【インド旅篇 その1】
インドのガンジス川のほとりにある聖地バラナシ。着いた初日は釈迦がはじめて説法をした地サルナートなどを見てまわった。Reset、Rethink、Reborn、Recycle。再生、Reに興味があって、特に人間が変わる瞬間、「人生の転機」。この研究がぼくの大学時代からの課題なので釈迦の原点はみておきたいと思った。
此処は、旅人の求めているものが与えられる場所だと聞いた。「この国の人はぼくらを騙すだろう」そう信じるならば、その人はきっと騙されるし、笑顔をもとめれば、その人にはきっと笑顔が与えられる。「インド人は悪い人ばかり」と言う旅人がいる。「良い人ばかり」という旅人もいる。実際どちらが本当なのか。きっとどちらも本当で、その人の観念が現実を決めているのかもしれない。
どうしてぼくは、何を求めてインドに来たのか。少なくとも癒しを求めるリゾートではない。旅のテーマは、「生きる」。考えるというよりも、体で、肌で、匂いで、音で、感情で、生きるエネルギーを感じてみたい。人は決してか弱い存在ではないし、もっともっと自由だ。それを確認したいと思った。3.11以降いろいろ活動し考えてきたことをまとめたいなと思ったし、この2013年は、自分にとって節目になる時期だという予感がしているのです。何年も続けていた、いくつかのレギュラー仕事を卒業し、あたらしい出版社プロジェクトORDINARYを立ち上げをはじめたタイミング。日頃あたりまえに思ってしまっている固定観念を、少しでもやわらかくできないか。インドで人生観変わるかも、なんてことは期待していないのだけど。今までの延長だけではないものをつくるためのインスピレーションの欠片が拾えるといいな。人間の、動物としての、生き物としての原点のようなエネルギーがあふれるという、ここバラナシにしばらく身を置くことにした。
人間をやわらかくする方法は3つある。つきあう人を変えてみること。住む場所を変えてみること。読む本を変えてみること。日本を離れている20日間、この3つのすべてをやってみることになる。はたして、求めているものが手に入るのだろうか。
今回の目的の1つ。「この人に会いたい」と探しまわり、会うことが叶ったサドュー(Sadhu、聖者、Holy Men)。彼から直接、祈りの方法を指導してもらうことができた。
「ジローの願いごとはなんでも叶う。きっと求めているものが手に入るだろう」
「Really? そうかな」
彼はぼくの目の奥を見つめてほほえんだ。
「信用するか、信用しないか。Depend on you.最後はあなた自身の心が決めるのですよ」