飛んでみなけりゃはじまらない! 【第4話】 海を眺めてついつい「幸せ」について考えてしまう話

飛んでみなけりゃはじまらない!

最近考えていたのが「人の幸せを決めるのは『居・職・自由』かもね」ということ。もし、今の生活に悶々としてらっしゃる方がいたら、試しに今の生活の『居・職・自由』のどこに不満があるのかを考えてみたらいいかもしれません。

連載「飛んでみなけりゃはじまらない!」とは  【3週間に1本更新】

島の教育から日本を明るくするための、初めての離島暮らし奮闘記。大野佳祐さんは、早稲田大学職員の仕事を辞めました。35歳。その安定、恵まれた給料、社会的信用を手放してまで、何かやりたいことがあったのでしょうか。「いえ、具体的に次の道が決まっていたわけではありません」大野さんは笑います。仕事も楽しかったし、周囲からも期待されていてやりがいもあったそう。それでも新しい自分の道を進む選択をしたところ、導かれた先は、なんと離島。「離島の学校から日本の教育の未来を一緒に創らないか」海士町のキーマンの方々から声をかけられ、一緒に頑張ることになったのです。この連載では、東京生まれ東京育ちの大野さんの、海士町での新しい暮らしについて、いろいろ教えてもらおうと思います。島で起きていることは私たちにとっても他人事ではありません。この先、私たちが楽しく生きていくヒントが島にこそありそうな気がしてならないのです。

 

第4話 海を眺めてついつい「幸せ」について考えてしまう話 ー 社会的価値変容していることに改めて気づくー 

 

TEXT & PHOTO 大野佳祐

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ラブレタ〜 フロム 海士町〜!

こんにちは。ご無沙汰しております。すっかり春ですよ。「すっかり春です」と言っている間にもはやすぐそこに梅雨が…! その次に来る夏が本当に待ち遠しい! くー! 海ー!

 

 

早いもので、移住して半年が経ちました
人の幸せを決めるのは『自由』かも

 

 

さてさて、今回は『幸せ』のお話。ちょっと宗教的ですがご安心ください(笑)。

海士町に移住して半年が経とうとしているわけですが(光陰矢の如し! )、いろいろな場面で何度となく『幸せってなんだろ』ということを考えています。例えば、昨日は満天の星空で岸辺から釣糸を垂らし、魚がかかるのを待っているとき、そんなことを思いました。(考えすぎてあまり釣れず… 涙 )そういうことを考えられる時間があるってすごくありがたいことですね。

この景色を眺めながら釣り。足元にはサザエとウニがごろごろ

この景色を眺めながら釣り。足元にはサザエとウニがごろごろ

 

ちょっと前まで(というか今でもそうかな)、生活の基盤 −ある意味では幸せの前段階− として『衣・食・住』が使われておりました。もちろん、今でも普遍的に「これらがないと生活できない」ものではあると思います。一方で、「それだけで我々は満ち足りて幸せになれるのか」と問われると、昨今そうでもないかもしれない。時代も社会も変化してるし。

で、最近考えていたのが「人の幸せを決めるのは『居・職・自由』かもね」ということ。最低限の『衣・食・住』と、質の高い『居・職・自由』が組み合わさると、人の幸福度は比較的高まるのではないか、ということです。

 

「居」は、居場所があること。

職場、家庭、そしてもうひとつ社会の中に『居場所があるか』ということ。サードプレイスみたいに言うと格好いいですが、個人的にはもう少し深い「その社会(community)にきちんと存在があるか」に近いかもしれません。リアルに充実してなくてもいいけど(笑)、近所を歩いていると挨拶をする人々が居る、なんてのもここに含まれるかもしれません。

 

「職」は、仕事があること。

それもただ単純にお金を稼ぐための仕事ではなく(稼ぐことももちろん大事だけど)、きちんと意思を持って『はたらきかける仕事』ができる環境にあるか、みたいなこと。これは上に書いた「居」と重なるところもあって、神社の境内の掃除なんてのもここに含まれるかもしれません。『役割があること』と考えるとすっきりしますかね。

 

そして、『自由』であること。

そのまんまですが、自由の定義は難しいですよね。「自らに由る」わけだから、僕が皆さんの自由を決めてしまう訳にはいきません。僕にとっての自由は『特定の考えに縛られず、すぐに行動できること』が多くを占めているように思います。だから会社員時代に苦しいことがたくさんあったんだろうなー。(遠い涙目)

 

この3つ、どれからはじめるとかどれに比重があるとか、そういうのは人それぞれかもしれないけれど、とにかくこういったことを感じる・考える機会が増えてきました。それは都会にいるときも、そして都会的な生活を離れてなお顕著になり、個人的には少しおおげさかもしれませんが『社会的価値の変様』を目の当たりにしている気持ちです。

 

ついつい海を見るとこういうところを歩きたくなる

ついつい海を見るとこういうところを歩きたくなる

 

 

 

余白がある分、田舎に可能性を感じる
だけど、都会にいても田舎にいても、そんなに変わらない

 

 

田舎にいる僕がこう書くと、田舎は『居・職・自由』がものすごく満ち足りていて、都会にはまったく欠落している。やっぱり田舎暮らしだよねっ! みたいに勘違いしていただける人がたまにいらっしゃるのですが、言いたいことはそういうことではなくて。むしろ、この『居・職・自由』の考え方って、田舎とか都会とかほとんど関係ない。だから面白いなぁと思ってます。

「どちらにその可能性がより多くあるか? 」と問われれば、僕は現時点では「田舎」と答えます。都会より余白がたくさんあるように思えるから。余白って楽しみの源泉ですし。

でも、この手の話って、いつものよくある『会社員 vs フリーランス』みたいな二項対立みたいであまり好きになれません。結局はどっちもどっちです。都会にいても田舎にいてもそんなに言うほど変わりません。どっちにいても楽しい人は楽しいし、楽しくない人は楽しくない。

それでも、もし、今の生活に悶々としてらっしゃる方がいたら、試しに今の生活の『居・職・自由』のどこに不満があるのかを考えてみたらいいかもしれません。そこがボトルネックだった! と目から鱗が落ちた方はこっそりと教えてくださいね。まぁ、個人的には、多少の不満くらいないと人間らしくなくなるから気にしなくてもいいけどね。

ちなみに、僕はというと、やはり田舎でも変わらず毎日元気で幸せです。これって本当にありがたいことですよね。こちらに移住してからますますそういう風に感じることが増えました。周囲の人々に感謝です。ふと目をやれば海や山が見えるこの景色にも感謝。いつもありがとうございます!

では、また。
春夏をおもいっきり楽しんでいきましょー!

 

何気ない1枚。こういう景色に目がいくことに幸せを感じる

何気ない1枚。こういう景色に目がいくことに幸せを感じる

 

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(次回もお楽しみに。3週間後に更新予定です)
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大野佳祐さんに質問してみたい方は 編集部まで 

 

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連載バックナンバー

第1話 大きなものを手放すと、大きなものが手に入る(2015.1.13)
第2話 移動距離と心境の変化は比例するか(2015.2.16)
第3話 生活費の変化について(2015.3.23)


 


大野佳祐

大野佳祐

おおのけいすけ。1979年東京生まれ。転機は19歳のバングラデシュ。その後の1年間アジア旅を原点に、教育・共育の“場づくり”を志す。『はじめればはじまる』をモットーに、2010年start to [ ] を旗揚げし、バングラデシュに140人が学ぶ小学校を建設・運営。2014年7月に新卒以来勤めてきた早稲田大学職員を辞めて独立。直後に島根県隠岐郡海士町に移住し、教育を中心に据えたまちづくりに勇往邁進中。『自分が変われば世界は変わる』に大賛成!