舛廣純子が聞く「しなキャリ図鑑」 【第22話】 育爪士(いくづめし)のチカラ / 嶋田美津惠さんの場合

masuhirojunko_long_banner顔は鏡をみないと認識できませんが、爪なら自分でいつも見ることができますよね。「手=自分」という風に認識できたなら、自信を持てるようになります。爪を嚙む癖がある人は、人に見られたくないので手を引っ込めがちですが、爪を嚙まなくなってきれいな爪になると、逆に「見て!見て!」っていう気持ちになるみたいです。中身すらも変わって
連載「しなキャリ図鑑」とは  【毎月2回更新 / 第2第4月曜】
「しなやかに生きる人のためのキャリア図鑑」の略称。キャリアカウンセラー舛廣純子が、イキイキと働く仕事人にインタビューし、その仕事に大切なチカラを中心にキャリア・仕事そのものも掘り下げます。10年後の未来に自分がどんな風に仕事をしているのかも見えづらくなった今の時代。インタビューを読むことで、自分の持っている力にも気づいたり、したことのない仕事に興味を持ったり、これから伸ばしたい自分の力を見つけられたなら、あなたの仕事人生も変化に対してさらに強くてしなやかなものになっていくかもしれません。

 

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第22話   育爪士(いくづめし)のチカラ 
思い込みを変え、「健康で美しい爪が自然に育つ」のをサポートする

TEXT : 舛廣 純子

嶋田美津惠

教えてくれた人 
嶋田 美津惠(しまだ みつえ) 育爪士 

1964年、東京都生まれ。1993年に大阪・梅田、1995年に東京自由が丘にネイルサロンをオープンする。2003年、化学物質過敏症を発症し、一切の有機溶剤が使えなくなる。これを機に、有機溶剤を使わない爪のお手入れだけのサロンに完全移行。その後、コンセプトとなる「育爪」「爪育」を商標登録する。サロンには、ナチュラルなお手入れを希望する人や、爪の悩みを抱える人たちからの予約が絶えない。また、プロを目指す人のための講座の他、各種カルチャーセンターで一般向けの人の講座も行っている。 育爪サロンラメリックHP:http://ikuzume.jp/


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<育爪士にとって大切な能力はなんですか?>  
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1. 思い込みを見つけるチカラ     課題発見力 

毎日の生活習慣が「今の爪」を作っています。私のお店には、爪を伸ばしたいのに伸ばせない、という悩みを持った人がたくさん来店しますが、その人の爪は伸びない爪なのではなく、何が伸ばせない原因になっているのかを知らないだけなのです。もし、私がその人と同じ生活習慣を続ければ、私の爪も伸ばすことはできなくなるでしょう。爪を使ってシールや汚れをはがしたり、爪切りを使って爪の白い部分をすべて切り取ったり、何年も続けてきた習慣を変えるのは難しいと思われがちですが、本気で決意をすれば習慣はすぐに変わります。だからこそ、私たちは、まず、その人が持っている「自分自身では気付いていない思い込み」を見つけることが重要です。例えば「爪は硬くて便利な道具だ」「白い部分を切らないとゴミが入って汚い」といった思い込みが見つかると、それが今の生活習慣を生み出していて、今の爪を作っている、ということが理解できるようになるのです。

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2. 中立を保つチカラ     チームワーク力 関係構築能力 公平性 

育爪士はお客様と二人三脚で素の爪を育てます。もし、お客様が上でお店のスタッフが下、と考えていると、緊張してうまく施術ができなかったり、爪が育ちやすいように、お客様の生活習慣を変えていただくアドバイスも「こんなこと言ったら怒られるのではないか」と緊張や恐れで適切に伝えることができず、結果的に、爪を育てることができません。逆に、知識も経験もある自分のほうがお客様より上、と考えていてもうまくは行きません。お客様に対して威圧的な態度になったり、見下した態度になったりしては、お客様の信頼を得られないからです。「この人は本当に私のためを想って言ってくれている。この人の言うことなら信頼できる。信じてやってみよう。」お客様がそのように感じて、はじめて、長年の生活習慣を変える決意が生まれます。

また、育爪士は一人のお客様に対して2~4人で施術をします。例えば、右手に一人、左手に一人、足に一人、最後の仕上げに一人といった感じです。スタッフの中に上下関係があると、「この仕事は新人がやるべきなのに」「先輩に嫌われないようにしなきゃ」といったスタッフ同士の無言の駆け引きが生まれ、肝心のお客様への施術がおろそかになり、限られた時間内で質の高い施術をすることができなくなってしまいます。

育爪士の仕事は、施術工程を細かく分解すると10工程くらいあり、新人スタッフができるのは3工程ぐらいで、残りの7工程は、先輩スタッフが担当しています。新人スタッフが電話応対やお茶の用意、消耗品の補充といった施術以外の仕事も担ってくれることで、先輩スタッフは7工程の施術に専念できます。チームで一人一人が確実に自分の工程での高いケアができるからこそ、お客様は安心して新人スタッフに自分の爪を預けることができるのです。また、新人スタッフが早くから確実にできる工程のみを担当し、実際のお客様の爪を施術することで、結果早く成長して、先輩スタッフを助けることにもなっています。

育爪士に必要なのは、お互いに助け合えるチームワーク。そしてチームワークで施術が成立しているという事実を認識して、中立を保つことなのだと考えています。

 

3. 好循環を生み出すチカラ  受容性 寛容さ 

お客様は、自分ひとりでは解決できない、「爪の悩みを繰り返す悪循環」から抜け出すために、専門家の力を借りたくて来店します。例えば、爪を噛む癖があるお客様に「噛みたくなったら爪にオイルを塗ってください。噛みたくならなかったとしても1日に5回以上塗ってください。」とお伝えしても、実際には、お客様は、塗る日と、塗らない日があります。次に来店したときに爪を見ればわかることですが、そのときに「なんで言ったことを守らないんですか? 塗るって言いましたよね?」と責めると、お客様は「自分は意思が弱いダメな人間なんだ」と自信とやる気を失います。ストレスを感じて、ますます爪を噛むようになり、悪循環が強化されてしまうのです。逆に、「塗れたときも、塗れなかったときもあったんですね。でも、右手の薬指の爪の周りのささくれが減りましたね。すごいじゃないですか。」というように、できなかったことを責めるのではなく、たった一つでもできたことを見つけて褒めると、お客様にも自信とやる気が出てきて、好循環が回り始めます。

スタッフの誰かがミスをしても、「間違えました~」「忘れていました~」と気軽に言える雰囲気だと、スタッフもお客様もリラックスできます。人はリラックスしているときに本来の力を発揮でき、逆に、焦ったり、動揺したり、恐怖を感じるときには、知性が低下して本来の力を発揮できないようです。育爪士は一人のお客様に対して2~4人で施術をするので、スタッフの一人がミスで萎縮していて、もう一人が「ミスのせいで時間が無くなった」と焦りと怒りを感じていたら、チームのうち二人が本来の力を発揮できないので、いつもより時間が長くかかり、さらに施術の質も低くなってしまいます。

「怒る」という状況は、情報不足によって生まれた「誤解」だと思っています。細かい部分まで正確な情報を交換して、お互いの状況を深く知ることで、お互いに思い込みや勘違いに気づき、誤解が解けます。誤解が解けると、一つのミスが悪循環に発展することなく、逆に、自然に助け合ったり、協力し合ったりする好循環に発展します。

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1人のお客様を2~4人の育爪士で施術する

1人のお客様を2~4人の育爪士で施術する


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<なぜ育爪士になったのですか?>  
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実は目標や計画があったわけではないのです。その時々にやりたいと感じたこと、ひらめいたことをやり続けていたら、結果的に育爪士になっていました。

もともと私の爪は短く、爪を飾ることに全然興味はなかったのですが、細かい作業が好きだったため、爪という小さな部分に色を塗ったり、削ったりすることに興味がわいて、ネイルスクールに通うようになりました。ネイルスクールでは、練習のために爪を伸ばさなくてはならず、それまで伸ばしたことがなかった爪をやむなく伸ばすことにしたのですが、伸ばしている最中も、ともかく爪にゴミが入るのが嫌で、爪先をあまり使わず、指の腹をできるだけ使うようにしていました。

スクールが終わる頃、ネイルカラーを落としてみると、小さくて丸かった私の爪は、細長くてキレイな形に変わっていました。ずっと、自分の爪が小さいのは生まれつきだと思っていましたが、爪の形が変わることを自分の身をもって実感したのです。「爪の形は生まれつき」という思い込みから、「爪の形は変えることができる」という確信に変わりました。

当時は、ネイルスクールで習う技術が面白く、カラーリングの練習だけでなく、スカルプチュアという技術を極めようと、別のスクールにも行きました。スカルプチュアは、液体状のアクリル樹脂を爪の表面に塗って、乾燥させて固まった後に、彫刻のように削りながら人工爪をかたち作っていく技術です。たくさん学んで、もっとネイルの細かい作業をやりたいなと思った時に、ふと「お金を支払ってばかりなのがもったいない」と気付き、大阪のネイルサロンで働き始めました。

スカルプチュアを付けにいらっしゃるお客様の悩みの多くは、かつての私と一緒で「爪が生まれつき小さいから」でした。「本当はそんなことはない」と私は自分の体験から知っていたのですが、スカルプチュアを売り物にしているネイルサロンに勤めている限り、「スカルプチュアはいらないですよ」とは言えないわけです。

短い爪のお客様にいろいろヒアリングしていると、爪を伸ばすことのできない理由の多くは「伸ばしている途中で爪が欠けてしまう」「伸ばすと先っぽが広がって扇形になるのがイヤで短く切ってしまう」の2つでした。伸ばしても、欠けづらくて、しかもキレイに見える爪の形があるのでは?と思い、毎日、いろいろな形を試行錯誤しました。そしてついに、その形を見つけました。そうしたらもう「2万円もするスカルプチュアをつけなくていいですよ」とどうしても言いたくなってしまって、笑。それで独立してお店を開くことにしました。「人工的な爪よりも、絶対に自前の爪のほうがいい」と確信していたので、私の中に迷いは全くありませんでした。

一号店は大阪でしたが、実家に戻らなくてはいけなくなり、東京にも働き場所を作らなきゃと思って、東京に二号店を作りました。

その後、ネイル材料に含まれる有機溶剤が原因で病気になりました。それを機に有機溶剤をすべて辞めざるを得なくなり、「ネイルサロン」から、健康でキレイな素の爪を育てる「育爪サロン」に転換しました。2003年の8月でした。その時に、ネイリストから育爪士に変わったんです。実際に「育爪」というネーミングが生まれたのはその時から3年後ですが、施術内容はその時からがらりと変わりました。

自由が丘店は新規での予約もウエイティングリストでの順番待ち

自由が丘店は新規での予約もウエイティングリストでの順番待ち

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<育爪士とはどんな仕事?>

生まれ持ったありのままの爪をお客様と一緒に育てて、お客様に幸せになってもらう仕事です。お店には、爪を噛む、爪が薄い、すぐに欠ける、形が悪い、ピンク色の部分が小さい、といった悩みを持ったお客様がいらっしゃいます。そういった悩みを解決するために、育爪士は大きく分けると2つのことをします。一つ目は、お店で施術して、健康でキレイな爪が育ちやすい状態をつくることです。爪が途中で欠けずに伸びやすい長さと形に紙ヤスリで整え、爪の表面にこびりついた薄皮をはがし、低温圧搾したオーガニックオイルで爪と皮膚を保湿します。二つ目は爪の悩みを生み出している生活習慣を、健康でキレイな爪が育つ生活習慣に変えてもらうことです。お店に来ない間にも、爪を当てない指の使い方をしてもらい、一日に5回以上、オイルを爪の裏側から塗ってもらいます。このようにして、二人三脚で健康でキレイな素の爪を一緒に育てていきます。

 

 

爪やすりで断面を整える。この爪やすりのミニサイズを書籍の付録にしたくて奔走した。

爪やすりで断面を整える。この爪やすりのミニサイズを書籍の付録にしたくて奔走した。

一日に5回オイルを塗ることで、しなやかで折れにくい爪にする

一日に5回オイルを塗ることで、しなやかで折れにくい爪にする

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<一日の仕事スケジュールは?>

私の平均的なスケジュールはこんな感じです。

7:30    起床
9:55     出勤
10:00   施術(1日あたり20~30人)
12:30    昼食
18:00   退勤
19:00    帰宅
24:00    就寝
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帰宅から就寝までの間に…
 ・スタッフひとりひとりへ手書きで手紙を書く
 ・夫と将来のビジョンや目先の課題を話し合う
 ・他業種でうまくいっている事例を本や音声や映像で学ぶ
といったことをしています。
 
 

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<仕事のやりがいや面白みはどんなことですか?> 

スタッフやお客様が、ありのままの自分をどんどん好きになって、どんどん幸せになっていくことです。スタッフが自分自身のことを好きになって幸せになると、お客様との接し方が変わります。接し方が変わると、お客様は、安心してスタッフを信頼してくれるようになります。すると、爪を育てるために欠かせない習慣を自ら進んで日常生活に取り入れてくれるようになります。

顔は鏡をみないと認識できませんが、爪なら自分でいつも見ることができますよね。「手=自分」という風に認識できたなら、自信を持てるようになります。爪を噛む癖がある人は、人に見られたくないので手を引っ込めがちですが、爪を噛まなくなってきれいな爪になると、逆に「見て!見て!」っていう気持ちになるみたいです。そうやって、中身すらも変わっていくお客様を見て、「すごいな」と心から思います。「人前で堂々と手を出せて、自信が持てた、転職した!」なんていう方もいらっしゃるのですよ。

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<もっとも嬉しかった経験はどんなことですか?>

日々、スタッフのみんなと一緒に、お客様に施術してお話できるのが嬉しいです。日常的でないことで最近嬉しかったのは、本を出版したことです。長年のお客様が知り合いの書籍編集者を紹介してくれたり、勉強会で仲良くなった出版経験のあるご夫婦が原稿の書き方のアドバイスをくれたり、付録につける爪やすりを予算に合うコストで製造してくれる会社が見つかったり、出版の話が来る前に夫が遊びで作った本のイメージ画像がそのまま本の題名になったり、不思議な偶然がいくつも重なって実現しました。育爪が生まれたきっかけになった病気のことを書けたので、病気も悪い面ばかりではなく、良い面もあることを伝えることができて本当に嬉しいです。

 

サロンに来れない方にも育爪を知ってほしい。そんな思いで出した本「育爪のススメ」マガジンハウス 

サロンに来れない方にも育爪を知ってほしい。そんな思いで出した本「育爪のススメ」マガジンハウス

 

<逆に今まででもっとも大変だった経験は?>

 

ネイル材料に含まれる有機溶剤で化学物質過敏症になったことです。視神経が侵されて、目の上下運動ができなくなりました。免疫力も落ちて、毎日、高熱と息苦しさと、重りを背負ったような身体のだるさがありました。身体中の粘膜からは、ウミと血が出ました。

有機溶剤から離れて6年くらいたたないと回復には向かわない、と医師に宣告されました。有機溶剤はネイルカラー(マニキュア)にも、透明のコート剤(ベースコート、トップコート)にも、リムーバー(除光液)にも入っています。私は先生に「このままネイリストを続けていたらどうなるのですか?」と聞くと、「免疫の病気になるかもしれないよ」と言われました。その言葉から、膠原病(こうげんびょう)や白血病を連想しました。完治はしない、と医師から告げられたのもショックでした。

それよりも辛かったことは、独立してから10年間通い続けてくれたお客様たちとお別れすることでした。そして、もう一つ辛かったことは、11年間積み上げてきた大好きなカラーリングの施術を捨てることでした。その2つとお別れすると思うと、自分の一部が無くなるようにすら感じました。

今までしていたことが急にできなくなって、私はそこから何ができるか考えに考え抜きました。そうして生まれたのが育爪でした。病気が育爪を生んでくれました。

実は、病気に私が選ばれたのかもしれない、と思っているところもあるのです。私の身体に起こった事実を伝える使命があるのではないかとさえ感じています。

 

 

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<育爪士の仕事の未来はどうなっていくと思いますか?>

育爪士の存在目的は将来も変わらないと思います。その一方で、誰でも爪を育てることができるように、考え方や技術を伝えていく仕事が増えてくると感じています。ネイル業界は今、大きな転機を迎えています。業界最大組織の日本ネイリスト協会は、ネイルサロンの行き過ぎた価格競争が、サービス品質の低下によるお客様離れを招いていると警告しています。そして、「質の高いネイルケア」を施術メニューに用意することで、華美な装飾を望まないお客様や、安売りでない丁寧なお手入れを望むお客様を取り込んで、お客様の層を拡大する必要があることを力説しています。今後は素の爪のままお手入れして、素の爪のままお帰りいただく施術を提供するサロンが増えてくると思います。その時に、2003年から素の爪のお手入れにしぼって施術をしている育爪士の経験を共有することで、「質の高いネイルケア」を求めているネイリストさんや、ネイルサロンさんのお役に立てるのではないかと思っています。

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<今の仕事と同じように向いていそうな仕事はありますか?>

占い師のような、人生相談の仕事が向いていると思います。なぜか小さなころから、よく人から相談を受けていました。スタッフやお客様から、人間関係、健康、仕事、私生活の相談をよく受けます。多くの場合は、問題を生み出している思い込みがあります。その思い込みを見つけ出して、その思い込みが本当に必要なのか? 役に立っているのか?を検討してもらうと、思い込みが変わって、解決します。大きな問題が一つ解決すると、ほかの問題も芋づる式に解決して人生がうまく行くようになります。爪も同じで、爪の悩みが解決すると、自信が出てきて、考え方が前向きになります。失敗することや他人の目が怖くなくなって、自分の好きなことや本当にやりたいことをするようになり、人生の悩みもなくなってしまう方が多いのです。

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キャリアカウンセラー舛廣純子の  シゴトのチカラ考察  .

 

はじめてお会いした時、穏やかでゆったりとした物腰で、受容的に微笑みながらお話しくださる嶋田さんを見た時、カウンセラーのような空気感を持った方だなと思いました。まるで古くからのお友達の家に遊びに行ったようななんとも言えない安心感に包まれたのですが、育爪士のお話を聴くにつれ、「なるほど。これはキャリアカウンセラーとも共通点の多いお仕事だな」とすぐに、その空気感の理由に納得しました。

私は大学生の就職支援で就活コーチという肩書も持っていますが、嶋田さんの育爪士というお仕事も言うなれば育爪コーチ。爪が伸ばせないでいて困っている人の伸ばせない原因である思い込みや習慣を見つけ出し、お客様に寄り添いながら、お客様との対等なパートナーシップを築くための中立性と好循環を生み出す受容性を持ち、美しい自然な爪というゴールに向かって、伴走します。やりがいに至ってもその人の変化を見られるのが嬉しいとのことで、全く一緒。手先さえ器用であれば、私も育爪士向いているかもしれないなぁ、インタビュー中何度もそう思いました。

育爪士はきれいに爪にネイルアートをするネイリストとは、同じ爪の仕事なのに全く異なる仕事なのです。

「病気が育爪を生んでくれました。実は、病気に私が選ばれたのかもしれない、と思っているところもあるのです。」と、いたずらそうに微笑む嶋田さんは本当にポジティブで誰に対しても何に対しても感謝の気持ちを持てる方でした。きっとそんな嶋田さんの温かく前向きなエネルギーに吸い寄せられて、楽しみに来店されるお客様も多いのだと思います。

「その時々にやりたいと感じたこと、ひらめいたことをやり続けていたら、結果的に育爪士になっていました。」という嶋田さん。ご自分のことをはまりやすい性格ともおしゃっていましたが、合目的に先を見ずとも、楽しい、ワクワクすると思うことにのめり込んで、道を進むチカラがあれば、やがて道は拓かれていく―そんな勇気をもらったインタビューでもありました。

 

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(次回もお楽しみに。毎月2回、第2第4月曜更新です) =ーー

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 過去の舛廣純子さんの働きかたエッセイ 

TOOLS 13   自分を好きになるリフレーミング
TOOLS 19   後悔しない道の選び方(前編)
TOOLS 20  後悔しない道の選び方(後編)
 

舛廣さんってどんな人?

PEOPLE 04 舛廣純子(キャリアカウンセラー)
就職は子育ての最終章。就活生の親に読んで欲しい本を出版

 


舛廣純子

舛廣純子

ますひろ じゅんこ フリーランスキャリアカウンセラー。1972年、東京都出身。日本女子大学人間社会学部文化学科卒業後、化粧品商社に営業職として入社。会社の民事再生、自身の出産・育児を機に2 回の転職を経験。自らの転職経験からキャリア支援に関心を持つようになり、社会保険労務士、キャリアカウンセラーの資格を取得。2007 年、キャリアカウンセラー・講師として独立。大学生の就職支援・キャリア教育、社会人の転職支援・キャリア形成支援を中心に活動。支援学生の高い就職率とわかりやすいセミナーには定評がある。特技は長所探し。2013年12月に学研教育出版から『就活生に親が言ってはいけない言葉 言ってあげたい言葉』を出版。ブログ:http://ameblo.jp/shuukatsumamanoblog/