好きなことをやろうとすると
成績が下がるからダメと
止められてしまう
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好きなことがわかりません。やりたいことがわかりません。こういう人が大学生以上になると、途端に増えてくるようです。小学校低学年のキッズたちに「好きなことについて描いてみよう」と促すと、すらすらと描きはじめます。「自由に、なんでもいいから真っ白い紙を埋めてみて」というお題。これが大人になってしまうと、書き始めるまでに時間がかかってしまうものです。
自分の興味のあること。自分が夢中になれることがわからないのは、特に受験勉強のプレッシャーを受けてきた人たちに多いように感じます。子どもの頃から、遊びを否定されてきた。今すぐ走り出したいのに「遊んでたら成績が下がるよ」。下校してから、ようやく遊びが盛り上がってきたと思ったら塾に行く時間です。「怠けてたら追いていかれますよ」と細切れの休憩時間しか与えられない。こうやって好きなことは禁止されてきました。好きなことをしていたら、ろくな大人にならないよ、というメッセージを背中いっぱいに受けて育てられます。
好きなことが頭に浮ぶと同時に、「ハッ、いけないいけない」。邪念を振り払うように情熱の芽を押さえつけてしまう訓練を積んでいる。これも否定はしません。こうした訓練があるから、予定通りに仕事を仕上げるしっかりした働き手が日本にはたくさんいるのですから。でも、国の経済が繁栄することと個人の幸せは違います。やらなくてはならないことをあえて脇にどけて、好きなことをやってみる時間をつくってみてはどうでしょう。そのためには予定表をびっしり埋めるのではなく、なるべく真っ白に近くする。その時その時で気が向いたことをやってみるようにしてみましょう。それがいいリハビリになると思います。好きなことがないのではなく、奥に押し込められすぎて感じるセンサーが鈍っているだけなのです。
(約745字)
Photo: Steve Jurvetson