TOOLS 27 書いて優しく感情を解き放つ方法 / マチダミキ(コーチ / 一般社団法人日本セルフエスティーム普及協会認定講師)

Marta Miguel受け入れて感じつくして手放さないと、どんどん滞留していきます。

TOOLS 27
書いて優しく感情を解き放つ方法
マチダミキ ( コーチ / 一般社団法人日本セルフエスティーム普及協会 認定講師)

ーーー

自由に生きるために
内側との対話ができるようになろう

 

筆者

「マイナス感情に蓋をしてしまっていた」筆者

唐突ですが、感情とのお付き合い、得意ですか? プライベートでも仕事でも、感情をうまくマネージすることに課題を感じていらっしゃる方は少なくないと思います。

私は子供の頃から、自分の感情、特にマイナス感情に蓋をすることが上手でした。いつの間にか、無意識に抑えてコントロールすることを覚えていました。「隙を見せてはいけない・フラットでいなくてはいけない・強くあれ」と教育されていたので、その刷り込みも大きかったことでしょう。

このくらいなんてことはない。別に傷ついてなんかない。こんなことでは怒らない。しんどい気もするけど、いやいや大丈夫。気が乗らないことも気のせい。そんなふうに、いつもどこかで無理をしていたように思います。

大人になり、気づいたら、なんだかいつも心も体も重くて、楽しい時でも「どこかすっきりしないんだよなあ」という状態が続いていて。なんだろう、これはなんだろう。なんでいつも重苦しいんだろう。なんで生きづらいんだろう。うーむうーむ。

そんなふうに、長い事過ごしていました。 そしてある時、そんな状態に限界を感じ、自分が抱えてきたものを降ろす作業を始めました。 主に「書く」という行為を通して。

Neal Fowler

ーーー

感情とは

感情は、エネルギーです。怒りで体がこわばったり。嬉しさでふわっと浮き立つ感覚があったり。悲しくて胸がしめつけられたり。Emotion = Energy  の Motion というくらいです、そこでは確実にエネルギーが動いています。なぜ感情が湧くかについてはここではさておき、とりあえず湧いてきちゃったものは、なかったことにはできません。

受け入れて感じつくして手放さないと、どんどん滞留していきます。そして、しこりのように心の奥に残り、感情を感じるアンテナを鈍らせてしまいます。嬉しい感情まで感じにくくさせてしまうのです。そして何より心身の健康によろしくありません。

感じたくないようなマイナスの感情が生まれてきたとき、反射的にそれをコントロールしようと蓋をすること。多くの方が多少なり経験したことがある、またはもしかしたら日常的にしているのではないでしょうか。

単純に嫌だからということもありますが、「マイナス感情を持つのはよくないこと」という意識がどこかで働いているからです。 例えば、 「まあ、いいんだけどね」「私はそんなに気にしていないんだけどさ」 こういった台詞を耳にすることが、たまにあります。大抵、実は全然良くないしかなり気にしています。「とりあえず飲んでさっさと忘れよう」これも、よくあるパターン。

後からでもいいので、できるだけ、ちゃんと心の奥底の声を聴いてあげてほしいのです。無視されっぱなしでは、その感情は行き場をなくしてしまいます。 感情には、本来良いも悪いもありません。たとえどんなに醜い(と感じる)ものであっても、たとえどんなに「ああ、自分ちっちゃいなー」と思わせられるものであっても、悪者扱いしなくていいのです。そして、そういう感情をもった自分を責めなくてもいいのです。

エネルギーは循環するのが自然の法則です。あたたかい気持ちで受け入れて、解き放ってあげましょう。それは、あたかも自分の気持ちを傾聴し、共感を寄せるような、そんな感覚です。

その昔の私は、自分を散々無視して、ないもののように扱っていたわけです。私自身が、一番近くにいるはずなのに。自分に申し訳ないことしたなあと思っています。(この場をお借りして改めてお詫び申し上げます、はい )
ーーー

書いて解き放つ方法

認めて受け入れて解き放つ、その方法は色々ありますが、「書く」ことは、一人で好きなときに好きなようにできる方法の一つです。私の場合、もともと「書く」こと自体が好きだったため、自然にそれを取り入れていったということもあります。 「想い」「感情」といった漠然としたものを書くには、必然的にそれを形にしなければなりません。内側からひっぱり出して、なんらか見える形にする。そのプロセス自体が、その感情の存在を認めて受け入れる作業になります。
ーーー

オススメの方法
日々の感情の整理 
1.出来事とその時の気持ちにフォーカスした日記を書く。感覚、何に反応したのか、本当はどうしたかったのか等々
これまでため込んだものを掃除する 
2.何度かまとまった時間をとって、過去の人生のあらゆる出来事と心情を棚卸していく
3.人に対して、押し込めていたわだかまりや言えなかった想いをただただ、書く。文章の体をなさなくても、手が動くままに、好きなように


1が「掃除機かけときました」くらいのノリだとすれば、2や3は結構な大掃除となる可能性があります。人によっては、段ボールに入れてクロゼットの隅に追いやって見ないふりをしていたような、嫌なものも引っ張り出すことになりますので、それなりの勇気と気合いが必要です。でも、それだけデトックス効果は大きい。ノートでもいいし、チラシの裏に殴り書きをしたっていい。なんなら特大模造紙にマジックもいいかもしれません。

 

Sergiu Bacioiu

 

ーーー
自分を自由にしていくこと

きちんとマイナス感情を癒し、内側との対話ができるようになると、自分との距離がぐっと近づきます。あらゆる感情をその場で客観的に見つめること・その場で消化することができるようになってきます。 そして、自分を縛っていた思い込みに気づきやすくなり、そもそも感情が波たつこと自体がとても少なくなってきます。

ポジティブでいなければという強制を解き、ネガティブな状態もあっていいと許可した時、無理なく楽観的でいることができます。穏やかにいなければという力みを外し、どんなに揺れ動いても大丈夫だと思えた時、本当に穏やかな心にたどりつくことができるのです。

書くことは、自分を少しずつ自由にしていくことなのかもしれません。

ーーー

 

書いて優しく感情を解き放つ方法
1.  とにかく書いて外側に取り出そう
2.  エネルギーは留めずに流そう
3.  どんな感情を持っても良いと許可しよう

Photo:Marta Miguel,Neal Fowler,Sergiu Bacioiu


マチダミキ

マチダミキ

コーチ / 一般社団法人日本セルフエスティーム普及協会認定講師   慶應義塾大学卒業後、複数の米系企業にて、主に採用や人材/組織開発に携わる。セルフエスティーム=自己肯定感を育むメソッドと出会い、自分自身の人生の質も向上。良好な対人コミュニケーションや仕事のパフォーマンスだけでなく、人生のあらゆる側面において重要なベースとなることを実感。現在も 企業人事として勤務する傍ら、「自己肯定感」「自分との関係性を良くすること」をコアテーマに研究・活動中。