【連載】菊池裕子の「花が咲く時」 Vol.5 ラナンキュラス
”わたしを見つけて…”
透明感のある可愛らしい花姿
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冷たい空気の中で吐く息は白く、まだまだ寒い日が続く2月です。今年は特別に雪も多くて、東北育ちながら東京で降り積もる大雪にはびっくりしてしまいました。そんな真冬を感じる気温とは裏腹に、市場では色とりどりのお花が賑やかに並び始めています。少しずつ、でも確実に、春の訪れを感じさせる顔ぶれにたくさん出会えるような季節になりました。
その代表がラナンキュラス。まぁるいコロンとしたフォルムに、薄いバレエのチュチュのようなひらひらとした花びらが幾重にも重なった、透明感のある可愛らしい春の球根花です。色味が豊富で、淡いパステルカラーからビビッドな原色、微妙な中間色までさまざまです。わたしが好きな色にはニュアンス色が多いのですが、ラナンキュラスに限ってはその柔らかい雰囲気に惹かれて明るい色味のものを良く使っています。
種類も多く、一般的な咲き方の他に、花びらの縁がギザギザしているフリンジ咲きや大輪咲き、ちょっと変わった咲き方のモロッコシリーズ、光沢ある花びらで一重咲きのラックスシリーズ、開ききった芍薬(しゃくやく)のように平たい花びらのピオニー咲きなどがあります。
カップ咲きの花が好きで、ラナンキュラスは大好きな花のひとつなのですが、何と言っても、”わたしを見付けて”…と言っているかのような花姿は、ついつい目を細めて側に置いておきたくなってしまう存在です。
ある時、ラナンキュラスはドライフラワーになる、と教えてもらいました。バラとは違うし水分の多いお花なので難しいのでは…と半信半疑でしたが、試してみたら簡単にドライフラワーになりました。外側の花びらがシワシワになって来たら早めに花首から切って上向きに置いておくか、茎が長いまま逆さまに吊るしておくと綺麗に作る事が出来ます。特にピンク系や濃い色味のものはそのまま色が残るので、半年〜1年近く楽しめます。
生花では瑞々しい印象から元気や癒しをもらえて、ドライになるとアンティーク感からノスタルジックな雰囲気が楽しめる、いろいろな表情を見せてもらえるお花です。
オーディナリー ORDINARY
ラナンキュラスとの付き合い方 1. 花瓶の水に浸かる葉は取り除く。 |
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