【第143話】なにもないところで転ぶ / 深井次郎エッセイ

油断をしないでください

油断をしないでください

仕事に穴をあけるのがこわくて
スポーツができるか

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いたい。バスケで足首をひねってしまった。夜になり、くるぶしの山の形が消えてしまうくらいに腫れだした。1.5倍くらいの太さになっている。いたいけれど、足をひきずれば歩けるくらいの症状なので、2週間もほっとけば治ると思う。

社会人がケガをすると仕事に差しつかえがある。なので、バスケでもなるべく当たりの激しいプレーはしないようにという意識がみんなあるのです。学生時代よりは、社会人のゲームは紳士的です。それでも、バスケは接触するスポーツなので、ケガをゼロにすることはできません。とか言いながら、足をひねった原因は、接触プレーによってではありません。試合中、普通にゆっくりひとりでディフェンスに戻っていたところ、コケッと左の足首が傾いた。「なんか深井さん、いま何もないところでコケッとしたね」気づいたメンバーはクスッと笑いました。

何もない静かなときだったので、イヤな聞こえたんです。プチッというゴムが切れるような音がした。何もないところで自爆をする。これは駅の階段でコケるよりも恥ずかしい。だって、平坦な場所ですから。スポーツマンとしてあるまじき行為。とりあえず、照れながらぴょんぴょん跳ねながら帰ってきました。

仕事の心配をまずしました。が、足ケガしてて差し支えるものはしばらくない。あとはもう、「これでしばらくバスケができないかもしれない」という悲しさでいっぱいです。運動ができないから、太ってしまいそう。これが責任あるエグゼクティブだったら、怪我のリスクのあるスポーツは避けるんだろうな。かわいそう。そんな人生ごめんだわ、あたし。リスク上等。

はれてますね。地下鉄のホームにて。

足首はれてますね。地下鉄のホームにて。

それから、また跳ねたり引きずりながら、自由大学の教授会にいきました。5/13は、自由大学創立5周年。「バスケでやっちゃったんですよ。いてー」という話をクリエイティブチームのみんなにしてたら「ほんと子どもみたいですよね」と、いつも楽しそうで何よりみたいな反応をされ心配は一切されず。ポートランドの本も好調みたいだし、月末にいく尾道の話もした。久しぶりに会う教授たちもいて、「オーディナリー見てますよ、良いですね」とほめてもらえて嬉しい。自由大学のWEBのアクセス解析みても、オーディナリー経由で訪れている人が多くなってきたようです。

今年は自由大学にとって、大きな変化の年になりそう。つい自分の目の前のことにいっぱいいっぱいになりがちだけど、たこつぼ化せず、みんなで絡み合ってやっていこう。オーディナリーもまわりに貢献できるような存在感をだせるようにしていけるよう頑張ります。そう、ケガをしている場合ではないのです。それにしても、自爆みたいなこんな恥ずかしいことは、なかなか起こらないものだと思っていました。でも、ありえますね。人生なにが起こるかわからない。ハイヒール履いてる女子なんて、危険がいっぱいです。気をつけてください。

そんな情けない一日。しょうもない日記になってしまいました。足がシンシンといたむので、今日はこの辺で失礼痛(いた)します。いてー。

(約1242字)

Photo: piotr


深井次郎

深井次郎

ORDINARY 発行人 / エッセイスト 1979年生。3年間の会社員生活を経て2005年独立。「自由の探求」がテーマのエッセイ本『ハッピーリセット』(大和書房)など著作は4冊、累計10万部。2009年自由大学創立に教授、ディレクターとして参画。法政大学dクラス創立者。文科省、観光庁の新規事業に携わる。2013年ORDINARY(オーディナリー)スタート。講義「自分の本をつくる方法」定期的に開講しています。