ちいさなお店をはじめたこと。~等身大で、自由な働きかた~【第19話】生産者さんを訪ねて<カレン族の村編>

ノマディッククラフトヨメのちいさなお店をはじめたこと。

実はこの模様の中に、制作で使うすべての技法が表現されているのだそう。つまりこの布は、母から子に技術を受け継ぐための練習であると同時に、今後も柄を織っていくときには見本帳の役割もしてくれるもの。
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第19話 生産者さんを訪ねて<カレン族の村編>

 

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こんにちは、ノマディックラフト ヨメです。
たいへん長らくご無沙汰してしまって申し訳ありませんでした! 確定申告やらイベントの準備やらで、ORDINARY編集部に「ちょっとだけお休みさせてください~」と泣きついてしまい、あっという間の日々でした。今回はずっと延び延びになっていた、店主がカレン族の村を訪ねたときのお話をさせていただこうと思います。

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手作りの織機で布を織る
カレン族の女性たち

ミャンマーからタイにかけてのエリアに住むカレン族の衣装は、自ら織りあげる手織り布や、「カレンシルバー」と呼ばれる銀の装飾品で知られています。少数民族という呼び名から、どれだけ人数が少ないかを想像する人も多いと思いますが、タイ国内の山岳少数民族のなかでカレン族が最も人数が多く、およそ40万人が住んでいると言われているそうです。

民族衣装は長方形の布を使ったシンプルなポンチョが基本で、未婚の女性は白の木綿で織った丈の長いワンピースふうのポンチョを着ています。

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By Takeaway – Own work, CC BY-SA 4.0
既婚の女性は黒や紺などの色を使ったポンチョに、巻きスカートを身につけています。男性はポンチョにジーンズ、のようなスタイルが多いようです。

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たとえばこちらのおばあちゃんが着ているのが、カレン族の既婚女性が着るボーダー柄の巻きスカート。布を筒状に縫い合わせただけのシンプルな作りになっています。糸は市場で売っている市販のものを使うことも多いようですが、なかには紡いだ糸を草木で染めて織る、という昔ながらの作業をしている人も。

こちらの糸は、そんな草木染めの手法で作られた織り糸です。独特の優しい色合いが特徴で、主に樹皮などを利用して色をつけるそうです。布に織り上げ、ポンチョにするとこんなナチュラルなイメージになります。

草木染の素材

ポンチョ草木染め

 

 

 

 

 

 

 
この草木染めを作っているのは、店主と一緒に写っているこちらの女性。化学染料がかんたんに手に入るようになった今では、手間のかかる草木染めをやる人が減っている、と話してくれました。

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ちなみに、彼女の着ている黒赤のポンチョが、カレン族の人たちがよく着ている定番的な色使い。近くで見ると、細かい織りで柄が表現されていたり、刺繍が施されていたりと、大変手の込んだものです。

母から子へ
受け継がれていく技法

ノマディックラフトでも、カレン族のポンチョを取り扱っているのですが、今回はそれらを作ってくれている生産者の女性にもお会いすることができました。

ポンチョの布を織るカレン族の女性

彼女がそのひと。木や竹で作った手作りの織機で、布を作っています。カレン族の布は目が細かく、しっかりとした密度で織られているのですが、使っている糸を見てもその繊細さがよく分かります。見ていただくと分かるように、細い縦糸がぎっしり!

繊細な天然素材の糸で織りあげる緻密な生地

糸を張って、織る準備をするだけでもひと苦労であることでしょう。生地にムラができないよう、しっかりと横糸を打ち込みながら、針のような細い道具を使って縦糸をすくい取り、浮き柄を生み出していきます。

カレン族のポンチョに特徴的な浮き柄

そうやって作られたもののひとつがこちらの作品。なんでも、彼女が15歳のときに作ったものなのだとか。美しい織布としても存在感がありますが、実はこの模様の中に、制作で使うすべての技法が表現されているのだそう。つまりこの布は、母から子に技術を受け継ぐための練習であると同時に、今後も柄を織っていくときには見本帳の役割もしてくれるもの。だから大切にとってあるのです。

「手」の生み出す
美しさに感激・・・

なかには「数珠玉(ジュズダマ)」と呼ばれる植物の実を用いたビーズ刺繍をあしらった、こんな手の込んだ織布もあります。

折柄の表面

 

あまりにもキレイだと、つい野暮な心が顔を出して裏側を見てしまうのですが、裏側を見るとこの美しい布が手で作られている様子がありありと伝わってきます。

織り柄の裏面

 

たくさんのビーズに糸を通して、玉結びで止めてある様子までしっかりと分かりますよね。これが完成するまで、どのくらいの時間がかかったのだろう、と想像するだけで感激してしまいます。

洋服は買うものではなく、女性たちが家族のために作るもの、という時代から着続けられている日常着です。手間のかかる作業を、家族のためにどんな思いで行っていたのでしょう。長く着られるように丈夫で、身につけたときに美しく、さらに幸運や魔除けの願いを込めて文様を施して。民族衣装を見ていると、私たちの身のまわりにあるあらゆるものが、誰かの手によって作られたのだ、というあたりまえの事実を忘れていることに気がつき、あらためてそのありがたみを思い出させてくれるように思います。

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さて、次回はラフ族の生産者産を訪ねたときの話をご紹介しますね!どうぞお楽しみに!

 

 

ノマディックラフトのイベント出店情報

寒い冬ももうすぐ終わり、春の訪れとともにイベントシーズンがスタートします。私たちも西小山のアトリエショップを飛び出して、各地に出かける予定ですので、どうぞお気軽に遊びにいらしてくださいね。

ベジ&フォークマーケット
@神奈川県 川崎市・麻生環境センター
5月21日(土)・22日(日) 10~16時
詳細は http://vegeforkmarket.com/
「動物性食品、乳製品、白砂糖、食品添加物を使わない」をコンセプトにした野外マルシェ、前回に続き半年ぶりの出店です。飲食店や農産物の販売のほか、手作りの雑貨やクラフトワーク、数々のワークショップ、キッズが遊べるエリアやリラクゼーションブース、アーティストによるミニライブと見どころが盛りだくさんの人気イベントです。

(次回もお楽しみに。隔週土曜更新です)
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 連載バックナンバー

第1話 家=店。人が思うよりもずっとちいさな投資でお店をはじめてみた(2015.6.13)
第2話 店から出て人に会う、出会いをつくる。〈イベント出展篇〉(2015.6.26)
第3話 1人2役 × 2。兼業夫婦は不安定? 時間も予定も「自由」のメリット・デメリット(2015.7.11)
第4話 なんで「少数民族の手仕事」? それはやっぱり「好き」だからです(2015.7.25)
第5話 暑さに負けず蚊に負けず。探して洗って、よみがえる古布たち 〈 仕入れ旅篇 〉(2015.8.8)
第6話 どうしてそんなに自由なの!? 現地の人たちと商品を作る(2015.8.22)
第7話 モン族の女性に聞いた、美しい刺繍の裏側にある物語(2015.9.5)
第8話
 小商いでも管理は大切。入るお金、出ていくお金何がある?(2015.9.19)
第9話 ショップカードにネームタグ… 地味だけど重要度は大! お店まわりのこまごま小物(2015.10.3)
第10話 大切さは名前と同じ。自分たちのロゴマークはどう作るか<デザイナー編>(2015.10.17).
第11話 大切さは名前と同じ。自分たちのロゴマークはどう作るか<実践編>(2015.10.31)
第12話 どこまでを手作りと呼ぶ? 手仕事を求める楽しさ、難しさ <買い付け編>(2015.11.14)
第13話 お客様との新たなつながり。看板犬レラが教えてくれたこと。(2015.11.28)
第14話 美しいものよ、輝け!お母さんとの約束。(2015.12.12)
第15話 生産者さんを訪ねて <鳥の笛ネックレス編(2016.1.14)
第16話 生産者さんを訪ねて <アカ族の村編(2016.1.30)
第17話 始まった… 年に一度の確定申告(2016.2.13)
第18話 手仕事は同じじゃないから美しい~『ORDINARY』とコラボグッズを作ったこと(2016.3.11)
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オーディナリー編集部がノマディックラフト参加の展示会を観に行った話

【レポート】遠い国の伝統的な手仕事がいっぱい!

 

【関連サイト】
ノマディックラフト ウェブサイト http://nomadicraft.com/
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木内アキ(ライターとしての仕事) ウェブサイト http://take-root.jp/

 

 


ノマディックラフト ヨメ

ノマディックラフト ヨメ

自然・旅・民族をテーマに、タイ、ベトナム、ラオスの山岳地帯に住む少数民族の手仕事を扱う、西小山のアトリエショップ『nomadicraft』を店主であるダンナとともに運営。母から子へ、脈々と受け継がれてきた素朴で美しい手仕事を紹介しながら、作り手である女性たちに仕事の機会を提供し、貧困の和を断ち切るための支援も行っている。ふだんはフリーランスのライター・木内アキとして「女性にまつわる人・旅・暮らし」をキーワードに、雑誌や書籍を中心に執筆活動中。目標は「キチンとした自由人」。 ノマディックラフト 店主ブログ http://blog.shop.nomadicraft.com/ 木内アキ ウェブサイト http://take-root.jp/