ちいさなお店をはじめたこと。【第2話】店から出て人に会う、出会いをつくる。〈イベント出展篇〉

ちいさなお店をはじめたこと。

sasamoto_s「いつも面白そうな場所で、面白そうな人たちと展示に出てらっしゃいますが、どうやって出会うんですか? 」という問いについてお答えします。「いやあ、本当にありがたいねえ」と夫婦でよく話すのですが、私たちがステキな作家さん、ギャラリーさんたちとの出会いに恵まれていることは間違いありません。

 店から出て人に会う、出会いをつくる。【イベント出展篇】

 

 

参加できて嬉しい ステキな展示。 すべては人との出会いから

 

こんにちは。ノマディックラフト ヨメです。 今回ノマディックラフトは、東京は中央区勝ちどきで開催されている『united CRAFT nations』展に参加しました。(6/28終了。詳細は編集部のレポートにて)

感性が刺激されるカッコいい場所で、たいへんステキな作家さんたちとご一緒させていただけて、本当に嬉しい限りです。

で、第2話目となる今回は、私たちがよく質問される「いつも面白そうな場所で、面白そうな人たちと展示に出てらっしゃいますが、どうやって出会うんですか? 」という問いについてお答えします。「いやあ、本当にありがたいねえ」と夫婦でよく話すのですが、私たちがステキな作家さん、ギャラリーさんたちとの出会いに恵まれていることは間違いありません。

よき出会いがどう生まれてきたか、それがどのような形で波及していくのか、この『united CRAFT nations』展を例に、お話ししたいと思います。

 

『united CRAFT nations』展・ノマディックラフトの展示の様子。少数民族の手仕事の魅力を詰めこんでいます。

 

さてここからは、人のつながりをそのままリレー形式でお届けいたします。

 

『まめや』(新富町)女将・長谷川聡子さん

 

150629-5ノマディックラフトの活動と並行し、ライターとして働いているヨメ。中央区・新富町『まめや』の長谷川さんとは、以前『銀座本』(京阪神エルマガジン社)の取材でお会いし、その美味しいお料理と明るく気さくなお人柄が印象に残っておりました。

取材から一年も過ぎていたでしょうか。ある日、お電話をいただき「新富町の魅力を伝えるMAPを制作したいので、ライターとして参加してもらえないか」とありがたきご依頼が。新富町は銀座や築地の近くにあるのに、こぢんまりと懐かしい雰囲気が残るいい町です。その魅力を伝える作業に加われるなんて楽しそう! そんな思いで「ぜひに!」とお返事しました。

 

まめや(新富町) http://mameya502.exblog.jp/
化学調味料を使わない風味豊かなお料理と、美味しい日本酒が揃う小料理屋さん。女性ひとりでも気楽に飲みに行ける温かい雰囲気のステキなお店です。とにかくゴハンがおいしい!


『btf ANNEX/@btf』(新富町/勝どき)青木計意子さん

 

『新富町MAP』の取材先のひとつとして訪れたのが、大正時代の建物を活かしたギャラリー『btf ANNEX』でした。 オーナー青木計意子さんの「ママと子どもも気軽にアートを楽しみ、そこで何かを感じ、記憶を積み重ねていけるような場に」という思いに大変感銘を受け、おっとり優しい語り口&温かいお人柄についつい話し込み…。そのとき、少数民族のフェアトレード製品を手がけていて、少数民族のママたちを少しでもサポートできたらと思っていることを何気なく口にしました。

後日、プライベートで遊びに行ったとき「今度、展示に出てみませんか? 」とお声がけをいただいてびっくり! なんでも、あの取材のあとウェブサイトを見てくださり、現地の生産者との関わりが丁寧に書かれていたことを好意的に捉えてくださったとのこと。そうして参加することになったのが、単にものを売るだけでなく、現地の手仕事を伝えている人たちを紹介する展示『handmade works』です。

実は今回参加した『united CRAFT nations』のオーガナイザーも青木さん。出展者である『プティット・アフリケーヌ』さん、伝統手芸研究家の谷崎聖子さんというステキなお二方とも、この『handmade works』がご縁の始まりでした。

 

btf ANNEX(新富町) http://www.shopbtf.com/annex/ 
こどもだった大人に向けて、単に『かわいい』にとどまらないガーリーな作品や商品を紹介してきた一軒家ギャラリー。古い建物ゆえ、老朽化に伴い2013年のクリスマスにその歴史に幕を下ろしました。何度か展示にも参加させていただいた思い出深き場所。ここがきっかけでご縁の輪が広がってゆきました。

 

『btf ANNEX』から、また新しい出会いの輪が広がってゆきます。

 

『プティット・アフリケーヌ』馬野晶子さん

 

『handmade works』をきっかけに出会ったのが、アフリカンテキスタイルを使ったブランド『プティット・アフリケーヌ』の馬野晶子さん。かつて、ご家族の転勤に伴い、西アフリカ・セネガルに3年滞在。そこで見たアフリカのカルチャーが、想像を裏切る洗練されたものだったことに衝撃を受け「自分の目で見たアフリカの魅力をお伝えできれば」と、ブランドを始められたそうです。

カラフルで個性的だけれど、ちゃんと大人の女性に似合うシックな部分を合わせ持つアフリケーヌさんのアイテムは、従来のアフリカのイメージをくつがえすものばかり。今回の勝ちどき含め、何度も展示でご一緒させていただきましたが、接客がとてもお上手で明るい人柄の馬野さんとおしゃべりするのは、とても楽しいひと時です。個人で物づくりをしている者同士、情報交換や苦労話をシェアすることもあり、ノマディックラフトを続けていくうえで励みをいただいています。

 

プティット・アフリケーヌ http://www.petiteafricaine.com/ 
「アフリカンスローライフから生まれた手仕事」「フレンチスタイルなアフリカ雑貨」をキーワードに、私たちが抱いているアフリカのイメージから脱却した洗練された雑貨や衣類を作っていらっしゃいます。

 

 

『樂BAZAR』柳舘加代子さん

 

150629-6『btf ANNEX』では、青木さんがメキシコでアートを学ばれていた関係から、メキシコに関する展示も多数開催されていました。それを観に行って知り合ったのが、雑貨の輸入&販売を手がける『樂BAZAR』の柳舘加代子さん(写真右)です。

一児のママとして子育てに励みながら、「旅するセレクトショップ」として主にメキシコのカラフルで素朴でかわいい雑貨や、作家の作品を紹介。自身でもウールを使ったメキシコのガイコツブローチなどを制作し、神奈川県・横浜を拠点に各所イベントでの販売を手がけていらっしゃいました。

人と人とをつなぐのがとてもお上手で、雑貨以外に音楽イベントの企画・運営なども実施。その飾らないお人柄にすっかり意気投合したところ、「下北沢で展示イベントをやるので出てみませんか? 」とお声がけをいただきました。その出展を皮切りに、2014年に柳舘さんが主催した横浜での展示『手しごとバザール』出展へとご縁はつながっていったのです。

 

樂BAZAR http://www.gakubazar.jp/ 
コンセプトは「旅するセレクトショップ」。世界各国にあるステキな手仕事に愛を込め、作り手に近い立場から、ブランドや職人、作家が生み出した手仕事を販売していらっしゃいます。

 

東京を飛び出して一路、横浜へ。ここでも新しい出会いをいただきました。

 

『artmania cafe gallery yokohama』富田俊恵さん

 

150629-3『手しごとバザール』の舞台になったのは、野毛の動物園通り沿いにある一軒家ギャラリー『artmania cafe gallery yokohama』です。オーナーの富田俊恵さんは、自身もアーティストとして創作活動をしながら、こちらのギャラリーを運営し、展示やワークショップを開催。同時に若手アーティストの育成にも力を注いでいる方です。

頼りになる雰囲気漂うカッコいいお姉さんなのですが、その実すごく優しくて、ノマディックラフトは夫婦ともどもすっかり富田さんファンに!

決して人通りが多い場所ではありませんが、わざわざやってくるお客様も多く「なにか面白いことをやっている場所」というイメージが地元に浸透しているんだなと感じ、富田さんの活動が持つパワーを垣間見させてもらいました。

 

artmania cafe gallery yokohama  http://www.cafegallery.artmania.jp/ 
現代美術のみならず、イラストレーション、ファッション、映像など様々なアートを展示&紹介。イベントやワークショップも開催できる文化発信の場でもあるカフェギャラリーです。

 

 

 

『a Taste of India』石竹由佳さん

 

150629-4この『手しごとバザール』で、同じ出展者として出会ったのが、インドのジュエリーやテキスタイルを手がける『a Taste of India』の石竹由佳さんです。

これまた大変面白いご経歴の持ち主で、ヨーロッパのラグジュアリーなジュエリーブランドに長年勤務された後、自らもジュエリーを学ぶため留学。帰国後、仕事をしながら趣味である旅を続けていた際、たまたま旅先として訪れたインドの伝統的なハンドクラフトに魅せられ、「この素晴らしさをもっと伝えたい」と自ら輸入するまでになった、とのこと。

職人のもとに通い詰め、関係性を深めながら作り上げていったオリジナルの品々は、インドの手仕事が持つ素朴で温もりある側面と、繊細でエレガントな側面、両方をバランス良く取り入れてあり、わなわなするほどステキ。昨年末には初のご著書『インド ラージャスターンのカラフルな街』(産業編集センター)も発売され、惜しみなくインドの魅力を伝えていらっしゃいます。

世界40カ国以上を旅したという一流の旅人でもある石竹さん。どんな場面でもスッと溶けこむ肩の力が抜けた雰囲気は「こういう人を本当のコスモポリタンと言うんだろうな」と憧れてしまいます。

 

a Taste of India https://www.facebook.com/a.taste.of.indiaaa
インド各地の工房に足を運び、作り手と一緒に生み出したテキスタイルや雑貨、ジュエリーを輸入し、販売するブランド。

 

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『まめや』さんからいただいたお仕事が、ノマディックラフトの出会いをこんなに広げてくれるとは。あのときは全く予想もしていませんでした。長谷川さんに感謝です!

ヨメがこの経験から学んだことは「面白そう! 」と思ったことには素直に飛び込む。そして「この人ステキ! 」とアンテナにビビッときたら、お話するきっかけを作る。そして心から相手を知りたいと思う。そうしていくうち、ご縁がご縁を呼び、温かい人の輪が広がっていったような気がします。

さて、ご登場いただいた皆さん以外にも、まだまだステキなご縁はたくさん! テーマである「自分らしい働き方」をしている人がたくさんいらっしゃいますので、機会をみてご紹介したいと思っています。

次回は、仕事を複数持つ兼業夫婦ならではの「自由のメリット・デメリット」についてお伝えしますね。

 

(次回もお楽しみに。隔週土曜更新です)
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連載バックナンバー

第1話 家=店。人が思うよりもずっとちいさな投資でお店をはじめてみた(2015.6.13)

 

【関連サイト】
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ノマディックラフト ヨメ

ノマディックラフト ヨメ

自然・旅・民族をテーマに、タイ、ベトナム、ラオスの山岳地帯に住む少数民族の手仕事を扱う、西小山のアトリエショップ『nomadicraft』を店主であるダンナとともに運営。母から子へ、脈々と受け継がれてきた素朴で美しい手仕事を紹介しながら、作り手である女性たちに仕事の機会を提供し、貧困の和を断ち切るための支援も行っている。ふだんはフリーランスのライター・木内アキとして「女性にまつわる人・旅・暮らし」をキーワードに、雑誌や書籍を中心に執筆活動中。目標は「キチンとした自由人」。 ノマディックラフト 店主ブログ http://blog.shop.nomadicraft.com/ 木内アキ ウェブサイト http://take-root.jp/