【第099話】どんな状況でも光を見つける方法

暗闇で光を探す

暗闇で光を探す

「ちょうど良かった」
そう考えると
良い面に目を向けることができる

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悔しい扱いを受けた時に、腹を立ててもいいのです。だけど、ひと通り腹を立てて落ち着いたら、考える。なぜ、いまこの出来事が起きたのか。何の意味があって、天は自分に何を伝えようとしているのか。たぶん、もっといい道があるよ、と言ってるのか。ここで我慢して続けたら、ひと回り人間として鍛えられるよ、ということなのか。俯瞰して、自分の人生のシナリオを見てみるのです。

「ちょうどよかった」というのが、ぼくの好きな言葉です。不本意なことが突然おきた。でも、「ちょうどよかった」と無理矢理にでも口にしてみる。たとえば、仕事をクビになった。でも「ちょうどよかった」のです。おかげで、前からやろうと思っていたプロジェクトに力を注げる。友人と会う時間ができる。忙しすぎて自分を見失ってたので、ゆっくりこれからのことを考える時間ができる。そもそも良く考えたら、この仕事は自分に向いてなかったな。いまクビにしてくれなかったら、さらに何年も無駄にしてたかもしれないとか。嬉しいこともあるわけです。大きなショックというのは、それだけ大きな意味があります。自分のほうに人生をたぐりよせるチャンスです。映画で言ったら、大きく場面が展開していくときです。平穏な毎日が破られ、そこから一気に面白くなっていく。冒険が始まるのです。

一見するとネガティブな知らせ。それでも、「ちょうどよかった」と考えると良い面も見えてきます。独立して生きていくというのは、たしかに不安定な面があります。みんな笑ってますけど、知らせの8割以上は、ネガティブなものじゃないでしょうか。でも、その中で、良い面を見つけていくゲームみたいなものです。けれど、独立していなくても、すべての人にとって人生はそんなゲームかもしれません。ぼくの友人は、母親を亡くしたとき、そんな最悪の状況でさえ「ちょうど良かった」と言っていました。どんなに暗い場面でも光を探すのです。「ちょうど良かった。忙しくてなかなか田舎に帰れなかったから。これからはずっと一緒にいられるよ」彼は、泣きながら笑っていました。

 

(約853字)

Photo:  Justus Hayes


深井次郎

深井次郎

ORDINARY 発行人 / エッセイスト 1979年生。3年間の会社員生活を経て2005年独立。「自由の探求」がテーマのエッセイ本『ハッピーリセット』(大和書房)など著作は4冊、累計10万部。2009年自由大学創立に教授、ディレクターとして参画。法政大学dクラス創立者。文科省、観光庁の新規事業に携わる。2013年ORDINARY(オーディナリー)スタート。講義「自分の本をつくる方法」定期的に開講しています。