ちいさなお店をはじめたこと。~等身大で、自由な働きかた~【第22話】おしゃれに見せるって難しい! イベントのディスプレイで四苦八苦。

ノマディッククラフトヨメのちいさなお店をはじめたこと。

ブースは、大切に思う世界観を表現する場です。いつも一生懸命ブースを作るのですが、どうしても「バッチリ!」というところまで持って行けず、「センスのいい人うらやましいな、もっとがんばらなきゃな」と日々悩みは尽きません。sasamoto_s

 

第22話 おしゃれに見せるって難しい!イベントのディスプレイで四苦八苦。

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こんにちは、ノマディックラフト ヨメです。

イベント続きの夏もいよいよ終盤。今週末8月26日(金)~28日(日)は新潟・佐渡で開催される「アースセレブレーション」に初参加させていただきます。店主もヨメも(レラも)佐渡は初めて。新しい出会いの予感に、今から胸を躍らせています。

多くの人に少数民族の手仕事に触れてもらいたい、と願いながら、ここ1年のノマディックラフトは積極的にクラフトやアートのイベントに出店してきました。今でこそブース設営の手順もなんとなく定まって、限られた時間内にディスプレイを終えられるようになりましたが、出店を始めた当初はタープテントの立て方すら知らないヘナチョコ夫妻。見やすく、おしゃれに商品を置くことについては、今日もまだまだ悩み、探りながら続けています。

イベントで知り合う作家さんとも「ディスプレイって難しいですよね」という話が出るのはしょっちゅう! そこで今回は、イベントに出店するときのブース設営の手順をご紹介。自分なりのよいやり方を見つけるたたき台になれば嬉しいです。

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移動してお店を開く、
楽しいけれど準備も大変!

屋内・屋外それぞれイベントがありますが、夏のこの時期は屋外のイベントが主。持参したタープテント+その周辺スペースを利用してブースを作ることがほとんどです。定番的な雰囲気はこんな感じです。

横浜「大さん橋フェスタ」にて

横浜「大さん橋フェスタ」にて

通路に面してテーブルをL字に置き、自分たちはその奥に座る、というスタイル。折りたたみテーブルや箱を使って、高さに上下をつけて商品を置いています。上の写真は室内なのでテントの屋根をはずした骨組みだけを設置して、商品を吊るすのに利用しています。

下の写真は屋外の例。先ほどと基本は変わりませんが、テーブルの数が減って少しコンパクトになっています。

築地「安穏市場」にて

築地「安穏市場」にて

こんな小さいテントひとつ分のスペースですが、細々としたアイテムが多いせいもあってか、準備にはだいたい1~1.5時間ほど。設営までの手順はこんな感じです。

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到着時です。ぎゅうぎゅうに荷物を積んだ舞台裏すぎる写真で恥ずかしいですが、先ほどテントに置かれている什器+商品群を積み込むとこのくらい、という参考になればと思います。車種はトヨタのシエンタ。実は私たち車を持っていないので、イベントのたびに店主の実家にお借りしに行っています。お父さんお母さんありがとう!

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ブース位置を確認したら、荷物を置く拠点としてテントを設営します。こちらは通販で12000円くらいで購入した「コールマン」のタープテント。組み立てが非常に簡単で、10分もあれば設置が完了します。「ベージュやグリーンなど、落ち着いた色にすればよかったかも…?」と思ったこともありますが、イベント時に「パープルのテント」というと見つけてもらいやすい、というメリットもあります。

テントを立てたら、あとは車からどんどん荷物を降ろします。地面に直接置けないものもあるので、前もって地面にシートを敷いておくと便利です。

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まずは商品が入っているプラスチックケースを空にします(中身はシートの上に仮置き)。それからケースを二段に重ね、上に板を乗せて簡易なメインテーブルにしています。次に折りたたみ式の簡易テーブルを2つ、L字になるように設置します。

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上から布をかけて、ディスプレイのベースが完成!足もとにチラッとプラスチックケースなどがのぞいてしまう部分は、この後ボックスなどを置いて隠していきます。

本当は「置くだけで雰囲気が出る、木のテーブルが使いたい」なんて話もあったのですが、なかなかイメージ通りのものが見つけられず、DIYしようしようと言いながら日々に流され(お恥ずかしい)…ということで、現在の形に落ち着いています。使う布がブースの雰囲気を左右するため、タイで見つけてきたターイ族の古布を選んで、少数民族の手仕事らしさが出るように意識しています。
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「おしゃれに飾る」難しさ
悩みは尽きず、毎回ため息…

さて、ここまでは単なる「設置」ですが、次はどれだけ見やすく、雰囲気を壊さず商品を置くか、という「ディスプレイ」がスタート。これが難しくて、いつも試行錯誤が続いています!

◆箱はいくらあっても困ることなし!

先ほどの写真で、テーブルの上にたくさんの箱が置いてありましたが、これらは譲っていただいたり、買い足していったものです。重ねることで簡易な棚として高さが出せますし、アイテム毎に空間を分けられるので便利。テーブルの上に置いても、地面に置いてカゴ的に使ってもOK。

新宿「OZONE」クラフトマーケット」にて

新宿「OZONEクラフトマーケット」にて

上の写真は、室内で小さめのブースで出店したときの様子。横幅を広げられないため、箱を重ねることで高さを出して商品を置くスペースを広げています。足もとは本来デッドスペースになるところですが、大きさ違いの箱をいくつか置くことで、置けるアイテム数を増やし、高さをランダムにして単調に見えないようリズム感をつけています。

アイテムが少ないと、すっきり整然と見せるのがカッコいいように思うのですが、私たちが扱う少数民族の手仕事は色も素材も様々なので、探してみたくなる良い意味でのごちゃっと感を出すようにしています(それが正解かは今も模索中ですが…)。

四角く仕切られた棚は、駅ビルにあるリーズナブルなインテリアショップ「Salut!」で見つけたもの。

四角く仕切られた棚は、駅ビルにあるリーズナブルなインテリアショップ「Salut!」で見つけたもの。

最初のうちは「見た目の雰囲気が大事」と、アンティークのベジタブルボックスなどを探していたのですが、なかなか見つからないうえ、見つかってもサイズや状態がまちまち。今でも古道具店などで偶然よい箱を見つけると、都度買い足してはいるのですが、思うようには揃いません。

結局、やや妥協的な気持ちで購入した(作っている方、すみません!)、2000円前後のリーズナブルなディスプレイ用ボックスは、規格サイズが決まっており、足りなかったら同じ物を買い足せるため想像以上に大活躍。気にしていた「チープに見える問題」は、ダークブラウン系の色で木の質感があるもので統一し、落ち着いて見えるよう工夫しています。

◆古道具や古布など「本物」をとり混ぜよ!

先ほどの「箱」などリーズナブルなものを活用するなら、テーブルにはアンティークの古布をかける…のように「本物」を混ぜてバランスを取るのが大切なように思います。安く買えるものが偽物だとは思いませんが、丁寧に人の手で作られた物や、時を経ても愛され生き残ってきた物は、ひと目見て違いが分かる説得力をはなっているので、その雰囲気がディスプレイに力をくれるように感じます。

以前、百貨店の催事に出たときは『JUJU』のデザイナー前田さんがアクセサリーを置くための什器を貸してくださいました。

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二子玉高島屋にて

二子玉高島屋にて

アンティークのお盆台です。こちらをお借りしたことで、ディスプレイ空間によい意味での重々しさが加わったのを感じました。古道具が持つ、新品にはかもし出せない迫力や説得力のパワーを感じた瞬間です。

テーブルの上など、平面にアイテムを置くときは、古い布やトレイでジャンル毎にスペースを仕切る方法もあります。下の写真は『JUJU』さんのアクセサリーを置いている様子。ベースにターイ族の古布(紺色)を敷き、その上にモン族の古布(左右ピンク色)を置いて、ピアスやブレスレットをジャンル分けしています。中央の木箱は、目黒通りのインテリアショップで買った古道具のブリキ木箱です。

新富町「btf ANNEX」にて

新富町「btf ANNEX」にて

イベントの時は、時間とスペースが限られているぶん「お客様にたくさんの手仕事を見ていただきたい!」と前のめりになりがち。商品をぎゅうぎゅうに置くマーケットのような演出、というのも方法のひとつですが、ほんの少しだけでも「飾る」スペースを作ると、お客様の目が休まるポイントになるのか、会話のきっかけが生まれます。

たとえば、こちらの写真はベトナム・ハノイで購入した現地のフォトグラファーの写真。足もとに飾っておくと「この人も少数民族なんですか?」と話しかけていただくことがよくあります。多肉植物も、植物ゾーンにまとめて置くだけでなく、こうして彩り役として飾っておくと、お部屋に置いたときのイメージが分かりやすくなるようで、手にとっていただきやすくなるようです。

色数が多く、ごちゃごちゃ見えがちだからこそ「飾る」をとり混ぜて、目を休めてもらうとメリハリがつくよう。

色数が多く、ごちゃごちゃ見えがちだからこそ「飾る」をとり混ぜて、目を休めてもらうとメリハリがつくよう。

 

センスのいい先輩たちから
学びつつ一歩一歩

 

こうやって書いてきましたが、人様に何か言えるほど上手なディスプレイはまだできません。イベントに出るたびに、手を変え品を変え、工夫を続けてちょっとずつ改善している道の途中。何回イベントに出ても、毎回発見があり、どうすればもっと上手に飾られるだろうか歯がゆい思いは尽きません。

振り返れば「btf ANNEX」「@btf」さんで展示をさせていただき、イベント主催の青木さんはじめ、アートの現場にいる方たちのディスプレイテクニックを間近で見せていただいたことが血肉になりました。また催事やイベント参加を強化するにあたり、『JUJU』デザイナー前田さんが展示をお手伝いくださり、飾り方についてたくさんのアドバイスをいただけたことも「がんばらなくては!」と願う大きな力となっています。

勝ちどき「@btf」さんにて

勝ちどき「@btf」さんにて

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自分たちのブースは、大切に思う世界観を表現する場です。いつも一生懸命ブースを作るのですが、どうしても「バッチリ!」というところまで持って行けず、「センスのいい人うらやましいな、もっとがんばらなきゃな」と日々悩みは尽きません。海外のマーケットのおしゃれなディスプレイスナップを集めたり、上手にイメージを伝えている他のブースを見て勉強したり、小さなことを少しずつ積み重ねながら、自分たちらしいスタイルを深めていきたいと思います。

次回もちいさなお店からお話をお届けしますね!どうぞお楽しみに!

 

ノマディックラフトのイベント出店情報

アースセレブレーション2016
8月26日(金)~28日(日)
佐渡を拠点に活動する和太鼓集団「鼓童」が主宰。舞台、音楽、アート、文化や芸能を通じて学びや体験をわかちあうクリエイティブなイベント。ノマディックラフトは、会期中ハーバーマーケットに出店いたします。ハーバーマーケット
10:00~22:00 ※最終日~21:00 @小木みなと公園
出会いと交流が生まれる市場「ハーバーマーケット」。今年は佐渡島に始めて登場する移動式野外アートプロジェクト「シネマキャラバン」とコラボレーション。三夜、非日常のスクリーン空間が出現します。

金沢文庫芸術祭~子どもの未来は地球の未来~
オープニングフェスティバル
9月18日(日) @横浜市金沢区「海の公園」
約2ヵ月の芸術祭開催を飾るイベント。アート、クラフト、デザインなどのショップや展示、音楽やダンスのライブなどたのしいイベント、ワークショップが開催されます。

(隔週土曜更新です)
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 連載バックナンバー

第1話 家=店。人が思うよりもずっとちいさな投資でお店をはじめてみた(2015.6.13)
第2話 店から出て人に会う、出会いをつくる。〈イベント出展篇〉(2015.6.26)
第3話 1人2役 × 2。兼業夫婦は不安定? 時間も予定も「自由」のメリット・デメリット(2015.7.11)
第4話 なんで「少数民族の手仕事」? それはやっぱり「好き」だからです(2015.7.25)
第5話 暑さに負けず蚊に負けず。探して洗って、よみがえる古布たち 〈 仕入れ旅篇 〉(2015.8.8)
第6話 どうしてそんなに自由なの!? 現地の人たちと商品を作る(2015.8.22)
第7話 モン族の女性に聞いた、美しい刺繍の裏側にある物語(2015.9.5)
第8話
 小商いでも管理は大切。入るお金、出ていくお金何がある?(2015.9.19)
第9話 ショップカードにネームタグ… 地味だけど重要度は大! お店まわりのこまごま小物(2015.10.3)
第10話 大切さは名前と同じ。自分たちのロゴマークはどう作るか<デザイナー編>(2015.10.17).
第11話 大切さは名前と同じ。自分たちのロゴマークはどう作るか<実践編>(2015.10.31)
第12話 どこまでを手作りと呼ぶ? 手仕事を求める楽しさ、難しさ <買い付け編>(2015.11.14)
第13話 お客様との新たなつながり。看板犬レラが教えてくれたこと。(2015.11.28)
第14話 美しいものよ、輝け!お母さんとの約束。(2015.12.12)
第15話 生産者さんを訪ねて <鳥の笛ネックレス編(2016.1.14)
第16話 生産者さんを訪ねて <アカ族の村編(2016.1.30)
第17話 始まった… 年に一度の確定申告(2016.2.13)
第18話 手仕事は同じじゃないから美しい~『ORDINARY』とコラボグッズを作ったこと(2016.3.11)
第19話 生産者さんを訪ねて<カレン族の村編>(2016.5.21)
第20話 生産者さんを訪ねて<ラフ族の村編>(2016.6.18)
第21話 夫婦で働きながら、煮詰まったときにしていること。(2016.7.20)

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オーディナリー編集部がノマディックラフト参加の展示会を観に行った話

【レポート】遠い国の伝統的な手仕事がいっぱい!

 

【関連サイト】
ノマディックラフト ウェブサイト http://nomadicraft.com/
ノマディックラフト 店主ブログ http://blog.shop.nomadicraft.com/
ノマディックラフト Facebook https://www.facebook.com/nomadicraft
木内アキ(ライターとしての仕事) ウェブサイト http://take-root.jp/

 

 


ノマディックラフト ヨメ

ノマディックラフト ヨメ

自然・旅・民族をテーマに、タイ、ベトナム、ラオスの山岳地帯に住む少数民族の手仕事を扱う、西小山のアトリエショップ『nomadicraft』を店主であるダンナとともに運営。母から子へ、脈々と受け継がれてきた素朴で美しい手仕事を紹介しながら、作り手である女性たちに仕事の機会を提供し、貧困の和を断ち切るための支援も行っている。ふだんはフリーランスのライター・木内アキとして「女性にまつわる人・旅・暮らし」をキーワードに、雑誌や書籍を中心に執筆活動中。目標は「キチンとした自由人」。 ノマディックラフト 店主ブログ http://blog.shop.nomadicraft.com/ 木内アキ ウェブサイト http://take-root.jp/