【ハナサクトキ】師走 クリスマスローズ

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12月の花 クリスマスローズ



クリスマスの頃に咲く、バラのような美しい花

 

この花に原色はほとんどなく、わたしの好きなニュアンス色が多い事もあって、出回る時期は花束で良く使っています。総称をへラボレスと言い、実際この時期に開花するのはへラボレス・ニゲルという白い一重咲きの品種のみなのですが、日本ではへラボレス属全体を指してクリスマスローズと呼び、花屋でもこの名前で流通しています。


花びらに見える5枚片は実は萼片(花びらの付け根にある小さな葉)です。花びらは…と言うと、退化して小さな蜜腺として中央に残っています。そのため、花期がとても長いのが特徴で、最近では「(花びらが)散らない花」という事もあり、合格祈願として贈られるお花でもあるそうです。

うつむき加減に咲く一見華奢な花に見えますが、鉢植えや庭咲きのものは意外と寒さにも強く、少しくらい放っておいても簡単に枯れたりしません。しかも毎年必ず花を咲かせてくれます。茎は真っ直ぐで、葉も一年中緑が濃く、花自体は儚そうに見えても実は芯の強い、凛とした気品を感じさせるお花なのです。


1504128_441963719248810_1479982797_n花屋をしていると、いつも向き合う花の姿を見て、背筋がしゃんとする事が良くあります。早朝仕入れに行く冬の市場は、日が登りきっていないので暗い、寒い、しかも眠い…の三重苦です。それでも数分するとシャキッと元気になっているのは、植物たちの生命(エネルギー)を貰っているからなのだと思います。ただひたすらにそこで咲くのを待っている。そのシンプルな姿に、時にハッとさせられるのです。


一年の中でも特に忙しく、毎日追われるように過ぎて行く師走ですが、この一年への感謝をしながら過ごしつつ、また来年も元気に楽しく花の仕事が出来ますように…という願いも込めながら、いつも年末を迎えています。同じ花がふたつとしてないように、新しい年をまた新しい気持ちで、花たちと共に。

そのままドライになるのでリース花材としても。

そのままドライに。リース花材としても

 

クリスマスローズとの付き合い方
~ Malmö’s advice  ~

1. 茎は水を吸う面積が多くなるように斜めに切る。
2. 花瓶の水は茎の半分以上が浸かるくらい入れる。
3. 弱ってきたら、茎を切った後ぬるま湯(15㎝くらい)に2時間ほど漬けておくと元気になる。


菊池裕子

菊池裕子

Malmö (マルメ)主宰 /「いつも」の花と「特別」な花をあつかう花屋。「いつも」の花は、日々の暮らしがちょっぴり楽しくなるような。「特別」な花は、とびきりの日がもっと輝くような。それぞれにこだわった花を、ナチュラルなテイストで提案している。駒沢にあるCOPAINDA gallery(コパンダギャラリー)内の小さな花屋。