【レポート】深井次郎がゲスト出演「好奇心を解き放て – あの人の視点 – 」トークライブ@自由大学祭2015

作家も同じ。毎日面白いことが起きているわけではありません。面白いことを書いてるからと言って、毎日パーティーや旅に飛び回っているわけではありません。同じものを見ても、何を思うかはそれぞれ違います。そこで差が出る。その人らしさが出るのです。
TALK LIVE REPORT
好奇心を解き放て – あの人の視点 –
自由大学祭2015

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深井さんが立ち上げから運営や講義づくりをやってきた自由大学も、表参道のCOMMUNE246に拠点をうつし、まずます盛り上がりを見せています。

この日は、「自由大学祭2015」。祭のコンテンツのひとつとして、オーディナリー代表の深井次郎がゲスト出演しました。序盤から笑いにあふれ、活気のあるステージ。

テーマは、「好奇心と独自の視点をどう持つのか」という話。そもそも深井さんは、好奇心が多い方ではなく、浅く広くではなく、深く狭くというタイプです。ハマっていることは片手で足りることくらいしかありません。

それでも文筆家、エッセイストとして物を書くうえで考えていることを、話し始めました。みんなが「いい」と言ってることを「ほんとかな」と問うことは大事です。自分の「好き」「なんかいいんだよね」という感覚を大切にして、まわりに合わせすぎないこと。自分に正直になることを具体的なエピソードとともに話しました。


作家も同じ。毎日面白いことが起きているわけではありません

まわりの物書きをみても、なにも特別なことはありません。面白いことを書いてるからと言って、毎日パーティーや面白いところに飛び回っているわけではありません。多くのビジネスマンと同じように、日常をたんたんと暮らしています。

見ているもの自体は、ほとんど変わらないと思います。むしろ、書くことはデスクワークなので、外回りの営業職などにくらべて、室内でディスプレイに向かっていることの方が多い。

同じものを見ても、何を思うかはそれぞれ違います。そこで差が出る。その人らしさが出るのです。わざわざ旅に出たり、新しいことにチャレンジすることも大事ですが、視点やセンサーがなかったら、なにをやっても「え? 普通に楽しかったよー」くらいしか書くことはありません。

逆にいうと、視点さえあれば、何気ない、ありふれた日常でも、近所のスーパーに買い物に行っても、通勤電車の中でも、小さな変化は必ずあるし、そこを拡大し、細部をみることができます。

マクロレンズで極小のモノをみることと、広角レンズで、広く、時代の流れをみること。ズーム、フォーカスの幅が大きく、自由自在なのが書き手の能力であり、これは訓練可能です。
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偶然を偶然と流さずにどう拾っていくか

わざわざ拾ってみることから、新しい物語はスタートするのです。日常を見る視点の次は、拾っていく、背負っていくことをおすすめします。

たとえば、ということで「先日、瀕死のミドリカメの赤ちゃんを拾い、飼い始めた話」を展開。実際に、カメちゃんも連れてきてくれました。

 

独立して最初のお客さんをどうつくるか

好きなことを、どう仕事にしていくか。そのときに好きなことをどう売り物にして値段を付けて、どう営業したらいいのか。そんな質問になり、深井さんはものすごく具体的に、だれでも可能な方法として解決策を話しました。具体的すぎて、会場からは「ほほう!」と感心の声が。「一部の天才にしかできない方法には興味がない」と深井さんは言います。「自分もダメ人間だからこそ」だれでもできる方法を見つけたいし、それを伝えていきたいと。

 

 

視点を鋭くするには
アウトプット量を増やすこと

ほとんどの人は、インプットは足りてます。でも、次の段階にいくにはアウトプットの量を増やしていく。アプトプットが増えると、吸収力も上がる。そこは必ず比例します。

「大きく失敗したことは?」という会場からの質問には、骨折くらいの小さな失敗はたくさんあったように思いますが、致命傷となるような失敗は、いまパッと出てきません。そんなに無謀なギャンブルをするタイプではないので。独立してやっている人は、登山家や冒険家みたいなもので、一見するとアドレナリン中毒のように思われますが、「自分の体力の限界を知って、無理をしない。焦らず着実に」という人が生き残っています。意外に、一か八かの賭けみたいなことはしないです。ギャンブルと冒険は、似て非なるものです。

小さなケガは毎日のようにあります。ただし、失敗があったからこそ学びが必ずあり、それをまた書いて、読者に読んでもらえます。すると、「失敗なんてあったかな? ないかもしれないな」と気がつきます。会社起こしてつぶしたら終わり? 終わりませんよ。表からは見えないかもしれませんが、経営者からサラリーマンに戻ってる人もいるし、違うチャレンジをしている人もいるし、全然元気です。スポーツ選手のように引退後の第2の人生があまり表立って語られないので、見えないものはたしかにこわいですが、みんなそれぞれ楽しく生きています。ぜんぜん終わらない。

いま、オーディナリーをつくっていて、効率悪いことしてるな、ずいぶん回り道してるかなーと思うこともありますが、だからこそ、近道した人には得られないものもあると信じています。ゼロから何かを立ち上げるには最低でも数年はかかります。

近道しようと思うと、そこはみんなが通りたがる道で、混雑しています。他の人からみたら、効率悪いこと、儲からないこと、アホなことやってるなぁーと言われるくらいでちょうどいい。効率の悪いことをやらないと、「自分にしかできないこと」「自分の道」にはたどりつけないと思います。

失敗をおそれるというのは、最短でいこうとしているということ。山頂にいたるには、いろんなルートがあるし、そもそもみんなと同じ山じゃなきゃいけないの? というところから考えたい。ぼくも日々、編集部の仲間とぶつかりあいながらやってます(笑)。ぶつかっても、「いいものをつくりたい」という気持ちはいっしょなので、それはケンカとは違います。

「みなさんも、書きはじめませんか?」と投げかけ、いい雰囲気でトークライブは終了。このトークライブに来てインパクトを受け、講義「自分の本をつくる方法」に参加した人もいました。

さて、次はどこで深井節が聞けるかなー。(了)

 


編集部

編集部

オーディナリー編集部の中の人。わたしたちオーディナリーは「自由に生きるための道具箱」がコンセプトのエッセイマガジンであり、小さな出版社。個の時代を自分らしくサヴァイブするための日々のヒント、ほんとうのストーリーをお届け。国内外の市井に暮らすクリエイター、専門家、表現者など30名以上の書き手がつづる、それぞれの実体験からつむぎだした発見のことばの数々は、どれもささやかだけど役に立つことばかりです。