ごちそうは、ひととのふれあいの中でつくられると、さらにおいしくなる
気持ち良く晴れた日に、みんなでごちそうをつくり、テーブルを整えて、野外でごちそうをいただく。もう、考えただけで、わくわくしてきます。
そんなわくわくするイベント、「Soup Stock Tokyo(スープストックトーキョー) おいしい教室 ~ご馳走のじかん~ 夏 in 河口湖」へ行ってきました。まさか、記事を書くとは思っていなかったので、完全に夏休みリラックスモード。だったのですが、とても良い時間を過ごせたので、せっかくなら記事にしよう! ということになりました。
場所は、河口湖の近くの Zing という味のある古民家。ここは、Soup Stock Tokyo(スープストックトーキョー) を経営している会社、スマイルズの社員別荘だそうです。太陽の光が気持ちよく差し込み、玄関や縁側から入ってくる風がなんとも心地よい場所です。
そんな気持ちの良い場所で、始まった今回のイベント。おいしいウェルカムスープとおにぎり、ワインなどをいただきながら、自己紹介を兼ね、参加者のみなさんひとりひとりから、ごちそうエピソードを伺いました。
そして、スマイルズ代表の遠山正道さん、スマイルズのフードプランナーの桑折敦子さん、フラワークリエイションチームの mimosa さんによるごちそうトークセッション。
ご家族がつくったごちそう、幼い日の美しいごちそう、遠い国のごちそう。ごちそうエピソードもトークセッションも、それぞれ想いのこもったいいお話ぞろい。ごちそうにもいろいろなかたちがあるんですね。
そして、実際にごちそうの準備に取りかかるため、オニオングラタンスープ班、ティラミス班、お花のmimosa班、薪班に分かれてワークショップがスタート。
私は、オニオングラタンスープ班に参加させていただきました。オニオングラタンスープ班では、遠山さんが、たまねぎの切り方から炒め方まで、直々に教えてくださいました。
再度、班のみなさんで軽く自己紹介。やはり、食の仕事に携わる方や、興味のある方が多いようです。そして初めてお会いしたメンバーなのに、遠山さんを筆頭にとっても楽しく、いいチームワークでした。
遠山さん直伝、たまねぎの切り方のコツ。
Soup Stock Tokyo の立ち上げ時には、ものすごい量のたまねぎをスライスされたそうです。
「そうだねぇ、えーっと、辰巳芳子さんのように、ゆっくりと優しくスライスしていきましょうか。」
玉ねぎが優しくスライスされていく様子を、みんなが真剣に見ています。
「なんだか斜めになっちゃった。」
とかわいい遠山さんに、みんな笑顔。
いざ、たまねぎをみんなでスライス。なんだか、皆さんスライスがきれい。私は… あんまり上手く切れないけど、とりあえず、直伝通りに優しく切っていこうと決意しました。
遠山さんの指導のもと、1時間ほど、スープ班メンバーが、代わる代わる、ひたすらたまねぎを炒めます。お鍋にいっぱいだったたまねぎは、いつしか飴色にまとまり始めます。時折鍋底が焦げつくけれど、それはお水を少しずつ入れて焦げつきをとりながらまとめていく。これが旨味になるのだそうです。料理って奥深いなぁ。
代わる代わる炒めている間に、ちがう班にもひょっこり潜入してきました。
ティラミス班
ティラミスに使うコーヒーなどの食材の説明も織り交ぜながら。みなさん真剣な表情です。
お花の mimosa 班
メニューに添えるローズマリーのリースやアレンジメントを作っていきます。
みなさん、黙々と作成中。ただよう女子力が素敵。
薪 班
とうもろこしを焼いたり、パンを焼いたり。青空のもと、和気あいあいと楽しそう!
そして、素材にこだわる Soup Stock Tokyo(スープストックトーキョー) だけあって、みずみずしい食材が、いたるところにスタンバイしていました。
そして、各班の準備が整い、お食事のスタート。
おいしくて、食べるのに夢中になり、写真をとる間もない状態に。
お肉にしっかり味をつけ、直火でしっかり焼いていきます。Soup Stock Tokyo(スープストックトーキョー) のスタッフのみなさんのチームワークで、おいしいお料理がぞくぞくと。
ここで、待ちに待った、さきほどのオニオングラタンスープのつづき。
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遠山さん直伝、オニオングラタンスープの仕上げのコツ。
「チーズはたっぷりと、エベレストのように!」
「カップから吹き出るくらいの量のチーズがベスト」
あまりのチーズの多さに、参加者のみなさんが沸き立ち、笑顔いっぱいの瞬間でした。チーズ好きな私としては嬉しくてたまらない量だが、太らないか心配。だけど、今日はごちそうなので、よしとしましょう。
窯でじっくり焼き上げていきます。
出来上がったオニオングラタンスープは、チーズがたっぷり。
みんなでじっくり炒めた玉ねぎも深いあじわい、おいしく仕上がりました。
最後にデザートの「Zuppa del duca」(ティラミス)をいただく。ティラミス班のみなさんの真剣な姿が思い出される。とてもおいしく上品な味わい。
ちなみに、「Zuppa del duca」ってどういう意味なのだろう、と思って調べてみたのですが、イタリア語で「公爵のスープ」という意味で、ティラミスは昔、そのように呼ばれてそうです。
スープで始まり、スープで終わったのは、Soup Stock Tokyo(スープストックトーキョー) のスタッフさんの粋なはからいなのかなぁと思ったりする。
私自身、遠山さんの著書である、「成功することを決めた」という Soup Stock Tokyo 立ち上げの本を数年前に読み、その中に出てくる1999年にオープンしたばかりのヴィーナスフォートの1号店にもたまたま「スープ専門店かぁ。めずらしいし、おいしそうだなぁ。」と思って利用した記憶もあり、今も Soup Stock Tokyo や、遠山さんのファンでもある。
とってもセンスがいいのだけど、それが一部のひとのものではなくて、誰もが楽しめるあたたかさがある、そんなところが、遠山さんの事業の素晴らしさだと思っているのだが、ご本人もとても楽しく親しみやすいお人柄だった。
「ごちそうは、ひととのふれあいの中でつくられると、さらにおいしくなる」
ごちそうってなんだろう? ということについて深く考える機会はなかなかないと思うけれど、今回参加してみて、そんなふうに思いました。
普通の料理教室では、味わえないような、ひととのふれあいや、自由でゆったりとしたじかんを過ごすことができ、新たな「ごちそうの思い出」のひとつになりました。
また、Soup Stock Tokyo(スープストックトーキョー)では、定期的にいろいろなかたちで、「おいしい教室」が開催されるそうです。これは楽しみです。私もまたぜひ参加してみたいなぁ、と思っています。
そして、個人的にも、いろんなかたちで、ごちそうの時間を増やしていきたいと感じました。ごちそうの時間は、誰でも、よりよく生きている瞬間でもあると思うのです。
TEXT: 中村真美
PHOTO: ゆき