り手である女性たちに仕事の機会を提供し、貧困の和を断ち切るための支援も行っている。ふだんはフリーランスのライター・木内アキとして「女性にまつわる人・旅・暮らし」をキーワードに、雑誌や書籍を中心に執筆活動中。目標は「キチンとした自由人」。 ノマディックラフト 店主ブログ http://blog.shop.nomadicraft.com/ 木内アキ ウェブサイト http://take-root.jp/