【第193話】なぜ僕が太っていくのかわかったよ / 深井次郎エッセイ

「休みの予定を先に入れて死守するのよ」

「運動の予定を先に入れて死守するのよ」

大切なことから予定を埋めていこう
大切なことを朝一にしよう

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大事なことなのに、ついつい後回しにしがちなものです。いちばん大事なものと言えば健康ですが、一日の中で運動する時間は「余った時間でやろう」ということになってしまいます。それで、結局、全部の仕事が終わったらやるわけですが、全部きれいに片付くなんて日はなかなかありません。そうやって、運動できない日々が続いていくのです。

ぼくはいちばん先に、週1のバスケの日は予定を入れています。これは最優先です。健康が損なわれたら、仕事も何もないからです。それに加えて、できれば一日の中でも、朝一番に運動する時間をつくりたいところです。今までできていませんでしたので太る一方で、これからはやろうかなと今思いながら書いています。朝一に入れる習慣にしてしまえば、どんなにやることがあろうと後回しになりません。朝早起きして、勉強しているビジネスマンがいますが、さすがですね。そうでもしないと、仕事以外の資格の勉強などは後回しになってしまいます。

人生で一番重要なことを、一番始めにやる。よく「忙しくない人などいない。時間はつくるものだ」と言われるのは、こういうことなんですね。貯金だって、「月末に余ったら」なんて考えてるといつまでも貯まりません。最初に天引きするのです。で、残りで生活する。本当に欲しいもののために貯金するのですから、そのくらいできるはず。でないと貯まりません。

写真家でも、よく聞くのが「自分の作品を撮る時間がない」ということです。広告やブライダルなど、日々の頼まれ仕事、クライアントワークに追われて、自分の作品撮りは後回しになってしまいます。すぐにお金がもらえるし、依頼を断るのも気がひけるしということで、クライントワークで予定がいっぱいになってしまう。キャリアが長いのに、一冊も自分の作品集を出版できていない写真家はたくさんいます。自分の作品を撮るためにインドに20日間旅に出ることも、「いつか暇ができたら」と思ってたら、実現できずに死んでしまいます。どんなに忙しくても、先に予定を入れてしまって、そのスケジュールは死守します。「すみません、その日は先約がありまして」「なんとかならない?」と聞かれても、「どうしてもズラせないんです」。そうやって意識して自分の大事なことを守っていかないと、知らぬ間にすべてこぼれ落ちてしまいます。

睡眠と運動は、健康のために最優先でしょう。家族や大切な人たちとの時間もとりたい。これら仕事以外のことを最優先に生活していると、怠け者みたいに見えて気がひけますが、そんな外野の声は無視です。職人や自営業のかたのような腕一本でやってる人たちは、定年で引退ではありません。好きな仕事を一生探求しつづけていくので、長いタイムスパンで考えています。体を酷使してしまったせいで50代でつぶれてしまったなんてことでは、後悔してもしきれません。あなたの一番大切なものは何ですか。それを一番先に予定表に書き込んでいきましょう。

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(約1170字)

Photo: Luis Hernandez2


深井次郎

深井次郎

ORDINARY 発行人 / エッセイスト 1979年生。3年間の会社員生活を経て2005年独立。「自由の探求」がテーマのエッセイ本『ハッピーリセット』(大和書房)など著作は4冊、累計10万部。2009年自由大学創立に教授、ディレクターとして参画。法政大学dクラス創立者。文科省、観光庁の新規事業に携わる。2013年ORDINARY(オーディナリー)スタート。講義「自分の本をつくる方法」定期的に開講しています。