【レポート】遠い国の伝統的な手仕事がいっぱい! ノマディックラフト参加の展示会を観に行きました

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 「縫い目もすごく細かいでしょう? 表だけじゃなく裏もなんです。見えない所も同じくらい刺繍があるんですよ」というように笹本夫婦の紹介がとまらない。ひとつひとつのバックグラウンドが膨大にある。少数民族の手仕事の雑貨や刺繍、衣料は、ただのモノではなく、お守りなのです。

クラフトで繋がる人たちが集合する
『united CRAFT nations』展 


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編集部メンバーで、『united CRAFT nations』展に行ってきました。オーディナリー新連載『ちいさなお店をはじめたこと。』のノマディックラフト笹本さんご夫婦が出展しているのです。

ノマディッククラフトヨメのちいさなお店をはじめたこと。

会場は勝どきにある今回の主催者@btfさん。倉庫をオフィスやギャラリーにリノベーションし、刺激的な空間になっています。

 

【イベント概要】
「united CRAFT nations」展
2015年6月19日(金)~6月28日(日)@btf 4A /4B (中央区勝どき) 
11:00~19:00/会期中無休  (好評にて終了しました)
詳細:http://www.shopbtf.com/at/unitedCRAFTnations.html

 

 

おもわず買い物モードになってるところ。諸星さんは、ノートPC入れを。モトカワさんは鳥の笛ネックレスをお買い上げ。「取材ですよー」

 

会場に入ると、エレベーターを降りてすぐにノマディックラフトのブースが目につきました。

「おお、おもしろい!」

一応、取材に来たのですが、モトカワさんも諸星さんもすっかり「買い物モード」になってしまいました。一点ものの集まりで、それぞれに奥深いストーリーのあるモノたち。

深井次郎とノマディクラフトヨメの笹本麻希さん。このピンクが似合ってしまうのはさすが。もともとアパレルの広報をやっていただけあって、紹介がわかりやすい!

 

「これは何?」と尋ねると「それは少数民族のラフ族ので、お母さんたちが赤ちゃんのためを思って縫った刺繍なのです」「縫い目もすごく細かいでしょう? 表だけじゃなく裏もなんです。見えない所も同じくらい刺繍があるんですよ」というように笹本夫婦の紹介がとまらない。ひとつひとつのバックグラウンドが膨大にある。少数民族の手仕事の雑貨や刺繍、衣料は、ただのモノではなく、お守りなのです。

 

ノマディックラフト店主、笹本祥巨さん「服の場合、サイズが合うかが難しいので、どうしても雑貨よりは売れにくい。今後の課題です」

 

 

店主の旦那さんはご自分の手で縫って、少数民族の古布を使ったオリジナル衣料をつくります。現地の作家さんから買い付けもしますし、ただあるものを買うだけではなく、「こういうのもできませんか?」と企画を提案して日本人の感性にも合うようにつくってもらったり。それを受けて、「じゃあこんなのはどう?」と現地の作家が逆提案してきたり、そういうやりとりの末、でき上がってくるモノたちは、ここでしか手に入らないモノばかりです。この春タイで見つけてきた現地のマーケットの雰囲気を感じる衣類・雑貨など新作もあり、色とりどりの内容です。

 

「細かいでしょう? お母さんたちが手でチクチク縫ってるの」

 

 

しかし、手づくりのほぼ一点モノを売るというのは、商売としてはなかなか骨が折れるもの。苦労も多い。たとえば、ウェブショップで、商品の紹介を書く。その背景と制作されたエピソードなどを紹介する。時間を書けて綴っても、その商品が売れてしまったら、その紹介文はもう使えません。効率は良くない。しかも、その商品も一点の利益はそう多くありません。数百円ということもある。手間はかかるけど、好きなことだから工夫して成り立たせていきます。

世の中のビジネスマンが効率を追求した結果が、「大量生産大量消費のシステム」なわけですが、それが行き過ぎてストーリーのあるモノが減り、つくり手が見えない、どこでも手に入る同じようなものばかりになってしまっています。それは私たち消費者がそういうものを買うから、その循環が続くのです。何を買うのか。お金が誰に渡るのか。その辺を想像し、買うことが消費する側としてできることなのでしょう。

 

貧困の輪を断ち切ることにもつながれば

 

 

壁には2007年から現在までタイ・ベトナム・カンボジア・ラオスなど、笹本夫婦がご縁があって訪れた国々の写真を飾ってあります。最初は、「なにこの刺繍、可愛い!」という旅中の出会いから始まりましたが、このお店をはじめてから、「つくり手である少数民族の女性たちに仕事の機会をつくっている」と手応えを感じるようになってきたようです。貧困の輪を断ち切ることに少しずつ貢献することを目指す姿勢には共感します。

どんなものがあったのか、写真を少しお見せしますね。

 

ひとつひとつ手で刺繍しているので、柄も違う

作家『JUJU』さんのアクセサリー

「これ欲しいです!」諸星さんもときめく

深井さんが気に入ったのはこのトートバッグ

椚山工房さんとコラボした古布のスツール。深井さんはこれが一番のお気に入りだった様子

この木の質感はなかなかない

アルミのうつわ。キラキラしてたので持ったら、すごく軽い。暑い地方では、これで冷たいものを飲むようです

さまざまな色

このデザインも目についた

 

 

もちろん、ノマディックラフト以外の出展ブランドも見応え十分です。こんな雰囲気。一部をお見せします。

『プティット・アフリケーヌ』さん

『JUBILEE』さん

ハンガリー伝統手芸研究家、谷崎聖子さん

 

 

今回、この企画をオーガナイズしたのは、青木計意子さん(バタフライ・ストローク・株式會社)。青木さんともお話ししましたが、ご自身も「つくり手」であったことから、「つくり手の気持ちを汲むことができる。つくり手を応援したい」との思いで活動されているそうです。

バタフライ・ストローク・株式會社:青木克憲氏によって設立された、クリエイティブエージェンシー。広告の企画制作のみならず、制作者やキャラクタ-のマネ-ジメント管理、ライセンスビジネス、グッズの企画、販売管理などの活動を行っています。

 

【主催者からのごあいさつ】

この度@btf(中央区勝どき)は2015年6月19日(金)より
『united CRAFT nations』展を開催いたします。

何か不思議な力に引き寄せられるように、 
視えない糸にふんわりと導かれるように、創り、伝える。

遠い国の伝統的な手仕事だったり、 
遠い時間に生まれた技法だったり、 
大自然にくるまって生活する知恵だったり。

長い月日の中で成熟してきたモノを 
自分のカタチにして伝えようとする彼らは、 
クラフトで人に繋がり、その場所に繋がっている。

そんなクラフトで繋がる人たちが集合する 
united CRAFT nations。

独得の美しさ、巧みさがあふれる空間を、旅しにいらしてください。

 

6/28まで開催しています。お近くに寄った方はもちろん、わざわざでも行く価値ありです。どれもここでしか会えないモノばかりですので、気になった方は遊びに行ってみては。以上、現場からでした!  


編集部

編集部

オーディナリー編集部の中の人。わたしたちオーディナリーは「書く人が自由に生きるための道具箱」がコンセプトのエッセイマガジンであり、小さな出版社。個の時代を自分らしくサヴァイブするための日々のヒント、ほんとうのストーリーをお届け。国内外の市井に暮らすクリエイター、専門家、表現者など30名以上の書き手がつづる、それぞれの実体験からつむぎだした発見のことばの数々は、どれもささやかだけど役に立つことばかりです。