【第234話】痛いくらい手をあわせて – 運がいいクリエイターの3つの共通点 – / 深井次郎エッセイ


調子がおかしいときの 振動数マネジメント

 

 

「頑張っているはずなのに、やることなすことうまくいかない」

そういう時期がだれしもあるものです。 これって運気が下がっているのかな、と神社にお参りにいったり、占いにいったり、神頼みに走りたくもなります。運気を上げる、というとなんだか目に見えない話で何をどうしたらいいのかわからず、他力本願しかないと思ってしまいます。

運気を上げるには、パワースポットにいくといいとか、掃除をするといいとか赤いパンツを履いたらいいとか、いろいろ言われます。おそらくどれも正しくて、結局は単純な話、物理の振動数の話なのではないでしょうか。

振動数を高くすれば、それに合ったこと、人、モノに出会う。 
振動数が低くなれば、それなりのこと、人、モノに出会う。

それだけのことです。

 

理科の授業で習った振動数とは?

「やるべきリスト」が溜まっていると、エネルギーを吸い取られます。面倒だけど避けては通れないものが人生にはあって、これはやる気のあるなしに関わらず、勢いで片付けてしまう必要があります。調子が良くないときの部屋は、だいたい散らかっています。もう役目を終えたはずの書類やサイズの合わない服が溜まっていたり、壊れたものを捨てずにいたり。使っていなかったり、役目が終わったモノがあると振動数が下がります。

毎日そういうものがあふれる部屋や仕事場で暮らしていたら、エネルギーを吸われすぎて、立っているだけで普通の人はフラフラです。そりゃ、病気にもなります。

悪いことが重なって起きたときに、スピリチュアル系の人(細木数子さんとか)はよく「お墓参りをしてますか?」と聞きます。所有しているのに、かまってあげられない状態。これは振動数は下がります。通えない場所にお墓を買ってしまうのも考えものです。ほこりを洗ってあげたり、手を入れると振動数は上がります。すべてのものは「手入れ」をすると上がるのです。

野球のイチロー選手がグローブを毎日丁寧に手入れしたり、体をケアしているのも、長年好調をキープできる要因でしょう。ほこりをかぶせてしまっては、持ち主の振動数が下がってしまうのです。身の丈をこえてモノをもつ人はたくさんいます。家に置ききれなくなって、倉庫を借りてまで、モノをもつ。その倉庫も頻繁に出し入れがあればいいのですが、ほとんどの人は3ヶ月に一度開ける程度で、なかには1年に1度しか開けない人も多いのだとか。

お店でも流行っているところは、商品のレイアウトを毎日のようによく動かしていますね。ほこりをかぶっているということがありません。ひとつひとつの商品を触ってあげる、というのが大事。触れないほどたくさん商品があるというのは、ありすぎ。お店が広すぎなのです。かまってあげられないほどのモノを抱えるのは振動数を下げます。

まず、最低限の(税金の書類など)の義務を片づけ、あとはなるべくシンプルにやるべきことを絞ると心が軽くなります。 マイナスをまず、ゼロにする。こころの借金をゼロにすることが、第1のステップです。

音叉(おんさ)の実験で、音叉に重りをつけると、振動数は下がり、音が出なくなります。重りを減らすこと、適性な重さをわきまえること。流れ、滞っているところをつくらないことです。


理科の実験でこんなのやりましたね

 

部屋を片づけ終わっても、お礼を溜めてしまうというのも、やってしまいがちです。ぼくは、メールの返信がたまってしまうのは精神的に負担なので、仕事の依頼以外のメールは、「読者からの感想メッセージには、全員に返信はできませんが読んでいます」と伝えておいたりしています。SNSでも顔が思い出せなくなるほどむやみに友達を増やさないようにしています。 勉強するのはいいことですが、情報もインプットばかりで、アウトプットしていないのも滞ってしまいます。それが続くと振動数は下がっていきます。インプットするよりもアウトプットするときに振動数は上がります。流してあげることが大事。

好きなものに囲まれて暮らすことは振動数を上げますが、まず、本当に好きなもの、必要なものだけに絞り、身軽にすることが最低限です。まずはここから。

軽くしていないのに、神頼みをしたり、やる気を出そうと気合いを入れたりしても、ぼくの経験上ですが、ほぼ意味なしです。掃除しよう、未完了のものをなくそう、というのはすべての基本です。

 

 

2. こころを動かす

溜まっているものを軽くしてマイナスをゼロに戻したら、次は、こころの振動数を上げていきます。ワクワクすること、こころが喜ぶことをする、ということです。

明るくなること、元気になること、笑うこと。前からやってみたかったことを素直にやってみる。知識や技術がなくても、それは2の次、3の次です。楽しむのを優先して、やってみます。

巨石や滝、夕日が美しい丘のような絶景ポイントが、昔からパワースポットと呼ばれ神社になってるのも、だれもが心が動くからでしょう。「わー、きれいー!」とこころが振動するのです。気分が軽くなる気がするし、なぜかその後良いことが起きる人が多くいたので「そこに神がいるのでは」と考えられるようになったのではないでしょうか。

好きなアーティストの展示やライブを観に行くのもこころが動きます。植物を部屋に飾るのも、ペットと触れ合うのもいいですね。自分に正直に、やりたいことをやってみること。本音でやりたくて取り組んでいる人と、我慢してやっている人とでは、スキル習得の速度も、運の良さもちがいます。「こころ踊る」とか、「魂が震える体験」という表現を昔から人はよくしますが、やっぱりバイブレーションなのです。仕事でも我慢が続くと振動数はどんどん下がってしまいます。

これは、メッセージを発する者、各分野のリーダーは特にそうですが、自分の振動数をあげることをまず考える必要があるでしょう。リーダーの状態によってチーム全体は大きく影響をうけます。声もバイブレーションで伝わります。振動数の高い人から発せられた声は、共鳴させるのです。本だってそう。振動数の高い本は、たたずまいが違います。少し光って見えたり、飛び出ているように見えたりする経験は多くの人があるようです。

 

 

3. を動かす

こころと体は連動しています。体の振動数を上げれば、こころの振動数も上がります。体でいえば、運動すれば上がりますね。止まっているものを動かすと、振動数は上がります。しかも、スピードをつけるとさらに上がります。いつもより早く歩く、大きな声で話す歌う、倍速で仕事をする、とかでもノってくるのがわかります。賛美の拍手も、神社での柏手(かしわで)も振動です。

ランニングやスポーツをしたあとは、気分が上がりますよね。マイペースだけでなく、ときおり全力ダッシュを入れると、なおよしです。ただし、何でもバランスです。動きすぎて疲れたら、しっかり休みましょう。疲れがたまってぐったりしてしまうのは振動数が下がります。

アスリートに会うと、引き締まった体をしていて、芸術品のような美しく強いオーラを発しているように見えますよね。筋肉量が増えてくると振動数は上がります。

踊ったり歌ったり、太鼓を叩いたり、古代からどの民族でもそういう風習はあります。和太鼓の振動をお腹に感じるとドキドキしませんか。音は波動ですからね。音楽業界だって、ライブやフェスを求める人の数は減ったとしても、いなくなることはないはずです。

いま改めて、ランニングや登山などのアウトドアに興味を持つ人や、野外フェスが増えているのは、本能的に人々が振動数が上がることを求めているからではないでしょうか。走るのが嫌いな人でも、ストレッチをしたり、マッサージをしてもらうだけで体が軽くなりますよね。

単純に、動けば振動数は上がりますが、ひとつ注意点があります。動くときの動機です。人が動くとき、その動機は大きくわけて2つあります。恐怖か、快楽か、です。

「これ以上太ったら病気になってしまう… ダイエットしなきゃ」
「働かなきゃ、今月の家賃が払えないぞ…」

たとえば、こういう風に、恐怖や不安から逃れるために行動すると振動数は上がりません。喜びや気持ちよさを求めてワクワクしながら行動するほうが振動数は上がります。恐怖で動いてる人に人やチャンスがついてこないのはそういう理由でしょう。

美男美女というわけではないけれど、いい面構えをしてる、いい目をしてる、キラキラしてる人がいます。自信に満ちあふれている、オーラがある、この人はただものではないとか、輪の中心になってしまう、華がある、存在感がある…。これも目には見えない雰囲気ですが、振動数は感じ取れるのです。ダンスやフィギュアスケートを見てても、全力でやってる人、楽しそうにやってる人は、たとえ上手くなくてもつい目がいってしまうものですよね。

振動数は目に見えないけれど、会った瞬間なんとなくわかるものです。「顔色わるくない? 」というのも、実際に白いとか青いということもありますが「なんか振動数が下がってるように見えるけど大丈夫? 」ということ。

体の振動数を上げるためには、体に入れるものにも当然影響されます。食事だったら、新鮮な野菜やくだものや肉は振動数が高いですし、スナック菓子や加工された粉ものは振動数が低いです。できたての料理、とれたての野菜の方がいいのは間違いありません。

着るものだって、暗い色よりは明るい色の方が振動数は上がります。軽くて着心地がいいほうが、いい。振動数の高いつくり手が、気合いをいれてつくった服のほうがいい。

あとは、乗り物もいいですね。新幹線とか飛行機に乗ると、脳まで高速回転になった感じがするのはぼくだけではないはずです。高速移動中には思考や仕事がはかどります。長距離移動をへて、旅から帰ってきたばかりの人がまとっている、なんだかご機嫌なオーラがあります。あれも振動数が上がっているのでしょう。

そういう意味で、旅をするのは、いいですね。こころも体も、振動数を高めます。荷物だって、本当に使うもののみ最小限に吟味するので身軽です。行き詰まりを感じて、次のレベルに進みたいとき、人は本能的に旅を求めるのでしょう。

 

 

リーダーは自分の振動数に責任をもとう

 

いつも機嫌がいい人、運のいい人は、振動数を自分でマネジメントしています。最近、落ちてきたなと気づいたら、上げるような工夫をしています。自分が下がると、まわりも下げてしまいます。組織に属している大人は、自分の振動数に責任をもたないといけません。

ぼくも学生時代に風邪をひいてるときに無理して学校にいったら「自分は良くても、みんなにうつしたらどうするんだ。今すぐ帰りなさい」と先生に怒られたことがあります。 それと同じで、振動数が下がってる人が会社にくるなら、「いっそ休んでほしい。いないほうがはかどるし」とまわりは思っているかもしれません。

また会いたいとか、いっしょに何かやりたいと思うのは、振動数の高い人です。人間関係でも「波長が合う」と表現しますね。

1人よりは複数集まった方が振動数は上がりやすいです。ただし、チームも人数が多ければいいという問題ではありません。チームの中に動いていない人がいると下がるわけです。ただ頭数だけがいても、さぼっている人が多い大組織よりも、数人のベンチャーのほうが良いものをつくってしまうケースはよくあります。

リーダーの役割は、自分とチームの振動数をどうマネジメントするかなのでしょう。ぼくは、相談にのるときは、相談者の振動数が上がるようなアドバイスをします。振動数が上がれば、細かいことはさておき、うまくいくからです。シンプルなことなのです。

(了)

 

 

 

(約5000字)
PHOTO: Antony Pratap

 

 


深井次郎

深井次郎

ORDINARY 発行人 / エッセイスト 1979年生。3年間の会社員生活を経て2005年独立。「自由の探求」がテーマのエッセイ本『ハッピーリセット』(大和書房)など著作は4冊、累計10万部。2009年自由大学創立に教授、ディレクターとして参画。法政大学dクラス創立者。文科省、観光庁の新規事業に携わる。2013年ORDINARY(オーディナリー)スタート。講義「自分の本をつくる方法」定期的に開講しています。