【第270話】ぼくのポートレート写真の撮りかた / 深井次郎エッセイ

深井次郎
どの人間もそれぞれの人生ドラマの主人公で、そのワンシーンを切り取って記録してあげる感覚です。そのドラマの番宣ポスターに使えるくらいの、心を動かす1枚が撮れたら最高だと思っています。光は、すべての存在を、わけへだてなく祝福する
 撮り始めたきっかけは、仕事で必要に迫られて
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「頼める人いないし、自分で写真撮るしかないか」

写真を始めて、かれこれ9年くらいになります。初めてカメラを買ったのは、自由大学を立ち上げる時。ちょうど29歳から30歳になるあたりの頃です。受講生を募集するウェブサイトには、教授たちのプロフィールや講義風景の写真があったほうがいい。プロに頼む予算もなかったものですから、DIYで自分でやろうということにしたのです。

それまでも、写真は身近ではありました。20代、本を書いたりブログで発信する仕事をしていたので、写真のスキルは必要ではあったのですが、ぼくの社内のメンバーが一眼レフで撮れたので、うまく分業できていた。ぼく自身は勉強せずに済んでいたというか、避けていたのです。メモリに数字がたくさん並んでいて、理系っぽい機械モノには苦手意識がありました。

最初に買ったカメラは、初心者向け。7万円の小さなミラーレス一眼でした。オートで適当に押せば思ったよりもいい感じの写真が撮れたので、よしよしと思っていましたが、より質を求めて、すぐに黒くて大きな一眼レフを買いました。

 

※トップ写真は、マッシモ・ヴィターリ写真展を観覧中のひとコマ。

 

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撮るのが面白くなっていったのは、人の成長を感じられた時

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もともと必要に迫られて始めた写真ですが、撮るのが面白くなったのは、大学でクラスを持ってからです。法政大学でキャリアとクリエイティブのクラスを持って教え始めたのですが、学生たちの活動記録を残すことと、「こんな新しい取り組みをしてますよ」と学外への発信も求められてたので、撮り始めました。

希望に満ちて入学してきた1年生の18歳から、22歳までの4年間。担当クラスの学生を撮り続けようと決めたのですが、本当の意味で自分の意志でカメラを持ったのはこの時だと思います。

自分自身の大学生時代を振り返ると、ほとんど写真に残してないんですね。あと、サラリーマン時代も皆無。幼少の写真も、ぼくは次男なので、写真の枚数は兄よりもずいぶん少ないんです。「家族写真あるある」だと思いますけど、親としては2人目以降の子の写真は減りますよね。もう慣れちゃって。三男の知人はもっとひどくて、「一番小さい頃の写真は7歳。2枚目は12歳に飛ぶ」みたいに、笑ってしまうくらい親に飽きられている。生まれた直後くらいは感動して撮るでしょう、と思うのだけど。

写真って、5年後10年後、あとになればなるほど見返して面白いものですよね。だから青春を記録してなかったことに後悔がありました。ということもあり、ぼくが大学で人生で初めて受け持つ生徒たちの青春は、できるだけ記録してあげたいと思った。笑ったり、泣いたり、馬鹿やったり、吐きそうなほど悩んだり、この瞬間は二度と戻らないから。ちょっとした親心です。

彼ら、たった1年でも、顔つきが成長していくんですね。それが面白くて。10年なんて待たなくても、1年ですでに懐かしいんです。「これ去年の合宿の写真だよ、若いねー」なんて言いながらみんなで盛り上がる。人間は変わる。だから面白いと思いました。風景だって、空だって同じ雲は一つもないけど、ぼくにとって一番違いがわかるのは人物でした。だから人物の写真を撮るのが好きなんですね。

どの人間もそれぞれの人生ドラマの主人公で、そのワンシーンを切り取って記録してあげる感覚です。そのドラマの番宣ポスターに使えるくらいの、心を動かす1枚が撮れたら最高だと思っています。

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 ぼくの写真の学びかた

1. まず撮りたい作風を決めよう 

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いろんな雑誌などを見て、「こんな作風の写真が撮りたいな」とグッとくるものを集めました。この時にキャノンの初心向けカメラ講座に通って、最低限これだけできればOKという知識を教わりました。自己流だとやはり不安が払拭できないので、初心者向け講座に行っておくのは正解だったと思います。自分の撮りたい作風が決まっていたので、その写真集を先生に見せて、「これの撮り方を教えてください」と、教わりました。

2. プロに聞いて、機材を決める

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次に、詳しい人や講座で「こんな写真を撮りたい」と見本を見てもらい一番適した機材は何かを聞きます。漠然と「カメラの使い方を教えてください」と聞くよりも、目的がはっきりしている方が、教える方も教えやすい。

「どのカメラとレンズを買ったらいいですか?」と迷う人も多いけど、これも本人の撮る目的がはっきりしてないと、アドバイスに困ります。野生の鳥を撮りたい人と、道端のコケを撮りたい人、夜景を撮りたい人では、買うべき機材が違います。

プロに見本を見てもらえば、その写真がどんなカメラとレンズと設定で撮られているか、だいたい教えてくれます。聞く人がいなければ、写真の撮り方の本を買いましょう。「この写真はこの機材で撮りました」と載っているので、参考になります。

 

3. 同じ機材で撮ってるのに、どうして同じにならないの

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同じ機材を買い、同じ設定で撮れば、これだけでかなり理想に近づいた写真が撮れるようになります。でも、何かが違う。ここからようやく勉強のスタートラインに立ったところです。

光の扱い方だったり、構図だったり、背景だったり。いい写真と自分の写真は何が違うのか。写真の基礎知識の本を読めば、構図の基本は学べます。日の丸構図は素人がやりがちだ、とか。 写真 Photograph とは、日本語では「真実を写す」と訳しましたけど、本当の意味は「光で描く」なんです。写真においては、良い光を読むことが何よりも大切。

 

4. プロの撮影現場に立ち会えたら最高

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良い光がどういうものかは、本ではわかりにくいので、上手な人の現場に立ち会うと成長は早まります。

ハービー・山口さんぼくはご縁があり、ハービー・山口さん(日本写真協会賞作家賞のすごい写真家)にプロフィール写真を撮っていただける機会があり、その後もおつきあいさせてもらっています。大御所の先生になると、アシスタントが全部準備してシャッターを押すだけという人もいるようだけど、ハービーさんは違いました。

代々木公園で撮影したのですが、足を使ってよく動かれる。グッと寄ったり、引いたり、下からあおったり、地べたにゴロンと寝転がり低い体勢からスナイパーのように狙ったりしていました。服が汚れちゃうとか、そんなことよりも「いい写真を撮りたい」がすべてに優先するのです。最初に見たプロがハービーさんだったから、「動かないで楽して撮ろう」なんて、写真に対して横着な姿勢にならずに済んだと思います。

ゴールデンアワーと呼ばれる夕方が、いい光になりやすいのですが、太陽も刻々と沈みます。30分もすると暗くなってしまうので、モタモタしていられません。場所を変えるために走ったり、時間制限のあるスポーツみたいです。

あと、現場でしか学べないのは、被写体のモデルとどうコミュニケーションをとるのかです。撮られ慣れていないぼくら素人は、硬くなって直立不動になってしまうので、それをどう自然に動いてもらうかが大事です。

プロでも、人によって撮り方が違います。法政大学のぼくのクラスのゲスト教授としてお呼びした小林幹幸さん(数々の広告賞を獲っていてポートレートがすごい)からは、準備の大切さを教わりました。事前に絵コンテを描いて準備しておくなど、そこまで考えるのかと驚きました。偶然に任せるのではなく、つくり込んで撮るやり方もあると。タクマクニヒロさん(空の写真集がベストセラーになっている)からは、写真でどう食べていくのか、その裏側を学びました。

 

5. 本から学ぶ

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「ポートレートの撮り方」とタイトルにつく本は何冊も読みました。教本には、細かい設定、撮影データの数字も公開してくれてますので、その通りやってみるんです。教本に出てくる先生のウェブサイトや写真集もチェック。「なるほど、この機材でこれが撮れるのか」など学びが深くなります。

人気芸能人の写真集も買うと勉強になります。いま一番旬のタレントには、実力のあるカメラマンが選ばれます。なので、参考になるのです。 例えば、新垣結衣の写真集を持っていると「深井さんガッキーが好きなんですね」と言われたりするんだけど、これも勉強のためです。若木信吾さんが本気で仕事として撮ったカットはどんなものなのか、研究するのです。

他にも、蒼井優、宮崎あおい、上戸彩、石原さとみの写真集など。買うのはちょっと恥ずかしいのですが、そうやって実力のある写真家を探していきます。この作業をしていくと、今この時代の写真の気分、共通認識がわかります。多くの人たちが「良い写真」と考えている王道をまず知り、自分の中に基準をつくることができます。基準を知った上で、個性を出したい人は外していく。基準を経由してから、自分の好みの作風の写真家を見つけていきます。

 

 

6. 人物写真の練習は協力者が必要

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花の撮影なら一人で黙々と練習できますが、ポートレート撮影となるとそうはいきません。協力してくれる被写体が必要になる。だから、学生たちを撮り放題の日々は、ちょうどよい練習でもあったのです。教室だけなくイベントや合宿など外にもずいぶん行ったので、屋外屋内、朝から夜までいろんな環境に対応しなくてはいけない、そこでずいぶん経験値を稼ぐことができました。

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7. 逆の立場、モデルも経験すると撮るスキルが上がる

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あと、自分が被写体になってみると、いい練習になります。モデルの不安な気持ちがわかる。「笑顔ください」「硬いので自然に」とか指示されても、慣れてない人は難しいですよね。

撮られ方も、できればプロから教わると良くて、ぼくの先生はジャンフランコ・シモーネさん。広告や雑誌の表紙を飾るイタリアオヤジの人気モデルです。一番大事なのは「いかに力を抜くかだよ、リラックス」。意識して自然をつくるのですが、意識したら自然ではなくなるし、これが難しいのです。

ぼくのクラスでも先生してもらった!

ぼくのクラスでも先生してもらった! 2012年@法政大学

実は、「モデルって生まれつき外見に恵まれただけの人たちでしょ」と密かに思ってました。ごめんなさい。「だって、立ってるだけじゃん、外見よければ誰でもできるでしょ」ではありませんでした。

「ただ立つだけ」に、こんなにスキルが必要なものなのかと。「普通に立って」と言われても、たいていの人はいつも自分がどう立ってるか意識してないので「普通」がわからないのです。

頭ではわかったつもりですが、体で覚えるにはまだまだ場数が必要です。「よく撮られたい」という力み、邪念をいかに捨てられるかでしょうね。 慣れてないぼくらは撮られる時、照れちゃうんですね。小さな頃から親にたくさん撮られて育った人は、特に女性に多いですが、写真慣れしてて素人なのにプロ級な人はいます。

大きなカメラを向けられると、特に距離が近かったりすると、レンズを通して見つめあってる気がして照れます。または、大きなズームレンズなんかで狙われると、顕微鏡で細胞まで観察されてるようでムズムズしてしまうのですが、それは妄想です。

撮る方は、設定とか構図、光の状態とか頭の中で計算しているし、表情の変化を見逃さないように集中してます。人として見てるというよりは「全体の絵」として見てる。眼科で眼の中見られても、照れないでしょう。医者は、どこか悪いところがないか仕事に集中してますので。カメラマンもいい絵を撮るために仕事に集中してるんです。

撮る方も、撮られる方も、両方を多く経験していくことで、写真は上達すると思います。

 

実践編。いい写真を撮る5つのコツ

① ロケハンしてイメージを固めておく

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このひと手間で、当日の気持ちに余裕ができます。当日行き当たりばったりで、「どこ背景で撮る?」だと、ぐるぐる歩いて疲労してしまう。モデルのテンションが落ちてしまうし、日も暮れてくるしというプレッシャーで胃が痛くなります。

とはいえ、遠方や相手の事務所でのインタビュー取材だったりすると、下見ができないのが現実ではありますが。でも、ロケハンが可能ならできるだけして、同じ時間帯で、この背景がいいかな、という目星をつけておく。そのいくつかの中から、当日モデルに「どこ背景がいいですか?」と話し合って決めるとベストかなと思います。モデルも、自分の直感で「ここ」と決めた場所のほうが能動的になるので。モデルが受け身では、いい共同作業になりません。

 

② モデルを下調べ

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事前準備として、そのモデルのブログなどで顔写真をチェックしておきます。どの角度がいいのか、事前にわかれば当日楽ですし、どんな色が似合う顔かで背景の色を考えたりします。 当日は、絵コンテまでは描くことは少ないですが、「こんな写真を撮ろう」とイメージに近い写真をモデルに見せて、打ち合わせします。

 

③ 当日は、まず光を探す

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目標のイメージが共有できたら、実際の撮影に入ります。 写真で一番大事な要素は、光です。光の良し悪しで、同じものを撮っても雲泥の差が出ます。良い光を探し、次に背景を決める。邪魔なモノがないか。

「光よし、背景よし、構図よし」で決まったら、最後にモデルについて考えます。どういう立ち方なのか、手の位置、顔の角度、表情。顔の角度で印象がずいぶん変わるので、話しながら、360度ぐるっと撮ってみてどの角度が一番映えるか、考えます。口が開いた方がいいのか、閉じた方がいいのか、歯が見えた方がいいのか、など細かく見る場合もあります。

こういう作業を、なるべくモデルと一緒にモニターを見ながら話します。「この立ち方だと、猫背に見えるよね」「ああ、本当だ」とか。大事なのはこのコミュニケーションなんです。一緒に作品を創り上げていくと、いいものができることが多いです。

ぼくがやってしまいがちな失敗は、撮る時に無言になってしまうこと。だれでも集中すると無言になるものですが、シャッターを切った後に、モニターを睨んで首をかしげていると、モデルは不安になってしまいます。

(あれ、なんか困ってるけど。自分が悪いのかなぁ)

実はぜんぜんそんなことはなくて、カメラマンとしては

(どうも設定がしっくりこない。光が良くないなぁ…)

とか、モデルと関係ないところで悩んでいるのです。

余計な心配を与えないように、今、何を考えているのか、何をチェックしているのかを実況中継して口に出すようにしています。

「ちょっとテストして設定を選んでるからね」

とか細かに状況を知らせながら、進めていくのがいいですね。 車の運転も、最初は緊張して無言でしたが、慣れるとしゃべる余裕が出てきたものです。なんでも慣れですね。

 

④ モデルの表情は追い込む 

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光、背景、構図が決まり、最後のモデルのポーズや表情の調整の段階になったら、頻繁にモニターを見せて、ディスカッションして決めていく。

「今の感じだとこう、どう思う?」
「なんか暗い子みたいだね、あはは」

モデルとしても、自分がどう映ってるのかモニタリングできれば軌道修正が楽です。

初級者はシャッター数を多くした方がいい。これだ!という一枚が撮れるまで粘りたいところです。動かしたり、笑ったり、ちょっと話したり。どうしても集中すると無言になってしまうカメラマンは、その場にアシスタントしてくれる人がいれば、代わりにモデルに声をかけてもらうと楽です。

1人のプロフィール写真で4-500枚くらい撮るのですが、だいたい最後の方の1枚が採用されるケースが多いですね。意外に最初の1枚も2,3番目くらいに良い傾向にあるのが面白いところです。

追い込むごとにどんどん修正して良くなっていくから、時間が許すまで追い込みたい。昔読んだ精神科医の河合隼雄さんの本に、「カウンセリングとは、ひたすら待つこと」とありましたが、撮影も同じ。その人の奥にあるものを引き出すには、どうしても時間が必要です。

とは言っても、空気を読みながら。モデルが疲れてしまったり、日が落ちてしまった時はしかたなく終了です。

 

⑤ 初心者ほど、矢ではなく、網で

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写真には、大きく分けて「決定的瞬間」と「ニューカラー」の2種類あるとよく言われます。

「決定的瞬間」:文字通り、決定的な一瞬をとらえること
「ニューカラー」:なんの変哲も無いものを記録する

ぼくは日常のおける決定的瞬間が好き。奇跡の一枚を撮りたいといつも思っています。ポートレートでもエネルギーがわっと高まる瞬間がある。表情ピンポイントで見るというよりは、周辺視野です。場の熱量が上がった時を捉えるというか。それも一瞬を切りとるようにシャッターを切るのではなく、周辺の空気をなぞるように受け取るほうが初心者には確率が高いです。だから連写機能は欲しい。一本の矢で突き刺すイメージではなく、手投網でふわっと捉える。するとその網に、光る魚が1匹かかってることがあるのです。

「いい写真が撮りたい!」と集中すると、急に光が差してドラマチックになったり、風で髪がなびいたり。その一瞬だけミラクルが起きることもあります。そういう宇宙の力、サムシンググレートの存在も味方にできた時、奇跡の一枚が生まれます。なかなか奇跡は撮らせてもらえないけど、撮れた時は関係者みんなで盛り上がります。

 

写真はお金のかからない 大人のプレゼント

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「今日撮影してもらったデータをいただけますか?」

インタビュー取材時に頼まれることがよくあります。状況によっては無理なこともあるのですが、良い写真をセレクトして、プレゼントすると喜ばれます。本人のSNSのアイコンに使われたりしているのを見ると、ああ気に入ってくれたんだなと嬉しくなりますね。特に、取材に対して十分な謝礼が払えず善意で協力してもらった時には、せめて何かできることで喜んでほしい。素敵な写真を撮ってあげられることは、お金のからないプレゼントになります。

それまで「文章書けます」と言っても、そのスキルで身近な友人に何かしてあげられる機会はなかなかありませんでした。その点、ポートレート写真なら、相手にわかりやすく喜んでもらえるのがいいですね。

特にフリーランスやパラレルキャリアなど個人で活動する人が増えてきて、SNSやブログ用にプロフィール写真が必要になってきています。この分野は需要が伸びてきているので、あなたも本気を出せば「アイコン写真家」として食べていけるかもしれません。

子育て中の友人には、パパママ子ども揃っての家族写真を可愛く撮ってあげると喜んでくれます。どうしても普段はパパかママかどちらかが撮影係になってしまうから、全員で写ってる写真って貴重なんですよね。

上澤 オーディナリー
最近は、オーディナリー編集部の上澤さんのプロフィール写真を撮りました。13年勤めた某大学学長秘書を辞め、フリーランス初日に。おめでとう。

 

 思い出があれば生きていける

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断捨離をしていて、一番最後まで捨てられないのは「思い出のもの」。多くはアルバムの写真です。

1.洋服
2.本
3.書類
4.小物
5.思い出の品

この順番で、下にいくほど捨てにくいそうです。(ぼく個人的には、本は4番目ですね)

人生において思い出が一番大切、ということの裏返しかもしれません。 いつかこの世から去る時に、いくらモノをたくさん所有していても、持ち越せません。しかし、人生で体験した魂の深い部分に刻まれた意識の変容は、次の人生にも持っていける。気づきとか、徳とか、魂が成長した部分だけは積み上がるのです。

みんなそれぞれが自分の人生という映画を生きていて、そのワンシーンをぼくが記録することができる。それが写真の魅力です。忘れてしまうと、「自分の人生何もなかったな」と思ってしまうけれど、いやいやそんなことはないぞと。写真に残っていると、ああいろいろあったな、なかなか楽しかったなと、今回の人生を肯定できるのではないかなと思うのです。

「光は、すべての存在を、わけへだてなく祝福する」

お気に入りのレンズで、ファインダーをのぞく時にはいつも、こんなおまじないをかけています。

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マグナムフォト home

マグナムのメンバーの写真展「HOME」よかったよー。行くべき。代官山7/30まで。
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「好きなことで生きていくために」
  ヒントになりそうな他の深井次郎エッセイもありますので、一緒にどうぞ。
   

【第262話】お金への抵抗。なぜ好きなことでお金をもらうのは気がひけるのか 
【第261話】失うものを背負った大人の起業法「3つの経験値」 
【第260話】やりたいことが1つに絞れないあなたへ 
【第259話】「君には飽きた」と言われた僕は、波の数だけ抱きしめた 
【第257話】ヤンキーと優等生、20年後どちらが幸せになっているか
【第254話】飛んでから根を張る 
【第251話】持つ者、持たざる者 
【第247話】異なる楽器で同じ曲を奏でる 
【第233話】未知なる感覚を求めて – 日本一のバンジーを飛んでみた話 
【第214話】激変の時代にも残る仕事のキーワードは「あなたにもできる」 
【第213話】世界を変えた新人たちはどこが違ったのか?  
【第202話】自分がやらなきゃ誰がやる。使命感をどのように持つのか  

ピッタリだ! お便り、感想、ご相談お待ちしています。 「好きを活かした自分らしい働き方」 「クリエイティブと身の丈に合った起業」 「表現で社会貢献」 …などのテーマが、深井次郎が得意とする分野です。全員に返信はできないかもしれませんが、エッセイを通してメッセージを贈ることができます。こちらのフォームからお待ちしています。(オーディナリー編集部)

 

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(約7700字)

 


深井次郎

深井次郎

ORDINARY 発行人 / エッセイスト 1979年生。3年間の会社員生活を経て2005年独立。「自由の探求」がテーマのエッセイ本『ハッピーリセット』(大和書房)など著作は4冊、累計10万部。2009年自由大学創立に教授、ディレクターとして参画。法政大学dクラス創立者。文科省、観光庁の新規事業に携わる。2013年ORDINARY(オーディナリー)スタート。講義「自分の本をつくる方法」定期的に開講しています。