【ハナサクトキ】 神無月 dahlia

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風が少し涼しくなって、金木犀の香りが漂いはじめる頃になると、あぁ今年も秋が来たんだなぁと思います。暑い夏が終わって、お花にとっても過ごしやすい季節になりました。

秋のお花にはコスモスや菊などいろいろあるのですが、中でもひときわ華やかな存在がダリアで、市場でもその存在感についつい引き寄せられてしまうくらいです。

少し懐かしいレトロなイメージも持たれているダリアですが、黒っぽいシックな色味のものや、花の形もまぁるいポンポン咲き(掲載写真)や花びらが尖ったカクタス咲きなど、洗練された種類も多いお花なのです。

生産地は主に東北や北海道ですが、もともとダリアはチューリップやヒヤシンスと同じ球根花。一度寒さを経験することで綺麗な色合いになるので、寒さに強いのも納得です。

ダリアの花びらは繊細で、少し当たったり擦ったりするだけでもあっという間に傷が付いてしまいます。でも、華やかな面持ちでありながらうつ向きがちに咲くところはその繊細さにも通じるようで・・・。そんなところもなんだかとても愛おしく思えてしまう、大好きなお花のひとつです。

他のお花と比べると、綺麗に咲いていられる期間が短くて儚いダリアですが、赤〜黒など比較的濃い色目のものは、花びらが萎れてきたかな、という段階で逆さに吊るしておくと、そのままドライになります。ドライになったら茎を花首からカットして、そのままコロンとお皿や器に飾っておくだけでも、お花との長いお付き合いができるのでオススメです。

よく「このお花は長く持たないから・・・」という言葉を耳にしますが、お花はその一瞬のためだけに精いっぱい咲いてくれて、その姿からたくさんの喜びや感動を与えてくれるので、わたしはその短い時間もちゃんと見てあげたいなと思うのです。

桜も紅葉も、1年の中で一瞬だけ。でも毎年、キチンと季節を感じて咲いたり姿を変えたりして、その役割を全うしてくれる。季節の移り変わりを、カレンダーの代わりに教えてくれる。その季節の記憶を、色彩や香りで思い出させてくれます。

そんな、それぞれの季節にいちばん輝いているわたしが大好きなお花たちを、これからここでお話ししていきます。この連載を読むことで、少しだけ季節と向き合える時間になってもらえたら嬉しく思います。

 


ダリアと暮らすコツ   ~ Malmö’s advice  ~

1. 切り花の扱いは、茎は斜めに切らずまっすぐ水平に切る
2. 花びらは傷付きやすいので丁寧にやさしく扱う
3. シンプルに1本でも存在感がある
4. 合わせるなら草花系やケイトウ、実ものたちなどが相性が良い

 

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菊池裕子

菊池裕子

Malmö (マルメ)主宰 /「いつも」の花と「特別」な花をあつかう花屋。「いつも」の花は、日々の暮らしがちょっぴり楽しくなるような。「特別」な花は、とびきりの日がもっと輝くような。それぞれにこだわった花を、ナチュラルなテイストで提案している。駒沢にあるCOPAINDA gallery(コパンダギャラリー)内の小さな花屋。