【盛況のうちに終了】たなか鮎子展「ささやく町 – A Whispering Town」@東京青山

たなか鮎子展「ささやく町」ヨーロッパは人々がそれぞれ哲学を持って暮らしているのがとても素敵だと感じます。ものの選び方、照明の使い方、家族との夜の過ごし方。日常生活の中に、その人なりの小さな哲学が、あちこち息づいているように思うのです。そんな暮らしから着想
イベント レポート
たなか鮎子展「ささやく町 – A Whispering Town」@東京青山  

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オーディナリーの連載でもおなじみ、たなか鮎子さんの個展が、大盛況で終了しました!

この青山のギャラリーマヤで個展を開催するのは4年ぶりとあって、期待が高かったのでしょう。午前中から多くの人。

たなか鮎子展「ささやく町ーThe Whispering Town」たなか鮎子展ささやく町 IMG_5297

オーディナリー編集部が到着し、外から様子をうかがうと、サインをする鮎子さんの姿を発見。

たなか鮎子展ささやく町

扉を開けると、たくさんの方、常連さんも初めましての方も、新しい作品たちを食い入るように鑑賞しています。

「初めまして!たなか鮎子さんのインスタで知って、とても感動して来ました」と挨拶してくれる方がいたり、とてもいい光景です。

鮎子さんは、次々と来訪者とお話をしています。

鮎子さんの作品たちは、このようにひいて見るのもいいのですが、

たなか鮎子展ささやく町

やはり、ググッと寄って観るのが面白いです。特に今回の展示では、物語が現実に侵食する立体が目玉かと感じるので、正面からはもちろん、斜めから観たり、ひとつの作品をいろいろな角度から観察します。

たなか鮎子展ささやく町

それでは、ここからは、鮎子さん本人に今回の展示について案内してもらいましょう。

深井次郎とたなか鮎子さん

深井次郎とたなか鮎子さん

こんにちは、たなか鮎子です。
今回の展示について、簡単にお話ししますね。

ヨーロッパの町で暮らすようになって四年。
たくさんのインスピレーションをもらってきました。

ふぞろいな石畳や、歴史を感じさせる建造物。
澄んだ冷たい空気や、静かな朝に響く鐘の音。
思わず足を止めてしまうような風景に、時々出会います。

でも、ヨーロッパの美しさは、それだけではありません。
人々がそれぞれ哲学を持って暮らしているのが、とても素敵だと感じます。
ものの選び方、照明の使い方、家族との夜の過ごし方。
日常生活の中に、その人なりの小さな哲学が、あちこち息づいているように思うのです。

そんな暮らしから着想をえつつあたためてきたのが、
架空の町「WhyNot(ホワイノット)」の物語です。

たなか鮎子展ささやく町

ホワイノットは、一見、そこらへんにある普通の町とかわりません。

しかし、よく近寄って家の壁を見てみると、あちこちに小さな文字が溢れているので、
人間の世界のみなさんからすると、少し不思議な感じがするかもしれません。

 

たなか鮎子展ささやく町

ここは、人々の小さな「哲学」を成分にしてできた町です。
ちょっとした気づきや迷い、とほうもない空想が粒子となって空中を浮遊し、
次元移動と化学変化を経て、ホワイノットの成分となるのだそうです。

たなか鮎子展ささやく町

人間という生き物は、何を、なぜ、どんな風に、思うのだろう。
その思いは、あの体のどこから生まれるのだろう。
そんな疑問を抱えながら、ホワイノット人はそのへんを行ったり来たりしているのです。

ちょっと風変わりなこの町の風景を描いた作品を、今回展示しました。

楽しんでいただけたとしたら、嬉しいです。

たなか鮎子展ささやく町

鮎子さん、ありがとうございました。
このレポートでは、すべての作品はご紹介できませんが、今回行きそびれてしまった方は、また次の機会に足を運んでみてくださいね。写真と実物は全然違いますよ。写真では、魅力のすべてが伝わらず、もどかしいです。生で見て欲しい。
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今後の動きは、新しくオープンしたウェブのお店の方をチェックしていただければと思います。

✴︎ Shop & Story  LittleWhyNot のご案内

ホワイノットの物語とともに作りためてきた立体作品や陶製グッズは、この2月にオープンしたウエブサイト「LittleWhyNot(リトルホワイノット)」にて購入できます。小さな物語やグッズがどんどんUPされています。どうぞ一度遊びに行ってみてください。

http://littlewhynot.com

たなか鮎子展ささやく町 たなか鮎子展ささやく町

 

作家プロフィール

たなか鮎子
絵本作家、イラストレーター
1972年福岡県生まれ、宮城県に育つ。ベルリン在住。ロンドン芸術大学チェルシー校大学院修了。
2000年ボローニャ国際児童図書展の絵本原画展入選。絵本に『かいぶつトロルのまほうのおしろ』(アリス館刊)『フィオーラとまじょ』講談社刊)など。書籍装画に『1リットルの涙』『数学ガール』など。ピコグラフィカパブリッシング&デザイン、リトルホワイノット主宰。JAGDA会員。
http://ayukotanaka.com

オーディナリーでの連載も読んでみる?

連載「かどを曲がるたびに」とは  <制作の合間に、気ままに更新>
「こちらロンドンは、角を曲がるたびに刺激があふれています」絵本作家たなか鮎子さんは2013年冬、東京からアートマーケットの中心ロンドンに活動拠点を移しました(2018年現在はベルリン在住)。目的は、世界中にもっと作品を届けるため。42歳からロンドン芸術大学大学院(著名アーティストやデザイナー、クリエイターを多く輩出している)で学んだり、ファイティングポーズをとりながらも、おそるおそる夢への足がかりをつかんでいく。そんな作家生活や考えていることをリポートします。「鮎子さん、まがり角の向こうには何が待っていましたか?」オーディナリー発行人、深井次郎からの質問にゆるゆると答えてくれる往復書簡エッセイ。

  

 連載バックナンバー  
第1通目 「ロンドンは文字を大切にしている街」(2014.3.5) 
第2通目 「創作がはかどる環境とは」(2014.9.29) 
第3通目 「新しい自分になるための学びについて」 (前半)
(2014.12.20) 
第4通目 「新しい自分になるための学びについて」 (後半)(2015.3.9) 
第5通目 「40代のロンドン留学で変わったいくつかのこと」(2016.5.7) 
第6通目 「何度も読みたくなる物語とは」(前半)(2016.10.22) 
第7通目 「何度も読みたくなる物語とは」(後半)(2016.11.22)
 
 
第8通目 「絵本作家が立体を作りはじめた理由」(2017.2.6) 
第9通目 「個展はいつも自分を進化させてくれる」(2018.2.25) 

 特別インタビュー  

PEOPLE 05  たなか鮎子「きのう読んだ物語を話すような社会に(2013.12.31)

 


編集部

編集部

オーディナリー編集部の中の人。わたしたちオーディナリーは「書く人が自由に生きるための道具箱」がコンセプトのエッセイマガジンであり、小さな出版社。個の時代を自分らしくサヴァイブするための日々のヒント、ほんとうのストーリーをお届け。国内外の市井に暮らすクリエイター、専門家、表現者など30名以上の書き手がつづる、それぞれの実体験からつむぎだした発見のことばの数々は、どれもささやかだけど役に立つことばかりです。