【レポート】KIDS WORKSHOP 深井次郎&ナシエ先生

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2013/08/11 14:00-16:00
本をつくろう −どきどきアートブック編−
KIDS WORKSHOP2013@世田谷ものづくり学校

IID世田谷ものづくり学校が主催で深井次郎が企画&講師をつとめる毎年恒例の夏休み子ども向けワークショップ『本をつくろう』。今年のKIDS WORKSHOPは、他の分野の専門家とコラボレーション! 初回はイラストレーターのナシエさんをお招きし、「どきどきアートブック編」を開催しました。ハンドペインティングで描いた背景にオリジナルキャラクターを組み合わせて、世界に一冊だけの絵本をつくります。

8月の1ヶ月間、校内全館で行われた『 IID KIDS WORKSHOP 2013』

 

当日の様子をレポート

40度近い酷暑の中集まってくれたKIDSたち。お母さんも一緒に体験してもらいました。
まずは台紙を選びます。たくさん色を用意しましたが白色が人気でした。

 

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ナシエ先生にハンドペインティングのやり方を説明してもらい、いよいよ描いていきます。

 

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大胆に用紙全体に色を塗る子、色やテイストを変えて模様を描く子など性格が現れます。母娘でなんだか似た雰囲気になっていたのが面白いです。

お母さんにダメ出しする子もいたり、ワイワイ進んでいきます。

指以外にもローラーや筆も使って仕上げ。

 

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背景が出来上がったら、次はキャラクターを考えます。

好きなもの、嫌いなものを思い浮かべながら、キャラクターの外見や性格をシートにまとめていきます。
仕上がったら喜怒哀楽の4パターンでキャラクターの絵を描きます。
このキャラクターたちが絵本の中で活躍しますよ。

 

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嫌いなものについて話したり描いたりしているときは、本当に嫌そうな顔をしています。子供って素直で正直!

あるお母さんは「好きなもの」に娘さんをチョイス!怒っている顔も泣いている顔も可愛いですね。

 

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キャラクターの絵が出来上がったら、背景に貼っていきます。みんなストーリーも考えていて、たった4つの場面で立派な物語が出来上がりました!

お母さんたちも娘に負けじとステキな絵本をつくっています。

 

最後にひとりずつ絵本の発表です。

 

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世界に一冊しかない絵本が出来上がりました。

 

最初はちょっとずつ絵の具を伸ばしていた子どもたちですが、終わる頃には用紙いっぱいに素敵な世界を描いてくれました。

「手で描くのは初めてで心配だったけど、やってみたら気持ちよくて、面白かったです。またやってみたいです」というKIDSの感想もありましたが、ハンドペイントは筆で書くのとはまた違った楽しさがあるのです。

想像以上に盛り上がったのはキャラクターづくり。

意外と嫌いなものについてもよく観察していて、キャラクターに思わぬ特徴やクスリとしてしまう性格が付けられたりしていました。ずっと考えていると好きになっちゃうかもしれないですね。

娘さんの嫌いなものとその理由を初めて知り、驚いているお母さんもいらっしゃいました。いつもと違う会話が生まれるのも、ワークショップの良さですね。

紙と画材と想像力で簡単につくることができるアートブック。

後日、参加されたお母さんから「どこにもないオリジナルキャラクターを作れて、子供はとても嬉しかったようです。今でも時々自分のアートブックを、取り出して眺めています。特別な思い出になりました」という嬉しい報告もいただきました。

おうちに帰ってから、2巻、3巻と続編が誕生することを期待しています!!

 

ゲスト講師
ナシエ先生の感想

今回は、絵が上手い下手関係なく、のびのびと色の世界に飛び込んで、自由に楽しんでもらえれば良いなと思っていました。 計算したり考えるよりも(そういう箇所もあるけれど)直感や偶然性を楽しむという感じです。 最初はオズオズと、ここに描いてもいい…?と言っていた子供たちが、手で絵具を触る気持ち良さや、偶然にできた色の混ざりやカスレの美しさに「わぁ」と声を出し、みんなどんどん夢中になっていく…その姿を見て本当に嬉しい気持ちになりました。私は美大受験の時に通っていたスクールでこのハンドアートを、たくさん経験し、心模様を映し出すような抽象的なハンドアートがとても好きになりました。 子供でも大人でも年齢問わず、自分を表現できる楽しいツールだと思っています。 キャラクター作りの時間では自分に向き合い、発想を膨らませていく楽しさと、出来上がった本(ハンドアート)にキャラクターを貼付けるセンス。 「そう来たか!」「ピッタリだね!」と、参加者みんなで1つの作品を見守るような暖かい空間になり、とても良い時間を過ごせたと思います。 のびのびと楽しく表現できたことは、次の作品を作りたいという意欲を産む素敵な経験だと思います。

 


講師

深井次郎のまとめ

一度でもつくる側を経験すると、本が好きになります。つくり手のことを想像することができるので、読むことも好きになります。そんな体験をしてもらえたらという目的で小学生向けにキッズワークショップを毎年開催させていただいています。

たった90分や120分で一冊の本をつくってみる。はじめは「できるの?」と不安な子どもたちも、アイディアが出だすと止まらなくなります。普段の学校の授業は45分のところが多いと思いますが、これだけ集中力が続くということに、ご両親も驚くようです。

今回、ゲスト講師にナシエさんをお招きしたのは、駆け出しの頃は大阪で路上ライブよろしくパフォーマンスをしながら絵を売っていたなど、ほんわかした絵柄とは想像つかない力強い意志をもち、はっきりとした自分のテイストをもっているイラストレーターさんだからです。また、子どもの可能性への興味から、独自のメソッドで子ども向けの絵の教室もやっていらっしゃいます。

鳥のヒナは数週間で、子猫は数ヶ月で、ヒトは15年ほどで大人の体になります。ぼくらが子どもだったときのことを思い出してみてもそうです。子どもたちは、遊びの中から、自分のまわりを取り巻く環境、知識を体得してきました。大人になるまでに、たくさん遊ぶ。見たり、触ったり、においを嗅いだり、冷たかったり、風を感じたり、気配を感じたりして、感覚を受動する感性を増やしていきます。それは語彙を増やすように大切なことです。語彙が多い方が、豊かな言葉を自由に選び扱える。

ザラザラしたり、ぬるぬるしたり、つるつる、とろとろ、ペタペタ。ほとんどのキッズが、絵の具を「気持ちいい」と言いました。今日、絵の具を初めてしっかりと手で触ったという子もいました。学校で教わるのは、「絵の具は筆で描くもので、指についてしまったらすぐに水道で洗い落とし、タオルできれいに拭くもの」。そう教わったと聞きました。絵の具を盛って厚みをだしたり立体的にもできることを初めて知ったと。これで彼らは、3Dで見る目が養われたのです。絵画を立体として鑑賞できるようになったのです。これで彼らはもう、「筆がないから描けないよ」とは言わないでしょう。

道具を扱う前に、直接手で感触がわかるというのは大事です。物を間に挟むと強く押し付けてしまって、傷つけてしまうこともあります。今どのくらい力がかかっているんだろうか。もしかして自分のその向こうにいる相手を力加減がわからず傷つけていないだろうか。アートとは、生きるための技術です。今日ここで彼らが学んだのは、何も絵のことだけじゃなかったのです。

 

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むらかみ みさと

むらかみ みさと

1986年阿蘇生まれ。生きた時間の半分を読み書きに費やしてきました。 ORDINARYでは広報・PR、ユーザーコミュニケーションなどを担当。 公私ともにコミュニケーションにまつわる仕事をしています。 円の中心ではなく、接点となる役割を追求したいと思っています。