【第204話】自由に世界一周していいとしたら、どんな旅にする? 【人生の目的がわかる問い】 / 深井次郎エッセイ

ウユニ塩湖。5〜50㎝ほどの浅い湖がずっと続く。四国の半分くらい

ウユニ塩湖。5〜50㎝ほどの浅い湖がずっと続く。四国の半分くらいの広さ

 

目的があると旅も人生も
より充実したものになるようです

 

いま世界一周がブームなんでしょうか。というくらいぼくらオーディナリー界隈では、このごろ会社を辞めて世界一周にいく(行った、行っている)人たちが多い。3組もいて、あと一年後くらいにいくだろうという人もいます。旅の連載も、エッセイも増えています。

このごろの関心ごとは旅の読みもの。旅を書くとか旅のコンテンツというのは、どんなものがあって、どんなものが面白いのかなぁというのを(必要に迫られてということもあり)研究しています。

そんなわけで今日、旅人夫婦「旅する鈴木」さんのトークライブを聞いてきました。彼ら夫婦は、結婚式を挙げた直後に世界一周に旅立ちました。「世界をまわって美しい映像を撮る」というのが目的で、ひとつの国に一ヶ月とか比較的ゆったり滞在して時間をかけてまわっているようです。

最初は「純粋に旅を楽しむこと」と「映像を撮ること」半々くらいの力配分でスタートしましたが、旅に出て3年経った今、後者の比重がかなり大きくなりました。

旅には目的やテーマがあったほうが充実するのでしょう。世界一周経験者に聞くと、ただ名所を観光してまわるだけではつまらなくなってしまうようです。

もし自分が世界一周に行くとしたら、どんな旅をするでしょうか。何をテーマに、何を目的にするでしょうか。考えてみると、ぼくの場合は「何か作品をつくるだろう」ということは確かです。

この「世界一周に行くとしたら」という問いは、面白い。自分の人生の目的やテーマに気づくことができるからです。 美味しいものを食べる旅という人もいれば、とにかく国の数を多く回るという人もいるでしょう。パックツアーで安全にという人もいれば、サッカーを観て回るという人もいる。1人でまわる? 夫婦で? それとも集団で? ただパックツアーで名所を観光するような旅をするには、世界一周は長くて飽きる気がします。マラソンのように、「最速で完走を目指して」という旅はちょっと味気ないかな。

「旅する鈴木」夫妻いわく、「いまのところ、絶景ナンバーワンはウユニ塩湖」だそうです。ボリビアのウユニ塩湖が圧巻すぎて、その後、砂漠や滝やどんなに絶景に出会っても、「きれいだけど、ウユニ塩湖と比べるとね…」となってしまいました。これ、きっとぼくも同じタイプで、どんなに絶景でも旅に出ると見慣れちゃって、2分で飽きるんです。

ぼくは景色にあまり関心がありません。やっぱり人です。まずは自分自身が何を思ったか、どんな人に出会って何を学んだか。今まで常識だと思ってた価値観がひっくりかえるような知識を得たり体験をしたい。楽しそうに暮らしている人たちと話して、「なんであなたそんなに楽しそうなの?」って、その秘訣を聞き出したいな。人間には人生を楽しんでる人とそうでない人がいるけど、この違いはどこにあるのか。それを研究する。わかったら仲間に伝える。そういう旅をしたいなと思うんです。

きっとこの理想の旅プランが自分の人生のテーマ、やりたいことなんだろうと思います。あなただったらどんな世界一周をしますか? 想像してみてください。

「旅する鈴木」夫妻の場合は、世界の素敵な風景を映像に撮ってYoutubeで共有しています。満点の星空を撮りたいために晴天を待って10日延泊したり、36時間も太陽の照りつける砂漠で座り続け撮影したり。せっかくならいい画が撮りたいし、「この画が欲しい」という理想、イメージがあるから待つのです。そうやってるうちに、1年くらいで旅を終える予定が3年になり、まだ終わらない…という感じで続いているのです。

自分たちがまず楽しんで、素敵なものを見つけたら映像に撮って、人と分かち合う。そして喜んでもらう。こだわりのためにはマイペースで好きなだけ時間をかける。旅も人生も、彼らはそうやって進んでいくのでしょう。

「世界一周するとしたら」なんて、今まで考えたことがありませんでした。でも、いま旅人たちに囲まれた環境で、リアルに想像してみる機会が持てました。 「どんな人生を歩みたい?」と聞かれると大きすぎて答えにくいものです。ですが、「世界一周するとしたら」という問いなら具体的に答えやすいなと。どう生きたいか。そういう自分を知るための問いなのです。 (了)

 

(約1742字)

Photo : Santiago S.V.

 

 


深井次郎

深井次郎

ORDINARY 発行人 / エッセイスト 1979年生。3年間の会社員生活を経て2005年独立。「自由の探求」がテーマのエッセイ本『ハッピーリセット』(大和書房)など著作は4冊、累計10万部。2009年自由大学創立に教授、ディレクターとして参画。法政大学dクラス創立者。文科省、観光庁の新規事業に携わる。2013年ORDINARY(オーディナリー)スタート。講義「自分の本をつくる方法」定期的に開講しています。