【創作に出会う旅】うつわ好きのお2人と、つくり手の情熱に触れにいく- 陶器のまち 栃木県益子篇 –

創作に出会う旅陶器のまち、益子篇

うつわ好きの中村真美さんがGWに益子にうつわを観に行くという。そんな情報が、オーディナリー編集部に届きました。「せっかくなら、みんなで」と、うつわ好きの建築家、仲村和泰さんを誘ってみると、「ちょうど仕事が休み」だという。うつわ好きとめぐる益子。うつわ好きはどんな行動をとるのか、深井さんも興味津々。というわけで、急遽みんなで行くことになりました。深井さんが動くということは、当然オーディナリーの読みものコンテンツにするということです。買っても、買わなくても、手づくりの人とモノに出会えるのは刺激があるものです。創作意欲を高めるには、つくり手たちの情熱に触れることが一番。さあ、でかけますよ。

 

ストーリーのあるうつわと暮らしたい  〈 栃木県 益子町 〉 

TEXT & PHOTO オーディナリー編集部

 

 

「着いた、ここが益子駅だ!」

朝5時出発で東京を出た一行は、9時に益子駅に到着。今日は、うつわ好きのお2人と編集部がうつわのまち益子をぶらぶらするというゴールデンウィーク旅企画です。5時出発という気合いの入れようから、うつわへの情熱を感じます。深井さんは、うつわについては今のところ「気を使えていないけど…」のよう。はたして、お2人とともに旅することで、何かが目覚めるなんてことがあるでしょうか?

本日の登場人物 左から

中村真美 さん(雑貨販売職)
和から洋まで、暮らしに関わる雑貨のお店に、関東や関西にて10年ほど勤務する。 

深井次郎(オーディナリー発行人)
文筆家であり、生き方エッセイマガジン「ORDINARY」発行人。自由大学「自分の本をつくる方法」で教授をつとめる。

仲村和泰 さん(建築家)
現代建築の設計施工が専門。特に東京特有の狭小変形地で建築理論を基にモダンデザイン住宅を設計から施工まで一貫して行い定評がある。

 

益子(ましこ)は、焼き物で有名な栃木県のまち。このGWの期間は、「益子 春の陶器市」を開催していて、500名以上の作家さんの作品を一挙に観ることができるのです。

 

益子はここですグーグル地図でみると、益子はココ ↑ 

 

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「さて、今日は歩きますよ」

一行の足元はもちろんスニーカー。まち全体が益子陶器市という感じ。いたるところに陶器のお店やテントが並べられています。休日の朝9時なのに、すでに多くの人。うつわ好きたちは、ぐんぐんと進んで、深井さんは離されていきます。はたして、ご一行、お気に入りのうつわは見つかるのか。この日、深井さんはうつわに興味を持つのか、何かを買うのか。気になるところです。

 

この日のデータ
うつわを探した時間:時間30

歩いた距離:15キロ超え
買ったモノ:26

 

それでは、充実の一日の様子を、写真を中心にお送りします。
 

 午前の部「まずはお目当ての作家さんのところへ」  


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お目当ての作家さんのブースへ行く道すがら、ふむふむと1つのテントあたり10秒ほどで、見て回ります。

 

「なるほど、ひとつ1000円くらいの価格帯なんですね」
目の飛び出る価格でなくて、安心する深井さん。

益子「あ、ここです!」
真美さんのお目当ての作家さんたちが出店しているエリアへ。
「さて、今年はどんな作品が見られるかな」

 

益子 陶器益子陶器市というと、ご年配のお客さんが多いのかと思っていたけど、20代30代女性も多かったです。作家の方も若い。

 

益子「これいいかもしれない… 」
手にとって感触を確かめる真美さん。真剣な表情。

 

益子近づいてみたり、離れてみたり、眼光がするどい仲村さん。職人の表情に。

益子「急須、この質感は美しい。16000円かぁ」
普段、お茶を飲まない深井さん。
「使わないものを、買っちゃだめだよね… 」

 


仲村さん、小皿をお買い上げ。本日、初めてのお買い物。

 

「この小皿ですか。さすが、いいですね、これ」
良いものは、佇まいが違う。買わないけど、「これはいいね」というのは満場一致のことが多かったです。

 

 

「そうそう、ここの作家さんも好きなんです」
真美さんは去年、この作家さんの作品を買ったという。

帽子を被った作家さん本人も登場し、自ら作品を解説してくれました。

「これ指輪型のグラスなの。ウーロン茶をね、こうストロー挿して飲めるんですよ」
「す、すごーい… 」(… けど、実用的か? いいんです、アートですから)

 

水じゃないの、ガラスです。こんなのもつくれる。

 

 

スターネットは絶対にチェックです」
良いものが一同に集められているお店へ。

なにやら作戦会議か?

 

IMG_1241デザインが美しいと欲しくなる。

 

「可愛い。生き物みたいだ」と深井さん

 


「小皿が欲しいんですよ。薄いのが」
手触りをチェックする仲村さん


どんぐりみたい。作家は、額賀章夫さん。


「食器というか、アートですね。エネルギーを感じる」
深井さんもこのシリーズには反応しました。

 

「極力、モノは増やさないようにしているので」
シンプルライフな深井さん。可愛いだけじゃ買えません。
「普段使いの、ちょういい大きさのお皿があれば欲しいけど… あと電子レンジOKじゃないと不便かな」
美しさ + 必要 を満たすモノにはなかなか出会えず。

 

あ、真美さんが何かに反応してる。と、思ったらサツマイモだ! なんと、うつわじゃなくて、芋を買った。

 

うつわ好きは、料理好き。こだわりの食材もチェック。

 

小部屋の中、隅々まで確認。

 

 

「おなか減りましたね」
11時半ですが、早起きしたのでおなかペコペコ。そろそろどこかランチできるお店にいきましょうか。ネットで調べると、徒歩10分の距離に、いいお店が。念のため予約してから向かいます。

 

 

山道をいくと、途中に沼が。
「ハッ、何かいる!」

 

 

 お昼休憩「天気が良い日は外で」  

 

予約したカフェに到着。外のテラス席に。お昼時で混んでたので、予約しておいて助かった。
「はぁ、どれもおいしそう。何にしよう!」
迷う真美さん。

 

午前中の戦利品。小皿を確認し、にんまりする仲村さん。
「やっぱりいいですね。これより良いものは見当たらなかったな。今のところ」
この小皿を超えられるかどうかが、次に買う時の基準になるのです。

 

オーダーしたものが運ばれて来ました。まずサラダと。

 

カレー(1350円)と。

 

プレート(1850円)と。

 

仲村さん「うつわが増えちゃって、食器棚から溢れて、増設するかどうにかしないといけないんです」
深井さん「えー、ぼくは毎日同じうつわばっかり使ってますよ。シンプルなの数枚でオーケーな人なんです」

 

 

 午後の部「まちの全体像をざっと把握したので、細かいところを攻める」  

 

 

仲村さん「料理も好きだし、今日はどのうつわに盛ろうかなという楽しみもあるんですよ」
深井さん「ほほう。ぼくはまだ料理をつくるだけで精一杯。うつわにまで関心がまわってないな」
真美さん「同じ料理でも、うつわとの組み合わせで全然変わりますものね」

 

「観れるのかな」
「鍵かかってますね」 
道すがら、物置のような古美術屋など、いろいろある。

 

とにかく、よく歩く。

 

太陽が照りつける。

 

アンティークのお店がありました。

 


外国のアンティークのお皿。一枚5000円くらいする。可愛いけど、高いなー。

 

ガラクタか、お宝か? 古いものがたくさん。

 

小さい花瓶は数百円くらい。コロンと可愛くて、買いそうになる。危ない。

 

「ここ、良さげですね」
買わないけど、嗅覚だけはある深井さん。

 

「ああ、ここは良いですね」
仲村さんが早速チェック。

 

「ふむふむ!」 

 

やはり小皿に反応してる仲村さん。
「これは買いですね。2つペアで」
食器棚からはみ出るというのに買う(笑)

 

ガラスものに反応するが、いまひとつ決め手に欠けるのか。悩む真美さん。

 

MrRIS深井さんは怪しい犬のロボット(6万円)に反応。
「これつくりたい! 

 

おやつはアイス。

 

「いいなこれ」
ひとつひとつ手描きで模様をつける。

 

サラサラな手触り。


手づくりなので、ひとつひとつ微妙に違う。

 

急須に反応する傾向のある深井さん。
「丸いフォルムが好きなんです」

 

夕方になってきたが、まだ芋しか買ってない真美さん。おメガネに適ううつわと出会えていないようだ。お店のガラス越しにパチリ。

 

ミニ花瓶648円。途中、深井さんが iPhone を紛失。ここのお店の店員さんに拾われ、危機を脱するというハプニングも。

 

作家さんの個性と向き合う。

 

フェス会場みたい。 

 

「このうつわ、色が気に入った」
作家さんが自ら手売りしているブースが多い。外で8日間も立ち続ける。売るほうも体力がいる。

 

「この赤っぽい色、うつくしいですね」
作家は、平松裕子さん。あいにく作家さん本人は席を外していて、お会いできず。

 

仲村さん小皿を3つお買い上げ。

 

じっくり検討した結果、ついにお気に入りのお皿と出会いました。真美さん、お買い上げ。

 

マグカップ、これいいね。

 

7Ju3B日が傾いてきた。

 

模様とフォルムに反応。

色合いに反応。

 

ここまでお買い上げゼロの深井さん。さすがはミニマリスト。
「買わないけど、展覧会観てる感じ。勉強になるし、楽しいよ! 」
うしろから真美さんがひょっこり。

 

駅までの帰り道、最後の最後でいい感じの古本屋に遭遇。古家具をあつかう「内町工場」さん。見応えのあるセレクトで、本好きの一同、
「これは、要チェックですね!」

そして、ここでタイムオーバー。

 

 成果発表「本日の戦利品を披露してください」

 

まずは仲村さん。この笑顔。納得の収穫といったところか。

うつわだけでなく、自然薯(じねんじょ)と魯山人の古本も。

 

続いて真美さん。使えば使うほどアンティークのような味わいがでてくるという可愛いお皿。こちらも照れながらも満足げな表情。

 

サツマイモも。
「芋もって歩くの重かった!」

 

編集部ふじたゆきは、野菜と生そば、桜餅、本。うつわの街で食べ物を買うあたり、いつものペース。

 

dTIQg最後は、深井さん。うつわはゼロ。古本を5冊。やっぱり、本なんですね。
「相場より安く入手!」

 

「本当はもっと買いたかったのだけど、重いので断念した」のだそう。

 

 

 おわりに「つくり手の情熱は人を動かす」

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朝5時に東京を出て、益子陶器市でぐるぐる15キロ歩き、東京に着いたのは22時。さすがに帰りの電車ではウトウトしましたが、元気。やはり、うつわ好きの情熱は、すごかった。深井さんも、お2人に触発されて、好きな作品をつくる作家さんを2人ほど見つけたようで、うつわが必要になったら、きっと彼らの作品をまたチェックすることでしょう。

好きなものがあるって素敵ですね。オーディナリー的、ぶらり旅でした。中村真美さん、仲村和泰さん、ありがとうございました。またどこか行きましょうね。

ランチ時や帰り道にもみんなで話してましたが、「やっぱり、買うんじゃなくて、自分でつくりたくなるね」。つくり手の情熱に触れると、自分も何かつくりたくなります。陶器を観て、陶器をつくりたくなることもあるし、陶器を観て、エッセイを書きたくなるかもしれない。どちらにせよ、つくり手の情熱は、観る人を行動に駆り立てる力があるということなのでしょうか。

忙しい大人が丸一日つぶして一枚のお皿のために15キロを歩く。そうやって出会った一枚には、今日という日のストーリーも含めて記憶されます。適当に買ったものとはまたひと味違う。小さいけどひとつひとつにストーリーがある。大切にしたくなる。そんなモノたちに囲まれて暮らしたいものです。(了)


編集部

編集部

オーディナリー編集部の中の人。わたしたちオーディナリーは「自由に生きるための道具箱」がコンセプトのエッセイマガジンであり、小さな出版社。個の時代を自分らしくサヴァイブするための日々のヒント、ほんとうのストーリーをお届け。国内外の市井に暮らすクリエイター、専門家、表現者など30名以上の書き手がつづる、それぞれの実体験からつむぎだした発見のことばの数々は、どれもささやかだけど役に立つことばかりです。