【レポート】1本のスプーンができるまで – 柳宗理の手で考えるデザイン –

シンプルで丈夫で、美しくて、一生使いたくなる道具。オーディナリー編集部もメディアづくりをする身として、優れたモノづくりの工程を学ぶことが何かヒントになるのでは。そういう思いで、新潟へ向かいました。
大人の社会科見学 ぶらり旅シリーズ 第3弾
1本のスプーンができるまで
– 柳宗理の手で考えるデザイン – 

 

今回、オーディナリー編集部は、新潟県の燕三条に行ってきました。目的は、柳宗理デザインの食器がつくられる現場を見学するためです。メンバーは、編集部(深井次郎、ふじたゆき)と、中村真美さん、あおきようこさん。

シンプルで丈夫で、美しくて、一生使いたくなる道具。これは理想です。余計な装飾でごまかすのではなく、機能美。すべてに意味があるデザインが良いものです。わたしたちオーディナリー編集部もメディアづくりをする身として、優れたモノづくりの工程を学ぶことが何かヒントになるのでは。そういう思いで、新潟へ向かいました。

(左) (右)wonderwonderword

(左)柳宗理デザインのスプーン (右)代表作の「バタフライ・スツール」

PHOTO: wonderwonderword

柳 宗理(やなぎ そうり)
1915年、東京生まれ。東京都美術学校(現・東京芸術大学)油絵科、坂倉準三事務所を経て、1952年柳デザイン研究会を設立。東京オリンピックでは聖火リレーのトーチ・ホルダーや競技場の座席をデザインする。家具やテーブルウエアから自動車、橋まで、そのデザインは多岐にわたり、戦後日本のインダストリアルデザインの確立と発展における最大の功労者と言われる。ユニークな形態と意外な実用性を兼ね備えた作品が多く知られた。実父は柳宗悦、祖父は柳楢悦。

.
車を4時間ほど走らせ、到着したのは、日本洋食器株式会社さん。ここでスプーンやナイフ、やかんなどがつくられています。


ここが工場です。歴史を感じます。


さっそく中へ。機械の音が大きくて、大きめに話さないと聞き取れません。プレスしたてのスプーンを触らせてもらいました。まだ温かい。できたてほやほやです。


工場なので、機械がやってくれるのですが、人間が一本一本を手でプレスしています。


まだ、すすがついているスプーン。


すべてをきれいに人の手で磨きます。


磨くと言ってもさまざまで、つやあり、つや消し、などあります。


1本のスプーンができるまでに、工程がたくさんあり、何人もの手を通過しています。

「この箱はなんですか?」「!」「これ、ちょっと見て」


スプーンの型を抜いた、いらない部分です。何万本分だろう。


プレスする手元を観察する深井さん。邪魔しないよう、話しかけません。検品はこちらの女性が細かくチェックします。


こちらはケトル(やかん)のすべての部品です。

オタマの裏には
DESIGNED BY SORI YANAGI
MADE IN JAPAN


こちらはバターナイフ。

丁寧に対応してくださって、ありがとうございました。つくられている現場をみると、いつも使っている食器がよりいっそう愛着がわくものです。いいものを長く使う。日本洋食器さんでは、壊れた食器の修理もしてくれるそうです。

 

続いて、スノーピーク本社へ

 

さて、ひと休み。

朝から何も食べてないので、ごはん。台湾料理屋に入りました。


おいしい! 満足げな2人。ただ、量が多くて、「食べきれるかな…」


続いて、やって来たのはスノーピーク本社。日本のアウトドアブランドです。こちらも燕三条にあるので、せっかくなのでいっしょに回ろうということに。同じ地域なので近いかなと思ったら、車で飛ばして30分くらい。山の中でした。


本社とショップとキャンプ場が併設されています。いろいろ見学。アウトドアメーカーの本社が山にあるっていうのはいいなぁ。


山だけあって、蚊がたくさん。ジャンプしてかわします。


「夕日が沈むね… 」 蚊に刺された腕をポリポリ。

「あ! あの動物なんですかね?」

馬か、牛か、なにかいるのを発見した真美さん。


「げげげっ、野生の鹿だーーーっ!」

驚いて逃げる深井さん。角で攻撃されたら、かわしきれません。


と思ったら、模型でした。

… というゆるい感じで、今回のぶらり旅も終了、岐路につきましたとさ。

さて、次はどこにいこうか。


編集部

編集部

オーディナリー編集部の中の人。わたしたちオーディナリーは「書く人が自由に生きるための道具箱」がコンセプトのエッセイマガジンであり、小さな出版社。個の時代を自分らしくサヴァイブするための日々のヒント、ほんとうのストーリーをお届け。国内外の市井に暮らすクリエイター、専門家、表現者など30名以上の書き手がつづる、それぞれの実体験からつむぎだした発見のことばの数々は、どれもささやかだけど役に立つことばかりです。