TOOLS 114 300講座のプロデューサー直伝「自分が教えられるテーマ」を発掘する方法 / 高橋龍征( 場づくり実践家 )

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300講座のプロデューサー直伝「自分が教えられるテーマ」を発掘する方法

高橋 龍征 ( 場づくり実践家 )


自由に生きるために 
自分で講座を主催してみよう

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「あなたが教えられることを、2時間話して下さい」

突然そう頼まれたらどうでしょう。業界の有名人でもないし、極めた趣味があるわけでもないし、私に話せることなんてない… と思ってしまいませんか?

私は講座づくりを生業として、年に200個の企画を実現しています。

有名企業の社長が登壇することもありますが、「ごく普通の人」の講座を企画することも多々あります。その経験から「誰でも何かしら、話すに値するものを持っている」と確信するようになりました。

ここでは、何を教えればいいかすぐには思い浮かばない人でも、「これならお話しできるかも」と思えるものを見つけるヒントをお伝えしたいと思います。

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気軽なテーマでも十分喜ばれる

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世界で名を知られている大企業のある社内勉強会で、最も人気が高い講座は「エクセル術」や「スケジューラーでの時間管理」だそうです。

新しく注目を集める講座アイデアに苦心している私には、最初聞いた時は正直「いまさらそんなものが?」と思えました。しかし、日々の仕事の効率を上げたい思いは、いつの世も変わらないのでしょう。

「そんなマニアックなものが?」というものが、意外に人気講座だったりすることもあります。

ある教育サービス企業の社長から聞いて印象深かったのは「包丁研ぎ」の講座です。元サラリーマンの方が、包丁を研ぐ講座を始め、それが人気となり、本まで出し、講座も毎回人気とのこと。

「教える」というと、壇上から大層なお話をしなければならないプレッシャーがあるかと思いますが、「新しく面白いことを知るキッカケをつくる」くらいなら、気軽に考えられる気がしませんか。

まずはハードルを下げてみましょう。
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あなたの知見が役立つ「別の土俵」を見つける

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「宣伝会議」のコピーライター講座のような、プロが同じ業界のプロに教える講座なら、経験3年程度の「並の」人が講師を努めるのは難しいでしょう。

しかし、他業界の新規事業のコンセプトづくりに困っている人にとっては、コピーライターが一番最初に習うことすら、目新しく役立つものであったりします。

そのように、「自分の知見を必要としている異分野の人を探す」という視点を持つと、可能性が見えてきます。あなたも何年か仕事をしていれば、何かしら、他の人は知らないこと、できないことを持っているはずです。そしてそれは、必ず誰かの役に立つ。

ポイントは「抽象化」してみることです。

例えば、小学生向けの教材をつくっていた人がいました。

その専門性をそのまま「子供向けの教材編集」とするのではなく「子供でも分かるように、情報を編集する」と一段抽象化してとらえ直せば、それを必要と感じている人は格段に増えるでしょう。
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のめり込めれば、未経験でも教えられるくらいになれる

 
実は、私が講座づくりを仕事として始めたのは、わずか3年前のことです。ひょんなご縁で社会人スクールから声がかかり、未経験だったものの、やってみたら性に合っていたのです。

のめり込めることなら、あっという間に上達するもの。未経験だからといって尻込みすることはありません。私はワークショップ・デザインのプログラムを修了していますが、受講し始めたのは、講座づくりの仕事をするようになった後でした。ただお勉強するより、実践しながら受講したほうが、深く理解できます。


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自分の「コンテンツ」を見出す5つの質問

仕事でやっていることではないし、長くやっている趣味もはない。しかも、のめり込めることも思い浮かばない、という方もいるでしょう。

コンテンツの種を引き出す時、私は以下のような質問をして、その人の過去・現在・未来を掘り下げます。

・趣味とは言わないかもしれないけれど、一般の人より深く・長くやっていることは?
・たまたまやってみて、意外と自分に向いてるかも?と思ったことは?
・偏愛していることは?
・大学の専攻や今のこれまでの仕事など、「あえて」選んだものの理由は?
・これからチャレンジしたいことや実現したいことは?

これらを自問自答して書き出し、それを見てさらに「なぜ?」と掘り下げていったり、違う質問同士の答えの中の共通点を見出してみたりすれば、自分がのめり込めそうなことの方向性が見えてくるものです。

答えは、自分の中にあります。


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小さな改善と試行を積み重ねる

ある程度方向性が見えたら、実際にやってみることをオススメします。

やってみれば、ターゲットや自身のコンテンツの解像度も上がりますし、何より自分がやってて楽しいか、そうでないか、自分で感じられるようになります。

とはいえ、いざやるとなれば、人は来るのだろうか、場所はどうしよう、何曜の何時がいいだろうか、どこまで準備が必要かなど、心配は尽きないでしょう。

しかし、案ずるより産むが易しです。

集客は、冷やかしの100人より、真剣に聞いてくれる1人のほうが遙かに有用。まずは1人を見つけましょう。

日時もその人の都合に合わせて確定させ、他の人も募る。日時を決めて公開してしまえば、それが自分にとっての「締切」となって、やらざるを得ない状況に自らを追い込むことになります。

場所だって、自宅、自分や友人の事務所など、無料のところは探せばいくらでもあります。カフェでやる人もいます。最近はオンラインも当たり前になりました。

手間や経費を最小限にすれば、続けやすくなります。1回を必ず成功させようと気負うより、気軽な形で続け、いろんなことを試してみて、改善を重ねていく方が、成功への近道です。

満足した人がリピートしていけば、少しずつでもにぎわいが増していきます。有償でも人が集まるようになれば、予算の心配もなくなります。

最初から完璧で人気講座になることなどは、普通はないと思いましょう。とりあえず、気軽に始めてみませんか。

まずは1ヶ月先のどこかの2時間、仮決めのタイトルでいいので、講座名を書き込んで、興味を持ちそうな人に声をかけてみましょう。

それが、はじめの一歩になるのです。


まとめ:「自分が教えられるテーマ」を発掘するには?
1.   ハードルを下げる
2.  別の土俵を見つける
3.  改善と試行を積み重ねる
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高橋龍征

高橋龍征

(たかはし たつゆき)conecuri合同会社 代表、WASEDA NEOプロデューサー、情報経営イノベーション専門職大学 客員講師。SonyやSamsungで事業開発等に携わった後、起業を経て、早稲田大学の社会人スクールWASEDA NEOで事業創造xデザインを中心とした講座の立ち上げを仕事としている。2019年は自身主催を含め200講座を企画するなど、主催を含め、複数のコミュニティ運営に13年以上携わる場づくりの実践家。企業、非営利団体、個人のコミュニティづくりや、コンテンツによるプロモーションを支援している。 facebookでのコミュニティ https://www.facebook.com/groups/online.events.knowledge/