人生でいちばん長い一年間だったかもしれない。何年も日本を離れてた気がする
恩田くん世界一周お帰りなさい会
人生でいちばん長い一年間だったかもしれない
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こんにちは、編集部のおーちゃんです。
1年間の世界一周を終え、あの男が帰ってきた。オーディナリーの人気連載『井戸とラクダ』を書いている、恩田倫孝くんです。
今日は、編集部メンバーでささやかながら「恩田くんお帰りなさい会」を開催。旅を終えた恩田くんは、日焼けで真っ黒な顔をして元気にお店に現れました。
「しかし、ついこのあいだ見送ったと思ったのに、1年間あっという間だねぇ」という編集部みんなに、恩田くんは「いやー、長かったですよ」何年も日本を離れていた気がするとしみじみと語っていました。きっと毎日が新しい刺激に満ちていて、濃密な時間が流れていたからなんでしょうね。
帰ってきてどう? と聞くと、「消費税が8%になってて、いいともが終わってました」と。そうだよね、ちょうどその期間だよね。
日本に帰ってきて数日は、「帰ってきたー」というよりも、「JAPANという次の国に来た」という、旅の続きのような気分がしていたようです。帰ってきてからは、また恵比寿ハウスに合流し、世界一周団体 TABIPPO(たびっぽ)の活動に加わっていくようです。
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恩田くんから連載では書けなかった旅中の裏話を聞いて、これからの連載の方向性や執筆の方法、表現スタイルなど、いろいろ話しました。
旅の紀行文というのは、いくつかパターン、スタイルがあります。恩田くんの良いところはこういうところで、そこを前に出していこうとか、深井さんは、その人の個性や良いところを発見するのが得意なのです。それはいち読者として、いちばん始めに原稿を読んで、次には編集者になってタイトル決めたり小見出し入れたりの編集。そののちに、WEB上のレイアウトも手を動かしてやって、その書き手の文章にじっくりつき合っているからこそわかるのでしょう。
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オーディナリー周辺の著者たちは、深井さんにアドバイスを求めますが、「ここがよくないですね」という話は聞いたことがありません。いいところを見て伸ばせば、短所は自然に見えなくなるし、むしろ味になり魅力にすらなる。そう言うんですね。
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事件をつくりにいくより
丁寧に自分の内面を見つめる旅
面白かった話は、恩田くんの旅のしかたというか、旅エッセイの書き方として、無理に事件を起こしにいこうとはしなかったそうです。
「書くために旅のエピソードを増やそうとは思わなかった」
これはすごく恩田くんらしいところです。旅する書き手は、事件がいろいろ起きた方がネタが増えるので、つい「ネタづくりのための行動」をしがちです。自分の心が求めているわけではないのに、ネタになりそうな方へ舵を切ったり。けれど、それでは旅自体を味わうのは難しくなる。
いま facebook で「いいね!」をもらえるネタをつくるために、無理矢理休日の予定を立てるという女子もいると聞きました。誰のための人生なんだろうと考えた時に、他人の評価を得るために生きるのでは、息苦しい方向に向かってしまいます。
「いいね!」と言われるエピソードは、結果論です。それを無理矢理つくりに行こうとしないことが、旅(人生)を自分の舌で味わうことなのかもしれません。
自分の心を深く見つめることは、他人の目を意識するほど、難しくなります。自分の心に誠実だからこそ、『井戸とラクダ』のような言葉がつむげるのだなと編集部みんなでふむふむと頷いていました。
さて、恩田くんは日本に帰ってきましたが、連載は続きます。どうぞ、お楽しみに。
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まだ読んだことない方はこちらからご覧あれ
恩田倫孝『井戸とラクダ』バックナンバー
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