【レポート】東京国際文芸フェスティバルにて「Death Cafe」を開催しました

ここに足を運ばなければ出会わなかった人。ここに集わなければ、出会わなかった本。2時間という短い時間の中で芽生えた息吹が、参加者の中に良き風となって流れますように。もしもこれから先の未来、みなさんのもとに死と向き合う時が来た時に
EVENT REPORT
東京国際文芸フェスティバルにて「Death Cafe」を開催しました . .
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自分の選書がだれかの人生を動かすかも。そんな期待を胸に秘めながら、今回の選書イベント「デス・カフェ」には定員20名の本好きが集まった。選書テーマは「あなたの死生観に影響を与えた1冊」。「たとえばぼくの場合は」始めに主催オーディナリー代表の深井次郎が1冊を紹介しながら読書の魅力、自らの死生観について口火を切る。5人ひとグループに分かれ、輪になり各々の1冊について語り合う。初対面にも関わらず、ときに笑い、ときに神妙に対話はつづいた。この日のために特別に制作されたオリジナルマグカップにあたたかい紅茶を注ぎ、ゆったりした音楽につつまれ、リラックスした明るい空間で自由に語らう。参加者は20歳の学生から50代の社会人まで、仕事もさまざま。多様な人、価値観に触れた。集まった本も多様。小説、詩、研究書、エッセイ、ビジネス書だってあった。主役は参加者ひとりひとり。語らいの時間をたっぷりとった。本は基本的にひとりで読むもの。好きな本について語り合うことは、友人同士でも意外とない。最後にひとりひとりから全体へ感想を共有。「有意義な時間をありがとう」まだまだ話し足りない。またどこかで、と約束してデス・カフェは幕を閉じた。

 

東京国際文芸フェスティバル とは
日本最大の本の祭典。国内外から作家、詩人、漫画家、装幀家、編集者、翻訳者らが集まり、本を愛する一般参加者とともにさまざまな交流を通じて文芸の魅力を発信するイベント。日本財団が主催し、今回が3回目となります。トルコのノーベル賞作家、オルハン・パムク氏や邦訳作品も多い米作家、スティーヴ・エリクソン氏ら第一線の書き手たちが来日し、国内の作家らとトークショーなどのイベントを行い、交流を深める。プログラムは、トークイベント、朗読、絵本の読み聞かせ、ワークショップなどが用意され、大学、美術館、小劇場、書店、カフェ、公園など東京各所で、3月第一週をメイン期間とし開催されます。
公式サイト: http://tokyolitfest.com

 

 Death Café とは
オーディナリーが企画開催した、死生観をテーマにした Book Talk Gathering  選書交流会。「隣人ともっと本の話をしよう」をコンセプトに、たくさんの素晴らしい本と価値観と人と出会うための試みです。もともとは欧米で死について気軽に語り合うイベントとして各地で自主開催されてきたものにインスパイヤされ命名した。
http://ordinary.co.jp/deathcafe/ 

[連動コンテンツ]
オーディナリー周辺の本好きメンバー30人がセレクト。あなたの死生観に影響を与えた本は何ですか?」もご覧ください。

 

 

写真でふりかえる
デスカフェ in 文芸フェス

 

春の気配が街のあちこちに漂いはじめた3月5日(土)の夜。


年齢、職業の様々な人たちが今回の会場である自由大学@表参道に集った。


天気も良好、20名満席、定刻通りの18時スタート。


「死をテーマにした読書会ってどんなだろう?」

参加者の顔には、緊張の色が見えます。初対面の相手と死について語る。ドキドキしないわけがありません。

「さあ、はじめましょうか」

オーディナリーについて、今回のイベントの趣旨について語る深井さんの話に耳を傾ける参加者たちの表情は、まだどこか硬い様子。

自身の死生観に影響を与えた本『ライフ・レッスン』について語ります。


重苦しい場ではないことがわかると、会場の雰囲気が少しずつ和やかになりました。

グループにわかれて、持参した一冊の本のアピールタイム。


「持ち時間8分では足りない」というような雰囲気が漂う中で、参加者一人一人が、自分の死生観を変えた一冊について語り、グループメンバーはその話に聞き入る姿がそこここに。

ついさっきまで、名前も知らなかった人同士が、本を通じて、同じ空間を共有する喜びの中にいる。

持ち時間がすぎても、止まりません。


「ああー、緊張した。なんだか、照れますねぇ」

みんな生き生きと語ります。



全員が語り終えると、各グループから代表者1名が選出され、最後は、全員参加の中で代表者3名の選書トークへ。


Aチームの代表者がトーク。


続いてCチーム代表。まだ学生さんで、家族を亡くした際、死についての本を探しまわっていたときに出会った1冊です。


死生観を変えた一冊のはずなのに、3人の発表の合間には、会場からどっと笑いが起きたり、質問者の声にも、うん、うんと頷く参加者がいたり。

そしていよいよ、「これは読んでみたいな」「興味をもったな」という1冊を、1人1票投票で選出。

「ベスト選書家は、Bチーム代表のあぶかわのりこさんです!」


思わず出た、ガッツポーズ!

死生観は各々違うし、その中で一冊を決めるということには矛盾はあるものの、選ばれたあぶかわのりこさんへの賞賛の拍手の中には、「その死生観も一つの死生観だよね、受け入れるよ」というみなさんの心の声が、会場を包む温かい空気の中に漂っているようでした。

賞状と

人生を編集する、手帳とノート EDiT(エディット)と


今回特別に限定制作した 「Death Cafe ブックマーク(しおり)」 を贈呈します!

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少数民族の手仕事を扱うアトリエショップ「ノマディックラフト」とオーディナリーのコラボグッズです。制作の舞台裏は、オーディナリーの連載『ちいさなお店をはじめたこと』第18話で。

なかなか渋いたたずまいでしょう?

 


参加賞として、全員にオリジナルマグカップとポストカードをプレゼントしました。

 

参加者の声をいくつか

最後に、1人ずつ感想をシェアしてもらいました。

・初めてこういう会に参加したが、読書も、死もどちらも孤独なものだと思うが、「死についての読書」をみんなで語るという面白い試みだった。今後もこういう読書会に参加していきたい、と思えるような会となった。

・若い皆さんが死について色々と考えているのだな、と感じました。

・今回最終選出されなかった本も、きっと、時期を経て手にとることになるだろうと思います。

・テーマは死生観と言うことでしたが、皆さんの持参した本が一冊もかぶらず驚きました。自分一人だと、好きな本しか手に取らないが、こういう会に参加すると視野が広がるような感じがして、とても楽しかった。

・このイベントに参加すると決まってからの2か月間、死について改めて考えた、良い機会を頂いた。

 

 

みんなの選書

 

ジャンルも大きさもバラバラです。

 

人と出あう、本と出あう

イベント終了後も、和やかな余韻が残り、参加者の持ち寄った本の写真を撮ったり、参加者同士で会話を楽しむ時間が、しばらく会場の中に流れていました。

ここに足を運ばなければ出会わなかった人。
ここに集わなければ、出会わなかった本。

2時間という短い時間の中で芽生えた息吹が、参加者の中に良き風となって流れますように。もしもこれから先の未来、みなさんのもとに死と向き合う時が来た時に、今日のこの2時間の出会いが、参加者のみなさんの生きるヒントになれば幸いです。足を運んでくださり、ありがとうございました。

 


PHOTO: 善福克枝  & オーディナリー編集部


編集部

編集部

オーディナリー編集部の中の人。わたしたちオーディナリーは「自由に生きるための道具箱」がコンセプトのエッセイマガジンであり、小さな出版社。個の時代を自分らしくサヴァイブするための日々のヒント、ほんとうのストーリーをお届け。国内外の市井に暮らすクリエイター、専門家、表現者など30名以上の書き手がつづる、それぞれの実体験からつむぎだした発見のことばの数々は、どれもささやかだけど役に立つことばかりです。