のろけを超えて
批判までいくのは
バランスをくずしている
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太い道を外れる不安と同時に、もうひとつ過剰な希望もあるものです。だから前に進めます。お花畑という状態です。ぼくも当時、「起業こそが唯一で最高の生き方だ」と信じようとしていました。しかも、自分にとってだけでなく、だれにとってもそうだろうと。
結婚も似たところがありますね。結婚こそ最高の生き方だと、新婚さんたちの中にはハイテンションで説く人もいます。「私たち幸せなの」というのろけはウェルカムですが、「結婚しない人たちは、なんて人生を損しているのか」と批判までされると困ってしまいます。同じように、旅熱にうなされている人もそう。旅に出ないなんてカッコ悪いとか。貧乏はありえない、株でお金を稼がないと、という人もいるし、賃貸より持ち家だ、と熱弁する人もいる。
何でもそうなんですけど、自分の幸せを静かに語るだけならいいんです。でもそれをマイクをもって絶叫しだしたり、人を批判するまでいくと、近所迷惑になってしまいます。大声を出している人を見たら、この人は何か変だなと距離をとったほうがいい。それは本人も気づいてないけど、不安に舵をのっとられた状態です。
本当に幸せな人は、自慢も批判もしません。満たされてるので、他人からの賞賛など求めないのです。自慢したくなるのは、どこかで不安があったり、自信がもてなかったりするからです。自慢をして、「いいなぁ」とうらやましがられて、「やっぱり俺の選択は間違ってない」と安心するのです。他人からの評価がないと、不安でしかたないのです。自分が本当に満たされてたら、力づくで他人を引っ張り込むようなことはしません。おすすめはするけど、「お口に合うかわからないけど、よかったらどうぞ」くらいな軽いもの。それ以上、踏み込むことはしないのです。
(約710字)
Photo: Cincono-